7月6日(木)、京都文化日本語学校の「演習授業」の学びの集大成となる発表会が京都芸術劇場 春秋座で開催されました。
この発表会は京都文化日本語学校が毎年2月と7月に実施しているイベントで、「私たちの見ている日本、世界を発表します」をテーマとして、留学生から見た日本について感じたことや考えたことを日本語で発表しています。日本人では考えつかなかった発想や、留学生ならではの視点があり、それを見た人達にも「あなたはどんな日本、世界を見ていますか?」ということを問いかける機会にもなっています。
京都文化日本語学校には初級、中級、上級レベルがあり、留学生は日本語力に見合ったレベルのクラスに入学します。今回の発表会でもクラスごとに選抜された学生が、多岐にわたる内容の発表を行いました。
第35回 京都文化日本語学校発表会 2023年度前期
初級1 個人発表
【レベル司会】
初級1A KROON, FRANCES MAXWELL(南アフリカ)
初級1B MUÑOZ HERNANDEZ, CAROLINA HAYDEE(メキシコ)
初級1C MATRAY AMIGO, GRACIEN PHILIPPE(スペイン)
【発表者】
初級1A 薛 英鵬(台湾)
テーマ「わたしの国、わたしのまち:台湾の神様」
初級1B 張 凱婷(台湾)
テーマ「わたしの国、わたしのまち:台湾の媽祖」
初級1C GUILLET, WILLIAM PAUL ROGER JEANNOT(フランス)
テーマ「わたしの国、わたしのまち:私の好きなフランスの場所」
中級1 個人発表
【レベル司会】
中級1A UTHAN, CHONNIKAN(タイ)
中級1A BOONRAKCHAROEN, WISSUDA(タイ)
【発表者】
中級1A 張 哲維(台湾)
テーマ「友達と話す時、いつからです・ますじゃなくて、フレンドリーな話し方を使いますか?」
中級1B PARIDANONT, NAPAT(タイ)
テーマ「日本の会社員はどうして上司より先に帰れませんか?」
中級1C 梁 穎文(中国(香港))
テーマ「日本のパスポートは『世界最強』なのに、どうして大勢の日本人が持っていませんか。」
中級1D KONNER, CHARLOTTE KATE(アメリカ)
テーマ「日本人はどうしてラジオ体操をしますか?」
中級2 個人発表
【レベル司会】
中級2A 廖 譽媛(台湾)
中級2B CHINSATHIT, RAPASIRI(タイ)
中級2C VIOLA, NIKLAS(ドイツ)
【発表者】
中級2A 周 彦廷(中国(香港))
テーマ「誰も気付かない音楽?」
中級2B JUNE TAN (シンガポール)
テーマ「日本の若者文化 地雷系ファッション」
中級2C LERDWATTANASOMBAT, PORAPA(タイ)
テーマ「2023年の日本人の朝食」
初級2 ポスター発表の紹介
【紹介者】
初級2A 陳 逸蓉(台湾)
初級2B 鄧 彥麟(中国(香港))
テーマ「京都発見」~ガイドブックにない京都を見つけよう~
中級3 個人発表
【レベル司会】
中級3A TURPIN, MATHIEU MICHEL XAVIER(フランス)
中級3B SUKHUWIT, CHAWANRAT(タイ)
【発表者】
中級3A 陳 柳薰(台湾)
テーマ「京都のバス停間の距離」
中級3B 蘇 祉瑜(中国(香港))
テーマ「行列ができる店に並ぶ価値がありますか?」
上級1 グループ発表
【レベル司会】
上級1A AMALIA KHAIRUNNISA(インドネシア)
上級1B HUANG, MICHELLE YI(カナダ)
【発表者】
上級1A 朱 俊諺(台湾)
上級1A 盧 鑫伊(台湾)
上級1B SAE-TUNG, SUDAWAN(タイ)
テーマ「三条会商店街インタビュー:馬場商店」
上級2 個人発表
【レベル司会】
上級2A 潘 以寧(台湾)
上級2A 金 沅宗(韓国)
【発表者】
上級2A 馬 潔盈 (中国(香港))
テーマ「うるさい日本~過剰アナウンスの国~」
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スタッフ
総合司会
初級2A SAJDAK, KAREL MARINUS R.(ベルギー)
初級2B MAWACHA, WACHARADA(タイ)
カメラ
中級1B 張 庭翰(台湾)
中級1B 鄧 鈞朗(中国(香港))
題字作成 自由選択クラス「チャレンジ!習字」の学生
ポスター作成 中級2B 大貫 ジュリア イーウェン(日本)
当日は、初級から上級まで16名が、自国の文化や好きな場所についての紹介や、日本の文化や慣習についての発表を行いました。「日本での働き方」や「行列ができる店に並ぶこと」、「音(電車の発車メロディーや駅のアナウンス)」などに着目した留学生ならではの視点および深い考察には、私たちが普段何気なく行っていること、当たり前だと思っているものについて改めて考えさせられます。
発表者だけでなく、司会もそれぞれのクラスに所属する学生が務めました。司会のみなさんは演技をしたり、ジョークを交えたりしながらユーモアのある進行を行い、会場も大盛り上がり。観客席の学生たちも、同じクラスの仲間が発表するときなど、歓声をあげたり手を振ったりしてエールを送っていました。この会場の一体感から、みなさんが日々切磋琢磨しつつ、アットホームな雰囲気で日本語を学んでいる姿が想像できます。
春秋座のホワイエには、「青い空」と書かれた習字の作品や、「京都発見」をテーマとしたポスターが飾られていました。発表会は、こういった制作物やカメラ撮影も学生が担っています。
全ての発表が終わった後、観客席に感想を尋ねる一幕もありました。どの発表も大変興味深く、新しい見方を教わったなど、発表会を聴講していた方々から感想が述べられました。
最後に村田晶子校長より閉会のことばが贈られ、発表会は幕を閉じました。
『朝、発表会のとき春秋座の入り口に来ると、今回もチャレンジ習字のクラスで皆さんが書いてくれた力強い字が書かれた看板、中級2の大貫ジュリアさんがデザインしてくれた地球を猫が見上げているような清々しいデザインのポスター、この二つが私と皆さんのことを出迎えてくれました。いつものことなんですが、この光景を見ると「ああ、これから発表会がはじまるな」とワクワクしました。
今日は16人の皆さんがこの春秋座の舞台に立って発表をしてくれました。初級1の皆さんは「わたしの国、わたしのまち」というテーマでいろんなことを教えてくれました。私もいつかぜひ行きたいなと思いました。それから中級 1から上級2の皆さんは日本のいろいろな点について興味をもって調べてくれました。みなさんは日本のこんなところについてどうして?なぜ?と思っているんだなということがわかりました。わたしにとっても新しい発見でした。それから初級2の皆さんは「京都発見」というテーマで京都についていろいろグループで調べました。多分皆さんグループの何人かで京都のまちの中をバスや自転車でいろいろめぐって、いろいろ面白いものを見つけてくれたんだろうなと思います。私も時間を作って皆さんが教えてくれた場所やお店を一つずつ巡っていきたいなと思いました。皆さんの発表を聞いて、課題に一生懸命取り組み、準備を重ねてくれたということがよくわかりました。本当にありがとうございました。
そして、忘れてはいけないのが発表の皆さんのことを紹介してくれた各レベルの司会者でした。元気で明るかったです。司会の皆さんの様子を見ていて、発表の内容や発表者のことを考え、心のこもった紹介があったからこそ16人の発表者の皆さんは安心して自信をもって、この春秋座の舞台に立って発表することができたんだろうなと私は思いました。発表と違って司会は簡単だと言えるかもしれないけども、司会の皆さんはとても大切な役割を担ってくれました。ありがとうございました。16名の皆さんには知りたいという強い興味があった。そしてそれを皆さんに伝えたいという強い思いがあったと感じました。
京都文化日本語学校では皆さん日本語を一生懸命勉強しています。言葉を増やしましょう、文法を覚えましょうと毎日毎日頑張っていますが、興味をもって知りたいと思うこと、そして、それを伝えたいと思う気持ちが言葉を上手にする、日本語の力をつける原動力になるんだろうなと今日改めて強く感じました。今日は残念ながらこの舞台の上で発表するチャンスに恵まれなかった人もたくさんいますが、今私が言った「知りたい」「伝えたい」という言葉を少し頭の端に記憶しておいてください。そして演習の次の課題にチャレンジしてほしいなと思います。心から期待しています。』
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