希望にあふれる春を迎え、2023年4月7日(金)京都・瓜生山キャンパスにて、通学課程の入学式が執り行われました。当日はあいにくの雨に見舞われましたが、大学生活をスタートする新入生たちの表情はみな明るく、嬉しそうな姿がありました。
まずは本学の理念「京都文藝復興」を松平定知教授が朗読します。
そして吉川左紀子学長からの式辞です。入学式の前に大学の様々なスケジュールをこなした新入生を気遣いながら、「本学自慢の学食でおいしい食事をとることや、山の上にある農園でのんびりすること、そして屋上で冷たい飲み物を飲みながらゆっくり西山や北山の風景を眺めることを勧めたいと思います。京都を山の上から眺めると、空の色や山の色、街並みの風情が本当に美しいので、春の香りや心地よい風の流れを是非肌で感じて味わってもらいたい」と話します。
「4年間の学びを終える時に皆さん一人ひとりが大きく成長していること、アーティスト、デザイナーまたはクリエイターになった自分をしっかり心に秘めて、自信を持って社会に出ていく姿を拝見することを楽しみにしています。この大学は、そうした皆さんのチャレンジをしっかり支える大学です。皆さんがこれから京都芸術大学で過ごす日々が、皆さんの人生にとって、素晴らしい時間となることを願います」と締めくくりました。
通学課程の入学式では毎年、姉妹校である東北芸術工科大学の中山ダイスケ学長からの祝辞をいただいています。中山先生はこれから大学で学ぶ「クリエイティブの分野の学びには完全な正解はない」と言います。「その代わりにたくさんの不正解は存在します。ここで起きてしまう不正解の多くは、皆さんが途中で投げ出した、諦めた、やりきれなかったという皆さん自身の行動の結果にあります。クリエイティブの学びとは、散々努力してあなたの中の正解を追い求めるという学問です。だからその結果がやりきった末の大失敗なら、それは大成功だと評価されます。ちょっと不思議ですけど想像してみてください。それこそが芸術大学での学びなんですね」。
中山先生はさらに一つ大切なことを伝えたいと次のようなことを語りました。「皆さんの中にあるトラウマを表現に変えろということです。きっとこれまでここに辿り着くまでにたくさんのつらい思いをし、周りに認められず、傷ついてきた人もいると思います。どんなにその苦しい過去を思い返しても無駄です。傷ついた心とか悔しかった思いというのはこれからの時間でしか癒せません。そんなあなたの悲しみを色に変え、そして苦しみを表現で塗りつぶして欲しい。芸大に来た以上、皆さんはもう送り手側の一人です。過去のあなたのように何かに打ちひしがれて悲しんでいる人を救う為にあなたから何かを届けられる人になってください」。
続いて、学生サークル「和太鼓悳(わだいこ しん)」による祝奏が会場に響き渡りました。現在は25名で活動しており、この日は16名での演奏でした。新入生の入学を祝して、明るい未来に向け、笑顔を絶やさず、日々前向きに仲間と共に学生生活を満喫していただけるよう、心を込めて「一会(いちえ)」を演奏しました。
「和太鼓悳」による勇壮な音色が体の芯まで響き渡り、続けて新入生代表からの「入学の辞」が読まれました。代表を務めたのは、歴史遺産学科 文化財保存修復・歴史文化コースの剱持嘉桜さん。剱持さんは中学生の時に、地元の歴史的建造物の保存修復工事が行われたことがきっかけで歴史遺産に興味を持ったと言います。
オープンキャンパスに参加した際に、ある教員から「修復して本来の状態を伝えていくだけではなく、現在の状態も一緒に伝えていく必要がある」という言葉を聞き、「ただ歴史をなぞるのではなく、伝えることの意義や、劣化したときとの変化など、様々な視点で伝えていけるよう、未来へと繋げていきたいと強く思った」と話します。また、「歴史を知るには五感を使って感じることが大事」ということも同時に教えられ、「今まで「見る」ことでしか歴史に触れてこなかったことに気づき、その考えに感動し、ぜひともこの京都芸術大学で学びたいと思い志望しました」と語りました。
続いて、在学生を代表し、情報デザイン学科 クロステックデザインコース3年生の市川翔太郎さんより、「在学生歓迎の辞」が読まれました。市川さんは「本学では自分の成長に繋がるチャンスが沢山転がっている」と言い、これまでの産学連携プロジェクトや学生会での活動を振り返り、「メンバーと切磋琢磨し多くのディスカッションを重ねることで、自分では思いつかない発想や考え方に触れ、自分の長所や短所を見つけることができました。だからこそ、そのチャンスを逃さないでほしいです。よく周りを見て、感じて、少しでも自らが面白そうだと思ったものには自信を持って飛び込んでほしいです。自分の感覚を信じて、チャンスや発見を沢山見つけてください。必ず皆さんの今後の力になります」と力強く語ります。
そして、新入生に大切にしてほしいこととして「出会い」を挙げました。「大学には数えきれないくらいの「出会い」が溢れています。それは今この場所にいる皆さん、素晴らしい先生方、あるいは学校外での関わりかもしれません。私にとっては、大学生活を変えてくれた先輩を始め、互いに信頼できる仲間や後輩との出会いが、無気力で無知だった自分を変え、自分でも知らなかった自分の強みや弱点を教えてくれました。人との出会いは、学びと多様な価値観に触れる機会となります。自分自身をまた一つ成長させてくれることでしょう。是非皆さんも多くの人と繋がり新たな発見をし、今後の糧にしてください」。
入学生からの熱い思いを受け取り、徳山豊理事長から歓送の辞が贈られました。
「大学は皆さん一人ひとりのために存在しています。皆さんがこれからここで学び、悩み、そして仲間をつくり、それらすべてのことをサポートするために私たちはいます。すなわち大学というところは皆さんが主人公だということです。ですから夢を持ち、希望を持ち、それらを叶えるために日々努力し、研鑽し、どんどん挑戦していってください。私たち教職員は常に皆さんをサポートし続けます」。
最後に大事なことを伝えたいと次のように語ります。「何よりも命を大切にしてください。自分のいのち、仲間のいのち、生きとし生けるすべてのいのちを大切にできる人であってください。芸術は決して自分のためだけにあるのではありません。人を幸せにするためにあります。しっかりとそのことを胸に刻んでこれからの大学生活を歩んでください」と新入生への激励の言葉で締めくくりました。
新入生の皆さん、この度はご入学誠におめでとうございます。京都芸術大学へようこそ!!
▼通信教育課程の入学式レポートはこちら
通信教育課程Blog:https://www.kyoto-art.ac.jp/t-blog/?p=109821
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