日ごとに春めいてきましたね。2023年3月17日(金)18日(土)に京都・瓜生山キャンパスにて、通学課程および通信教育課程の学位授与式・卒業式が執り行われ、通学課程からは博士5名、修士69名、学士883名が、通信教育課程からは修士138名、学士910名がそれぞれ学位を授与されました。華やかな晴れ着に身を包んだ卒業生・修了生の皆さんのまぶしい笑顔がとても印象的な一日でした。
瓜生通信では通学課程の学位授与式・卒業式の様子をレポートいたします。
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通信教育課程Blog:https://www.kyoto-art.ac.jp/t-blog/?p=109288
学位授与式・卒業式は対面とオンラインのハイブリッド型で行われ、全国・全世界にいる卒業生・修了生やご家族のみなさまに向けてライブ配信されました。
▼式典のアーカイブ配信はこちら
通学課程:https://www.youtube.com/watch?v=lc6w7ZoX784
まずは本学の理念「京都文藝復興」を松平定知教授が朗読します。
続いて、学位記の授与に移り、博士課程の修了者5名に学位記が授与されました。博士課程修了者には、開学30周年を記念して制作された錦織作家・龍村周さんによる一品鳥の柄のストールが贈呈されました。一品鳥とは鶴の異称で、博士課程を修了したみなさんが藝術立国を支える大きな力となり、飛翔する鶴のごとく世界で活躍できるよう願いが込められています。
修士課程からは修了生69名を代表して、LIAO YUANYIさんが学生代表を務めました。
卒業証書の授与では、13学科それぞれの学生代表に証書が授与されました。
そして吉川左紀子学長からの式辞です。パンデミックで大きく変化した卒業生・修了生の学生生活を振り返りながら、想像もできなかった困難な状況の中で今日の卒業の日を迎えたことにお祝いの言葉を伝えました。卒業展/大学院修了展で卒業生・修了生の900点にのぼる作品を内覧したことを伝え、「皆さんが大学で学んだ数年間は、普通に生活を楽しむことや、友達と会って語り合うこともできない、不自由な中で、自分の生きる事の意味、自分の存在の原点と向き合う時間であったことを感じました。また、大変不安定で、先行きの見えない世界の情勢の中で、普段はあまり考えたことがなかったかもしれない事柄を改めて考える時間でもあったことに心を打たれました」と話します。
吉川学長はこれから社会に出ていく卒業生・修了生に向けて「これは自分が本当に好きだと思えることを大切にしてほしい」「人生でやってみようか、やらないでおこうか迷うことがあったときには、まずはやってみようと選択してほしい」という言葉を贈りました。
東北芸術工科大学 学長 中山ダイスケ先生の祝辞では、パンデミックの中でもなんとか起点を利かしアイディアを巡らせながら様々な経験を経た卒業生・修了生にお祝いの言葉を贈りながら、パンデミックを機に一気に加速した一つの大きな社会の変化、「芸術大学を出た人が特別扱いされる世の中が終わってしまった」ということをあえて卒業生・修了生に伝えました。「散々な目にあった人類は、これまで頼りにしていた政治力や経済力、マスメディアといった大きな力を盲目的に信じることを諦め、困難を乗り越えるために自らアイディアや工夫を凝らし、生きるために大切な価値観や美意識を一人一人が追及していけるようになった。それはこれまでアートやデザインを勉強していた人の得意技だったはずのことですが、誰もがアートやデザインという力を駆使できるようになりました。つまり、広い意味でアートやデザインといったクリエイティブの有用性が社会の様々な場面で広く活用され始めたということです」。
「どうか自分達を特別だと思わないでください。今だからこそ、身近にある普通の風景を見つめ直してみてください。我々プロこそ、日々の些細な変化日々感じる美しさや儚さ、人間が織りなす心の機微のようなものにもっと敏感になり、素人よりもずっと謙虚になるべきなのです」と続けます。「あなたが学んだ芸術大学の当たり前を疑うところから始めてみてください。もう学校という時間は終わり、指導教官もいません。あなたは自由です。どうかあなたの身近な世界を教材として、謙虚に学び続けてください。そうすればきっと、あなたが世界を明るく照らしてくれることだと思います」。
続いて、学生サークル「和太鼓悳(わだいこ しん)」による祝奏があり、「燦(さん)」を演奏しました。一打一打に卒業生・修了生へのお祝いの想いが込められ、講堂に広がるその勇壮な音色は、体の芯まで響きわたりました。
卒業・修了生を代表して卒業の辞を読んだのは、映画学科の柏原音生さん。学生生活で取り組んだ瓜生山ねぶたや映画学科の北白川派プロジェクトで映画『CHAIN』の制作に携わったこと、ゼミで映画制作をしたことなど、とにかく学びを得られる経験がたくさんあったと話します。
柏原さんが卒業制作として携わった映画『さみしくない道を選んで帰る』について、尊敬する映画監督の方からいただいた言葉を紹介しつつ、「高原校舎で映画学科の先輩や後輩、同期、先生たちとたわいもない話を繰り返したこと、いつもそこにいる一匹の可愛い野良猫と地域の方々に出会えたこと、京都の母親と思えるような人がいるお店へ晩御飯を食べに通い詰めたこと、そういった制作と向き合う日々を支えてくれていた小さな記憶たちが思い出されました。京都で、この大学で、今しか映し出すことのできない作品を生み出せたのかなと嬉しく感じました」と振り返りました。
卒業生からの熱い思いを受け取り、徳山豊理事長から歓送の辞が贈られました。お祝いの言葉が贈られるや否や「皆さんと集合写真を撮らせてください」と徳山理事長からのご提案。吉川学長と徳山理事長、そして卒業生・修了生の記念すべき集合写真が撮影されました。
「これからもこの大学は卒業生のみなさんと共に成長し続けます。決して成長することをやめません。これから先それぞれの進まれた道の中で、悩んだり壁にぶち当たったりしたときには、きっと今まで学んだことの引き出しを開けるとその問題を解決するヒントが隠されているはずです。どうしてもそのヒントが見つからないときは、ぜひ大学に戻ってきて先生や後輩たちとみなさんの悩みや考えについて一緒に話し合いましょう。そうすることできっと新たな道が開けるはずです。どうぞこれからも成長し続けてください」とこれからの学校づくりへの固い誓いと卒業生へのはなむけの言葉で締めくくられました。
そして最後には、学園歌『59段の架け橋』が流れ、歌詞にこれまでの学生生活を重ねながら、静かに聞き入りました。
卒業式閉式後には、各学科で分科会が行われ、卒業生・修了生お一人ずつに証書を授与。そして、先生方から卒業生・修了生に力強いエールがありました。同窓生、そしてお世話になった先生方と大学で過ごす最後の大切な時間。笑顔と涙に溢れた分科会の様子をお届けします。
在学生から卒業生へのサプライズプレゼントとして、学生自主活動団体「おCHA☆かい」による「卒業式サプライズ企画 -想い描いた軌跡-」が人間館1階のカフェ前で放映されました。卒業生・修了生の学生生活の思い出の写真をまとめた動画で立ち止まって見入っている卒業生も!
また、学生自主活動団体「@PIECE(アット・ピース)」による壁画も卒業式の日にお披露目され、卒業生の門出を祝いました。こうした在学生からの思いもよらないサプライズに感激している卒業生の姿が見受けられました。
卒業生・修了生のみなさん、この度はご卒業誠におめでとうございます。みなさんの新しい生活が素敵なものであるよう、心よりお祈りしています。また必ずお会いしましょう!
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