NEWS2022.09.30

教育

2022年度「松陰芸術賞および瓜生山学園賞」受賞者発表

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  • 京都芸術大学 広報課

2022年度の松陰芸術賞および瓜生山学園賞の受賞者がそれぞれ決定いたしましたのでご報告いたします。尚、2022年10月29日(土)に開催されるホームカミングデーにおいて授賞式が執り行われます。その模様をYouTubeLIVEにて生中継しますので、ぜひご覧ください。

 

2021年度受賞者

松陰芸術賞
楊喩淇(よう・ゆき)さん(2020年度 大学院修士課程 ペンティング領域修了)

瓜生山学園賞
伊東勝さん(2000年度 大学院修士課程 メディアアート分野修了)

ホームカミングデー2022
http://www.uridou.jp/hcd/2022/

 

松陰芸術賞

楊喩淇さん(2020年度 大学院修士課程 ペンティング領域修了)

社会活動を活発に行い、優れた成果が期待できる卒業生・修了生に授与される賞。第四代学長 千住博教授を中心に毎年一名を選定し、今後の活動にエールを送るものです。

【過去の受賞者】
2009年度:石井鈴さん(美術・工芸学科 日本画コース卒業)
2010年度:藤本絢子さん(大学院修士課程修了)
2011年度:菅かおるさん(美術科 日本画コース卒業)
2012年度:西垣肇也樹さん(大学院修士課程修了)
2013年度:今川教子さん(美術・工芸学科 日本画コース卒業)
2014年度:叶野千晶さん(通信教育部 美術科 写真コース卒業)
2015年度:中村貴弥さん(大学院修士課程修了)
2016年度:山﨑鈴子さん(大学院博士課程修了)
2017年度:佐藤真美さん(美術工芸学科 洋画コース卒業)
2018年度:笠井遥さん(大学院修士課程修了)
2019年度:吉岡由美子さん(大学院(通信教育)修士課程修了)
2021年度:大和美緒さん(大学院修士課程修了)
※学科コース名は在籍当時の名称。

 

【松陰芸術賞選考理由】

楊喩淇(よう・ゆき)さんの作品について

「日本画の国際化」が話題になることが多くなってきました。
草間彌生さん、村上隆さんのように、日本画を学び、独自のジャンルを確立して、世界的作家になる人の活躍に眼を見張るものがあるのもその一環でしょう。
私の場合のように、あくまで日本画にこだわりながら、その新しい可能性を切り開いて、海外でも積極的に活動をすることもその一例です。

もう一つ忘れてはならないことがあります。
それは海外から日本に留学してきて、日本画を学ぶ優秀な人たちの存在です。
例えば今年の第二回三越伊勢丹日本画大賞は、大賞も準大賞も中国からの留学生たちでした。
このコンクールに関して言えば、20作の入選のうち、5作が留学生の作品だったのです。

また佐川美術館が優れた日本画家の顕彰のため、栗和田榮一賞を毎年出していますが、昨年の受賞者は今回松陰賞の楊喩淇さん、一昨年は中国から本学に学んだ留学生だったのです。

留学生たちは、日本にいては忘れられてしまうような日本画の特性や、技法のすばらしさに敏感に反応し、わざわざそれを学ぶために日本にやってきた人たちです。
そして今や日本画の伝統を押し広げる側に身を置くに至っています。
これが「日本画の国際化」の忘れてはいけない今ひとつの側面です。

日本画の担い手に、新しく参入して来た才能のある海外の人たちも加わる、という時代も来ているのだと思います。
千年前に中国から渡ってきて、強い中国文化の影響下で雪舟や狩野永徳が生まれ、ここに至った日本画の歴史を考えれば、それはとても自然なことです。

その中で、今回の、楊喩淇さんは特に活躍がめざましく、日本画界の期待の星と言われる存在になってきました。
夜の自然に標準を設定し、そこに咲き誇る繊細で力強い生命を透明感のある美しい空気感と湿度感で迫る作品を描いています。
作品はデリケートで詩的です。月の光や水音は本来日本人の得意とするところでしたが、ここに至って、楊喩淇さんはそれを自家薬籠中の物としています。
それに加え、どこか悠久のダイナミックさと堂々とした大胆さを併せ持つのは、育った中華文化圏ゆえかもしれません。
暗い色を使っていても、絵は決して暗くありません。それは楊喩淇さんの持つ精神の聡明さと知性、色感の良さに加え、生まれ持った心の明るさからではないでしょうか。

楊喩淇さんのますますの活躍を応援し、今回名誉ある松陰芸術賞を贈ります。

 

千住博 本学特別講座教授、日本画家、日本芸術院会員

 

  

 

楊喩淇(よう・ゆき)


1995年、台湾生まれ。
京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)大学院修士課程ペンティング領域日本画専攻2020年修了

2017年 
第35回 明日をひらく絵画 上野の森美術館大賞展 一次審査賞  上野の森美術館/京都府京都文化博物館

2018 年 
京都造形芸術大学 美術工芸学科 日本画コース 卒業
京都造形芸術大学 卒業制作展 奨励賞
佐川美術館 粟和田栄一賞 (作品は美術館所蔵)
個展:楊喩淇 日本画展「月光」 ギャラリー恵風・京都
画心展Selection vol.15 佐藤美術館・東京
神山財団芸術支援プログラム奨学5期生
“るーきー”日本画展 阪急梅田本店 阪神美術画廊

2019 年
第43回三菱商事・アート・ゲート・プログラム チャリティー・オークション 入選
Seed山種美術館日本画アワード2019ー未来をになう日本画新世代 入選
“るーきー”日本画展 阪急梅田本店 阪神美術画廊

2020 年
京都造形芸術大学 大学院修了展
佐川美術館 粟和田栄一賞 (作品は美術館所蔵)
京都造形芸術大学 修士課程芸術表現専攻 ペンティング領域日本画専攻 卒業
第一回三越伊勢丹千住博日本画大賞展 入選
第75回春の院展 初入選
再興第105回院展 初入選

2021年
佐川美術館「新鋭日本画展」 滋賀県佐川美術館
京都日本画新展2021 優秀賞
第三回気根来会日本画展 SOGO広島店美術画廊
第76回春の院展
ArtWeek@Nihonbashi 日本橋三越本店
個展:楊喩淇 日本画展:「煙花」 ギャラリー恵風・京都
再興第106回院展
日本画特展「無尽的彼端」 台湾・NEPTUNE GALLERY

2022年
「京都日本画新展」受賞者三人展 京都高島屋
2022気更来会選抜日本画展 松坂屋名古屋展8階美術画廊
2022 ART TAINAN 台南晶英酒店
再興第107回院展 入選
日本美術院 院友

《短夜》
《雨火花》
《不眠》

 

瓜生山学園賞

伊東勝さん(2000年度 大学院修士課程 メディアアート分野修了)

開学40周年を記念して創設された、学園の卒業生・修了生を表彰する制度。その活動が、建学の理念「芸術的創造と哲学的思索によって、良心を手腕に運用する新しい人間観、世界観の創造を目指す」を体現し、広く社会に貢献している方に贈られるものです。

【過去の受賞者】
2017年度:岳鈺(YUE Yu)さん(京都芸術短期大学最初の留学生)、束芋さん(デザイン科 情報デザインコース卒業)、土村芳さん(映画学科 映画俳優コース卒業)
2018年度:宮永愛子さん(美術科 彫刻コース卒業)
2019年度:井上安寿子さん(舞台芸術学科 舞台芸術コース卒業)
2021年度:山下賢太さん(環境デザイン学科 地域デザインコース卒業)
※学科コース名は在籍当時の名称。

 

【瓜生山学園賞選考理由】
伊東勝は、東京・芝浦で広告制作会社を経営し、パッケージデザインやビジュアル制作をベースに活動をしていますが、社屋を活用して周辺の事業所・従業員、このまちに暮らす人、まちを行き交う人たちがつながり、新たな関係が生まれる町を目指してさまざまな試みを展開しています。

 

伊東勝(いとう・まさる)


1974年千葉県生まれ。
京都芸術大学大学院修士課程メディアアート分野2000年度修了。

2011年、父親から引き継いだ製版会社の社屋を建て替え、SHIBAURA HOUSEとしてリニューアル。建築家の妹島和世さんによってデザインされた社屋の一部を開放し、地域に暮らす人達のコミュニティスペースとしても運営している。

近年は社会課題とクリエイティブを結びつけたプロジェクトにも力を入れている。
「OPEN! FURNITURE」は、芝浦・三田のコミュニティスペースや神社、個人商店などと連携して、それぞれの場所で誰でも使える家具を製作。家具をコミュニケーションツールとしてさまざまな人たちが集う場所をつくることをコンセプトにしており、その検討過程で人が集まりその場所でどんな集いが生まれるのか、地域の人と想像しながら家具を検討し製作するという行為自身がすぐれたメディアになっている。

2022年には「nl/minato for Doughnut City」として、オランダ大使館や地域のさまざまなステークホルダーと協働し、港区の地域課題解決の取り組みも行っている。また「水辺のまち サーキュラーLAB.」として、港区芝浦港南地区総合支所と芝浦港南エリアにおける水辺との関わり方を考え、実践していくプロジェクトを立ち上げている。

港湾地区の事業所と運河をはさんだ芝浦アイランドなどの新しく移り住んできた居住者の接点となる社屋を拠点としながら、さまざまな人たちに社屋を使ってもらい、また広く港区を舞台に社会のかかえる課題とデザインをつなげる活動をしている。

SHIBAURA HOUSE ワークショップ
SHIBAURA HOUSE BUILDING(Photo:Iwan Baan)
SHIBAURA HOUSE nl/minato(エヌエル・ミナト)※港区を舞台にした学びのプログラム
SHIBAURA HOUSE community

 

お二人の受賞をこころからお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。

 

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