REPORT2022.05.11

教職員の成長が学園の成長につながる。― 第1回「薫習賞」受賞者発表

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  • 京都芸術大学 広報課

2022年度より瓜生山学園に教職員の表彰制度「薫習賞(くんじゅうしょう)」が新しく立ち上がりました。「薫習賞」は、本学の建学の理念である「藝術立国」「京都文藝復興」の実現に向けて共に努力し、働いている仲間を賞賛し合う風土を醸成し、すべての教職員の成長に繋がることを目的として設立されました。

「薫習賞」の考案者であり、主催者でもある徳山豊理事長に詳しく立ち上げの背景をお伺いしてみました。

―「薫習賞」という名前の由来を教えてください。

「薫習」とは仏教の教えで、お香を炊くと自然とその部屋や敷物まで香りが染みついてしまうように、人の精神や行いが心の奥底まで影響を与えることを意味します。
瓜生山学園で働くみなさんが、互いの良いところを認め合って自分の成長に繋げてほしい、「薫習」の連鎖が広がってほしいという願いを込めて「薫習賞」としました。

―優劣や勝敗ではなく、共に働く仲間の良いところを知って高め合う賞なのですね。

はい。賞をとることが目的ではなくて、仲間の努力を共有し、学び合う環境を作ることが一番の目的です。もちろん学園には人事評価制度がありますが、日々の仕事はそれだけではないはずなんです。たぶんみんなそれぞれ評価軸ではないところで、頑張って工夫しているところがいっぱいあると思うんです。

でも、その努力はなかなか表に出てこない。気が付いていても共有することはなかなかありません。瓜生山学園にはこんなことを考えて仕事をしている仲間がいるということを学園内で共有することで、どんどん切磋琢磨される。仲間を賞賛し合い、お互いの成長につながるような風土をつくりたいと考え、「薫習賞」を立ち上げました。

―確かに職場で仲間の良いところを話す機会はあまりない気がします。

そうですね、「この人のココいいな」と思っていても、あまり職場で話す機会はありませんよね。同じ部署ならまだしも、違う部署ならもっと。

だからこそ、学園内でどんな人が働いていて、その人たちがどんな工夫をしているのか、そんなことが自然と共有できるようになればと思います。「薫習賞」をきっかけに、普段からもっと仲間の良いところを見つけて、素敵なエピソードが話題にあがるような環境になっていくよう期待しているんです。


そんな徳山理事長の想いから設立された「薫習賞」の選出にあたっては、瓜生山学園で働くすべての人が投票に参加。その際、推薦理由となるエピソードも投稿され、受賞者は得票数のみならず、エピソードを踏まえて総合的に選ばれました。

受賞者は2022年4月1日に開催された教職員総会で発表され、記念すべき第一回授賞セレモニーが執り行われました。瓜生通信にて、気になる初年度の受賞者と一部の推薦エピソードのご紹介、そしてセレモニーの様子をお届けします!

春秋座にて授賞セレモニーが開催されました。

 

教学支援三課 北川茂登子さん

美術工芸学科の学科事務として働く北川茂登子さん。美術工芸学科には合計6つのコースがあり、通学部では大型の学科となっています。総勢700名ほどの学生生活をまとめながらも、学生や教職員に愛をもって向き合う、ほっこりとしたエピソードが集まりました。

北川茂登子さん。

緊張を和らげ、雰囲気をあたたかく
一緒に働く教職員やゲストに対して常にさまざまな形で心を配ってくださっています。研究室に美味しい軽食やお菓子をつまめるように用意してくださったり、ゲストのお弁当を京都ならではの美味しいお店でわざわざ調達してくださったりして、職場の緊張を和らげ、雰囲気をあたたかくしようと努めてくださいます。北川さんのそのようなさりげないお心遣いのおかげで、マスク生活が続くなかで失いかけていた穏やかな時間や人間的なお付き合いの大切さを思い出し、自分も周囲への気配りを忘れたくないものだと襟を正す思いです。

まさに学科のお母さんのような存在
事務局と教員を繋ぎ、悩める学生の個々の状況も把握して、寸暇を惜しんで真摯に対応されている姿には本当に頭が下がります。締切の催促やら、書類の不備やら、あえて憎まれ役も買わなければならないお役目。でも、どんなに忙しくても、特に学生対応のときには、一人ひとりの事情を大切にし、どこまでも親身に愛を持って接する姿勢は絶対にぶれない方です。研究室では時々、美味しいおにぎりやおやつを振る舞っていただくこともあり、皆ほっこりします。まさに学科のお母さん的存在です。

受賞コメント
この度は、薫習賞を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
薫習賞を設立くださいました理事長をはじめ、学科の先生方、上司の皆様、職員の皆様に支えていただき、このような賞を受賞させていただきました。心より感謝を申し上げます。
私は2000年度4月より学科担当として業務の現場に就かせていただいております。先生方をはじめ職員の皆様とのコミュニケーションを大切にし、学生の皆さんを先生方、各署職員の皆さんに繋げ、充実した大学生活を送っていただけるよう尽力させていただきたい。ただただこの一念でした。
みなさまからの心温まるエピソードをいつまでも心に刻み、これからも精進してまいりたいと思います。
 

通信教育課程 芸術学科 栗本徳子先生

美術史研究者・文化史研究者である栗本徳子先生は、通信教育課程の歴史遺産コースで長きにわたって教鞭をとられています。この春には、教育活動へのご尽力が評価され「名誉教授」の称号記が授与されました。栗本先生ならではのエネルギッシュなエピソードが寄せられました。

栗本徳子先生。

楽しみを見つけながら仕事に向き合う
茶道関係の授業や行事では、道具・お花の手配から着物の管理・着付けに至るまで、栗本先生のこれまでのご経験とお知恵があって実現できたことが多々ありました。特に2021年度は、学生の茶道同好会立ち上げにも尽力され、学園内のさまざまな場所で奔走されています。何事にも労を厭わず、ご自身も楽しみを見つけながら向き合われる姿勢は、教員としても文化人としても見習うべきところが多く、ここに推薦させていただきます。

一切妥協のない熱意ある姿勢
常に全力投球で妥協しないその姿勢に脱帽です。全国に学生がいる通信教育という学習形態でありながら、定期的に卒業生が参加できるイベントを企画されたりと、常に学生に近い存在であり続けておられます。また、「瓜生通信」への寄稿記事についても、どんなに忙しくても記事の内容には妥協されません。栗本先生の熱意ある姿勢を見て、いろんな人が栗本先生のための協力を惜しまないように感じます。

受賞コメント
大人になりましてから、受賞などということからはとんと縁もなければ、特に願ったこともない暮らしぶりをしてまいりました。
新たに理事長の思いで創設いただきました薫習賞を、定年退職の翌日、春秋座の壇上で頂戴することになりましたこと、誠に恥ずかしくも嬉しいサプライズでございました。
しかも、もったいないような推薦の皆様からのお言葉に、こんなに暖かく見守っていてくださる同僚に恵まれていたことを、感謝とともに本学でお仕事を続けてまいりましたことの幸せを改めて噛みしめさせていただきました。
これからもこの賞に恥じないように、本学や社会に努められますよう、日々心してまいりたいと存じます。本当に、ありがとうございました。
 

教学支援一課 薦田祐子さん

学生生活に関わることや、学生からの相談など学生支援を担当している薦田祐子さん。いつも人間館1階にある窓口で学生を出迎え、学生から寄せられるさまざまな困りごとや相談に耳を傾けています。薦田さんのあたたかいお人柄を感じる、優しさあふれるエピソードです。

薦田祐子さん。

学生への優しいまなざし
どんな学生も薦田さんとお話している時はとっても素直な表情を見せるので驚きます。薦田さんが日々いかに優しく学生に接しているか、学生のことを思って対応しているかが想像でき尊敬します。部署や業務によっては学生に対して事務的に接してしまうことも多いですが、薦田さんの学生への優しいまなざしを見てからは、できるだけ親身になって対応するよう心掛けています。

一人ひとりの学生の声に耳を傾ける
学生生活の窓口として、苦境に立つ学生を支えてこられました。一人ひとりの学生の声を丁寧に聞き、教職員とも連絡を密にとってくださったおかげで学業を続けることができた学生は数多いと思います。感謝の思いを込めて、推薦いたします。

受賞コメント
この度は薫習賞を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
理事長をはじめ、春秋座での授賞セレモニーをご用意いただいた関係各部署の皆様、記念品をデザイン・作成いただいた関根様、そして今回の瓜生通信でのご紹介の場をご用意くださった法人課・広報課の皆様にあらためて御礼申し上げます。
そして、推薦のメッセージをいただいた皆様、日頃、遠くから近くから、様々なかたちで支えてくださっている教職員の皆様に深く感謝申し上げます。
恐縮ながら、賞に恥じぬようにと身を引き締めるのと同時に、本学園には陰になり日向になり学生や教職員や学園に関わる色々な方の支えになっておられる方が本当に沢山いらっしゃいます。その方々に支えられ、私も日々、学生や業務に向き合えています。
そのことに感謝するとともに、当たり前のことですが、学生がいるから(学生のために)私達教職員がいるということを忘れず、この大学に来てよかったと真に思ってもらえる場所であるよう、これからも考え行動していきたいと思います。
 

教学支援三課 西田朋子さん

西田朋子さんは、こども芸術学科の学科事務として学生の学びをサポートされています。教育実習や資格・免許の取得など学外での事務的な手続きも多い学科。仕事は丁寧で正確、そして常に学生思いな仕事ぶりを感じるエピソードが届きました。

西田朋子さん。

確実な仕事で支えられる学び
在学生には教務、実習、資格免許取得、キャリアに必要な諸手続きを親身にサポートされています。そういった確実な手続きがあるからこそ学生の学びは支えられています。一人ひとりの学生の最善の利益を考えて、どんな時も丁寧、的確、迅速にご対応してくださっています。
全国で活躍する卒業生たちは、研究室を訪ねた際、西田さんに会えることでほっとして笑顔になります。仕事の様子や体調面などさりげなく気遣ってくださるので素直な気持ちを話すことが出来ています。

目配り・気配り・心配り
学科の運営が滞りなく進められるよう、いつも目配り・気配り・心配りで働きやすい環境を整えてくださっています。仕事ができることや仕事に対する真摯な姿勢だけでなく、人格的にも優れ、教職員だけではなく、学生も含め、こども芸術学科の誰もが認める、学科にとって、京都芸術大学にとってなくてはならない人材です。

受賞コメント
この度は、薫習賞を授与していただき、誠にありがとうございます。思いがけないことに驚いたのと同時に、身の引き締まる思いです。いつも穏やかに丁寧に学生と向き合っておられる先生方と副手がいての受賞だと、心から感謝いたします。
入職して9年こども芸術学科の学科担当として、先生方と副手と共に学生に一番近い職員として、学生にとっての最善を考え日々業務に取り組んできました。
事務職はミスをして迷惑をかけることはあっても、正確さが成果になることはありませんが、学生が、京都芸術大学で学んでよかったと感じ社会に巣立つことが、自分の仕事の一番の成果なのかと思っています。
これからも、学生の「よかった」の一翼を担えるよう、丁寧に仕事に向き合っていきます。
 

京都芸術大学附属高等学校事務室 彦根可奈さん

京都芸術大学附属高等学校の事務室で働く彦根可奈さん。いつも笑顔を絶やさず、高校生の学生生活を滞りなく運営するために必要な事務の全般を担われています。どんな時も愚痴を吐かず、誰に対しても平等に丁寧に接する彦根さんのお人柄を感じるエピソードが集まりました。

彦根可奈さん。

縁の下の力持ち
柔らかい言葉と誠実に応える姿勢が素晴らしいです。今年度、何人かの保護者、中学校教員から、「丁寧に対応していただいた」という声を聞きました。
学校説明会のときは、全体の運営も含めて縁の下の力持ちとして陰になり日向になり、笑顔で、来校される保護者・生徒を迎えることが志願者増に繋がったと思います。特に、リピーターに対して名前で〇〇君、〇〇さんと呼びかけることは心に響いて、たとえ本校に入学しなくても好印象を与えていると思います。

いつも変わらない安心感
生徒、保護者、来客はもちろんのこと、教職員に対しても、常に安定した状態で対応してくれる安心感があります。愚痴も聞いたことがありません。自分自身、体調や機嫌で態度が変わってしまうことがあるので、見習わなくてはならないと思っています。

受賞コメント
この度は貴重な賞を頂戴し誠にありがとうございます。京都芸術大学附属高等学校は本年度で開校4年目を迎えるまだまだ新しい学校であり、一緒に働く教職員の皆さんと日々を作り上げている状況です。教職員一人ひとりのお人柄に助けられ、私も仕事をすることができているので、本来であれば私がお礼をお伝えしなければならない中、このようなお言葉をいただくことは恐縮と感じつつ嬉しくも思います。
教職員の雰囲気はそのまま学校の雰囲気となり、在校生や高校選びをする中学生に伝わっていくと思うので、これからも皆さんと力を合わせ過ごしていきたいと思います。
みなさま、京都芸術大学附属高等学校を今後ともどうぞよろしくお願い致します。
 

アドミッション・オフィス 湯浅美樹さん

湯浅美樹さんは通学部の学生募集を行う部署で働いています。大学案内パンフレットやWEBサイトの制作のほか、説明会やオープンキャンパスの実施など、高校生に向けた情報発信を行っています。自分自身が面白がりながら仕事をする、湯浅さんの仕事への姿勢が伺えるエピソードです。

湯浅美樹さん。

好奇心に満ちた誠実な仕事ぶり
各学科の最新情報や授業の様子などを発信する「KUA BLOG」にて、文芸表現学科の学生が美術工芸学科に潜入取材して記事を書くシリーズを、企画の立ち上げ時から担当されています。おもしろい先生方や、他大学とは一味ちがう魅力のある授業を、いつも取材対象の候補として的確にピックアップしてくださいます。学生の記事にも丁寧にアドバイスをしていただき、アクセス数が伸び効果をあげています。さらに、取材執筆に携わった学生たちは、執筆力、責任感、コミュニケーション能力、場をつくる力などを飛躍的に伸ばしました。文芸表現学科の学生たちは、目を輝かせて「芸術大学に来てよかった。ここでないと書けないものに挑戦できて嬉しい」と取材に臨んでいるところです。
湯浅さんのそうした好奇心に満ちた誠実な仕事ぶりがあってこそ、「KUA BLOG」は2021年の12月に「コンテンツマーケティング・グランプリ2021・教育コンテンツ部門グランプリ」をめでたく受賞したのではないでしょうか。

受賞コメント
この度は、栄えある薫習賞にお選びいただき、誠にありがとうございます。自分には縁遠いものと思っておりましたので、配信動画で受賞を知り、声を出して驚きました。
コメントにいただいたブログに関してもそうですが、日々の業務すべて、自分だけでは成しえないことばかりで、まわりの教職員の皆さんが支えてくださっているおかげだと感じています。今後も、自らを更新し続ける意識を常に持ち、多くの方々とともに協力しあいながら、仕事に邁進していきたいと思います。
授賞式後、教職員の方たちからたくさんの温かいお祝いメッセージもいただきました。最後になりましたが、このような機会を与えてくださった皆様に感謝申し上げます。
 

第1回 瓜生山学園 薫習賞 授賞セレモニー

授賞セレモニーでは、理事長から受賞者の発表があり、会場には祝福の拍手が響き渡りました。受賞者は舞台に登壇し、理事長より今回のために特別に作られたネームストラップが一人ひとりに授与されました。瓜生山学園のロゴの色であるブルーのストラップに、金字で「URYUYAMA ACADEMIC FOUNDATION(=瓜生山学園)」と印字されています。
学内で金字のネームストラップを付けている人がいたら、それは間違いなく「薫習賞受賞者」です!ぜひ声をかけてみてくださいね。

ネームストラップ特別バージョン!
一人ひとりに授与されました。


また、受賞者には記念品として浴衣が贈呈されました。学生にも「薫習賞」に携わって欲しいとの理事長の考えから、京都芸術デザイン専門学校の授業にて浴衣デザインに取り組んでいただきました。「薫習賞」の主旨をふまえ、“つながり”というテーマが設定され、受講生133名の中から2021年度卒業生の関根環さんのデザイン「ネットワークサフィン」が採用となりました。

理事長と受賞者のみなさん。※当日は彦根可奈さんと湯浅美樹さんはご不在でした。

 

京都芸術デザイン専門学校の卒業生である関根環さん。

関根環さんよりメッセージ
この度は、薫習賞授賞セレモニーの開催、誠におめでとうございます。学校の雰囲気や身近でサポートしてくださっている教職員の方々の顔を思い浮かべながら、このデザインを作成しました。私がデザインをしたこの浴衣を着る教職員の方々、そして周りの方々も笑顔になっていただけることを願っています。私もこの4月から、社会人としての新しい生活をスタートさせました。1日でも早く、デザイナーとして活躍できるように頑張ります。瓜生山学園の益々のご発展を祈念し、お祝いのコメントとさせて頂きます。

遊び心のあるピクトグラムが可愛らしく、白地に紺のデザインがとても映えていますね。関根さん、素晴らしいデザインをありがとうございました!


「瓜生通信」では日頃から学園のさまざまなアート・デザイン活動をお届けしていますが、今回はそうした学園を裏で支える教職員に焦点を当てた、いつもと少しテイストの異なった記事をお届けしました。
教職員表彰制度「薫習賞」は来年以降も続いていきます。徳山理事長は理想の学園像は「学生や生徒、園児にとって、自分の母校が誇りに思えるような学園であること」と語ります。そんな学園になれるよう、教職員一同これからも日々成長していきます。

 

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