INTERVIEW2021.09.08

アートプロデュース

私たちの夏が始まる ― 瓜生山大作戦~夏の懐祭り~

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  • 京都芸術大学 広報課

学内に突如現れた「瓜生山大作戦 ~夏の懐祭り(なつのなつまつり)~」のポスター。ゆかたに屋台にビンゴ… どうやら誰かが夏祭りを企画しているらしい。そんな噂を嗅ぎつけて、8/7(土)に開催された、イベントの様子を追ってみました。ふたを開けてみると、主催者も驚いたと言うほどの真夏のビックイベントとなりました。

このイベントを企画・運営したのは、学生有志団体「おCHA☆会」のみなさん。突然ふわっと現れて、突然学園を盛り上げた、謎に満ちた団体を調査するべく、メンバーの中川美里さん、松田花さん、諸優衣香さん、坪久田千春さんの3年生4名に企画段階から当日の運営まで詳しくお話をお伺いしました。

イラストレーションコース・坪久田千春さんによるポスター。

おCHA☆会と瓜生山大作戦

―「おCHA☆会」はどんな団体ですか?

社会実装プロジェクトに参加していて、昨年の冬に理事長にプレゼンテーションをする機会があったんです。普段の学生生活では理事長と関わる機会もないので、正直、勝手に怖い印象があって(笑)。すごく緊張していたのですが、理事長はとても親身にやさしく相談にのってくださいました。
そのつながりで、何度か理事長とお話する機会があり、「もっと学園を盛り上げたいよね」という話をするようになりました。
そこから芸術教養センターの森岡厚次先生に相談し、社会実装プロジェクトに参加してきたメンバーを有志で集めて、学園を盛り上げる流れをつくれるような団体をつくろう、と立ち上がりました。プロジェクトつながりなので、もちろんコースや学年もばらばらです。
 

―「おCHA☆会」の初めてのイベントは瓜生山大作戦ということですが、イベントのきっかけは?

もともとは「大学正面の大階段がさみしいね」という話題からです。
ずっと門も閉まっているし、みんなが大階段を見ただけでわくわくするような空間を作れたらと思いました。それに関連するイベントとして夏祭りを考えていたのですが、大階段の装飾は別枠で企画することになり、夏祭りの単独イベントになりました。
企画を考え始めたのは初夏だったので、「夏だ…夏祭りしたい!」みたいなテンションもありました(笑)。


あとは、京都市出身のメンバーがいるのですが、毎年祇園祭が楽しみで、そのために持っている浴衣も着る機会がなくてさみしいなって。祇園祭のような大きな祭りが開催されないと、地元の小規模な祭りはもちろん開催されないし。
私たちは3年生なので、コロナ前の大学生活を楽しめたのですが、後輩たちはコロナ後しか知らないので相当ストレスがあると思います。せっかく京都に来たのに、浴衣を着たり花火をしたり、普通に楽しめたはずのことができなくて、悔やんだりがっかりしている後輩を見て、そのためにもなにかできればと思いました。
 

―「瓜生山大作戦 ~夏の懐祭り~」のネーミングの意味を教えてください。

フェスのようなイベントにしたかったので、「京都大作戦」にちなんで「瓜生山大作戦」と。学園を盛り上げるイベント名としてしっくりきました。また、このイベントだけではなくて、今後も「おCHA☆会」がイベントを企画するときに使う恒例の呼称が欲しかったので、なにをする際にも使えるネーミングにしました。


サブタイトルの「~夏の懐祭り~は」、この夏祭りで懐かしさを感じてもらいたいと思って名付けました。コロナで中止になった夏祭りの懐かしさもですし、空間演出としては昔懐かしいレトロな雰囲気づくりをしたかったんです。祭りのビジュアルはイマドキだけど、イベントの中身は地元の地蔵盆のような親しみやすい感じで、現在と過去の融合を目指しました。

 

この1日だけは私たちの夏だった!

―当日のスタッフは「おCHA☆会」以外の学生もいたようですね。

はい、合計34名のスタッフが当日の運営のお手伝いをしてくれました。
過去に参加したプロジェクトの伝手で、仕事ができる学生をピックアップして片っ端から声をかけて募集しました。結構雑にお願いしたのに、みんな二つ返事で来てくれて。アルバイトでもないし報酬も出ないのに、快く引き受けてくれました。

とにかく接客上手なみなさん。
元気な接客に来場者も自然に笑顔になります。


Zoomで何度かスタッフ説明会を開催して、前日にリハーサルをしました。ほぼぶっつけ本番な部分もありましたが、できる学生たちなので安心して任せられました。案の定、当日の運営は完璧で、スタッフがいたおかげで夏祭りを成功させることができました。
 

―夏祭り限定通貨・“ウリウリ”がかわいかったです。

ありがとうございます!来場者からも「かわいい」と何度も言ってもらえてうれしかったです。
夏祭り限定通貨として、受付で10ウリウリ=600円、5ウリウリ=350円で販売しました。屋台は大体1~3ウリウリで価格設定をし、各屋台でウリウリを支払ってもらう仕組みです。
学生間の金銭授受になるので、お金の取り扱いはシビアに考え、現金管理を受付の一か所に集約しました。また、夏祭りの会場では現実を忘れて楽しんでもらいたかったので、ウリウリで支払うことで、ちょっとしたお小遣い感覚で遊んでもらえたらという狙いもありました。

五円玉を連ねたようなデザイン。音の響きもかわいらしい。

 

―空間演出のこだわりポイントを教えてください。

空間演出のテーマは “映えるフェス” です。
昔のコテっとしたザ・夏祭り!というよりも、もう少しシンプルかつナチュラル志向で、若者が好きそうな空間にしました。

色とりどりの提灯が会場を盛り上げます。


会場は外が良かったので、人間館のピロティを使いました。感染症対策にもなりますし、普段なら鬱陶しい夏の夜のじめっとした空気も、夏祭りだったら逆に良いと思いました。あと、写真映えを考えるとやっぱり空のある空間がいいなって!3mほどの高さにワイヤーを張って、さまざまなサイズのカラフルな提灯で空間を彩りました。
 

―やぐら、すごく大きかったですね。びっくりしました!

私たちも実際に立ててみて、でかいなって思いました(笑)。
あのやぐらはメインステージであり、メインオブジェであり、祭りの象徴的な存在です。最初は小さめで考えていたのですが、理事長に相談したところ「もっとでっかくいこう!」と言っていただけたので、できる限り大きくしました(笑)。

木の素材を生かしたやぐら。この木材は、他のプロジェクトで再利用する予定だとか。
提灯がカラフルな分、やぐらや屋台はナチュラルなデザインに。


実はあのやぐら、ねぶたの木組みの技法を用いて制作したんです。自分たちが1年生の時に学んだ経験を生かして、自分たちのできる範囲でやぐらの形にしました。後輩がやぐらを見たときに、「ねぶたの技法でこんなのが作れるんだ!」と思ってもらいたい。やろうと思えばなんでもできる。後輩に向けたメッセージでもあります。
 

―浴衣レンタルの企画では企業連携されていましたね。

実は、最初は企業に協力を仰ぐにも、来場者数が分からないイベントで利益も見込めないし、時間的な制約もあって浴衣レンタルの話は頓挫しかけていたんです。それを理事長プレゼンの時に相談すると、「やってみないとわからない」と後押ししてくださって。自分たちが始める前から諦めていたことに気づかされ、そこから一気に火がつきました。残りの1週間の間でひたすら企業リサーチをして、お伺いの電話をかけました。

何種類もの浴衣を前に悩んでいるみなさん。
本当にたくさんの人が浴衣を着ていました。会場は一気に夏祭りの温度感に。


ご縁があり、レンタル着物会社の華かざりさんにご協力していただけることになり、浴衣レンタル企画が実現しました!理事長の言う通り、本当に「やってみないとわからないな」とこの経験で気づきました。実は理事長も「おCHA☆会」のメンバーなんです(笑)。理事長からいただく意見には何度も背中を押されました。
結果的に、当日は浴衣レンタル受付開始前から、たくさんの人が並び出して予想外の反響がありました。“どうしよう”と不安に思ったくらいです(笑)。楽しそうにうずうずしながら待ってくれている表情を見て、とても嬉しかったです。

夏の夜と浴衣…最高です…


担当の方とお話する中で、中古販売のご提案もしていただき、一着500円で販売しました。これからクリエイターとして活躍していく上で、SDGsの観点からもリサイクルは考えていかなければいけない問題だったので、中古販売はやってよかったと思う企画の一つです。
 

―屋台のラインナップを教えてください!

“夏祭りといえば” で連想するベタな屋台がやりたかったので、射的、輪投げ、ヨーヨーを準備しました。駄菓子やラムネも販売しました。
企画時は「これ盛り上がらなかったらやばいな」って。店番スタッフにも、テンション高めの接客をお願いしたくらいです(笑)。
ところが当日は並ぶくらいの人が来てくれました。待ってるだけで暑いのに、並んでいる人が盛り上げ役になってくれて、誰かが射的を成功させたら「お~~~!!」と歓声もあがり、屋台付近が湧いていました。本当にみんなの笑顔がまぶしくて、並んでまで遊んでくれたのが嬉しかったです。

「おCHA☆会」のメンバー、理事長の輪投げ姿も!
どの屋台にも心待ちに並ぶ人の姿が。

 

―フリマはどんなものが集まりましたか?驚いた品物、面白かったもの、すぐ売り切れたなど教えてください。

教職員の出品物に学生は興味津々!


プロジェクターやバスローブ、中国のお土産、スワロフスキーのピアスなどが集まりました。でっかいしゃもじもあって、「誰が買うねん」と思っていたら、実際に買っている人がいてびっくりしました(笑)。反町隆史グッズも面白かったなあ。最後、余ってたのでもらっちゃいました(笑)
今回教職員のみなさんから、フリマへの寄付を募ったのですが予想以上に集まって、感謝の気持ちでいっぱいです!そして、思った以上にフリマも人気で、人をさばくのが大変でした…!
 

―メインイベントのビンゴはすごい盛り上がりでしたね。

ビンゴは全員無料で参加できるようにしていたので、たくさんの人が来てくれました。クイズ形式のビンゴで、クイズの答えの数字が穴を開ける数字になります。
司会のふたりには、形式的な進行ではなく、“ダベってる” 感じで、身内に楽しく喋るようなテンションで進行してほしいとお願いしました。それが結構ウケて、アットホームな雰囲気をつくることができました。

わいわいと盛り上がる一体感に満ちたビンゴ会場。


景品で盛り上がったのは、お米、たくさんのカップ麺、スイカとかですかね。
あと、理事長賞!当選者には、最初に理事長からの賞状授与という形にしたので、「賞状だけなのかな?」と思わせて、蓋をあけると豪華なお肉だった!っていう(笑)。会場のテンションはピークに達しました。
理事長が参加されていることをビンゴで知って驚いた学生も多かったと思います。写真を一緒に撮ったりして、「まさかの理事長とのツーショット!」みたいな感じで盛り上がっていましたね。

たくさんのカップ麺に笑顔いっぱい。
みんな大好き!お肉!

 

これまでの経験が生かされた夏祭り

―来場者の反応で印象的なものは?

まず、想定以上の盛り上がりでした。準備段階では来ても100人規模だろうなと予想していました。夏祭り前日には、みんなで三角座りしながら「明日だれもきてくれなかったらどうする?」ってネガティブなミーティングをしてたくらいです(笑)。でも、いざ当日を迎えるとなんと213名も来てくれました。本当に予想以上で、SNSも盛り上がっていて嬉しすぎました。

夏祭り中、やぐらに登った時に、会場を俯瞰して見た瞬間があったのですが、今まで話したこともないだろう芸大生同士が楽しそうに話していて、「あ、コミュニケーションが生まれてる!」って感動しました。

そしてなんだろう、あの会場には夏祭りの “一体感” のようなものができていたように思います。主催者側だけが盛り上がっているわけでもなく、来場者だけがはしゃいでいるわけでもなく。どちらかのテンションが行き過ぎると、一歩引いてしまう人も生まれるけど、あの時間、あの場にはそういう空気感がなくて。みんなが、良い夏祭りだと思って、同じ時を過ごしているような感覚でした。


当日はバタバタしていたので直接ではなかったんですが、後日SNSを通してDMがきて、「こんな祭りをしてくれて、夏の思い出を作ってくれてありがとう」と感謝の言葉が何件も届きました。スタッフの学生も、運営側に回ってくれていたから夏祭り自体は楽しめていないはずなのに、「面白かったよ」「誘ってくれてありがとう」と声をかけてくれました。完全ボランティアだったので、そんなことまで言ってくれて本当にありがたかったです。
 

―みなさん社会実装プロジェクト経験者とのことですが、経験は生かされましたか?

もうめちゃくちゃ。生かされまくりです。まず、話し合いが進むのが爆速なんですよ。ミーティングがどんどん進むので、めっちゃ楽しかったです。
「おCHA☆会」のメンバーはみんなプロジェクト経験者。これやってほしいなと思うことをわざわざ言わなくても、自分のやるべきことをスッと見つけて勝手に動いてくれていました。得意なことはメンバーそれぞれで、アラがあっても誰かが埋めてくれるし、本当に歩きやすい道ができます。
こんなに物事がスムーズに進むのも初めての経験だったので、メンバーそれぞれの力を感じるとともにプロジェクトの経験が私たちを支えてくれているなと実感しました。

それぞれの得意分野を生かして助け合います。
準備現場でも話し合いを重ねながら進めます。


プロジェクトに参加したことによって、コースの垣根を越えた人脈ができたことも大きいです。いろんな話を聞けるし、他コースの技術を盗んで自分に取り入れることもできます。
例えば、イラレがあまり使えなくても、他コースの子に教えてもらって習得することができたとか。めっちゃ苦戦してたのに、教えてもらったらボタンひとつで完了するなんてこともしばしば(笑)。プロジェクトでの学びや他コースの友達からの学びが、自分の所属学科での学びにも還元されていく。相乗効果やばいです、プラスしかない!(笑)。
 

―瓜生山大作戦と並行して、プロジェクトに参加している方もいるとか。

実は私たち4人、現在もプロジェクトに参加しています。大体プロジェクトへの参加は2年生の後期が最後の人が多いですが、特に私たちの代は3年生になっても続けている学生が多いように感じます。
私たちは2年生の時にLA(ラーニングアシスタント)も経験しているのですが、LAになった時はコロナの影響ですべてオンラインでした。本来とは違う形での参加だったので、対面が少しずつ許されてきた今、オンラインとは違う経験を求めてプロジェクトに再度参加しています。そのこともあって、3年生になった今でもプロジェクトに参加しています…単純にプロジェクトが面白すぎて、やめられない気持ちもありますが(笑)。
 

―最後にお一人ずつ感想を聞かせてください。

中川美里さん:一番感動したのは、メンバーみんなが “誰かのために” という心をもって活動してくれているのがずっと見えていたことです。私はこのイベントの統括をしたのですが、本当に名前だけで(笑)。メンバーに任せたことも多くて、統括として何もできていないと思っていたのですが、メンバーは「そんなことないよ!」と言ってくれます(実際他3人は中川さんの話を聞きながら激しく首を横に振っていました)そんな人間関係をつくれたことを嬉しく思います。

今回のイベントは、自分たちの等身大を見せられたと思います。瓜生山学園生に「学生が学園が盛り上げることができるんだ」「もしかしたら自分にもできるかもしれない」と思ってもらえていたらこの上ない喜びです。


松田花さん:夏祭り会場の様子を見ていると、みんながめっちゃ笑顔で、「あ、この景色。これが見たくてがんばってたんやわ」って。準備の大変さも飛んで、やってよかったに尽きるなあと思いました。
プロジェクトの経験がなかったら、全体のシフトやスケジュールを組んだりすることができなかったと思うので、プロジェクトでの学びに感謝でいっぱいです。自分ができると思っていなかったことも、やってみると案外楽しくて、新しい自分を知ることができました。今後の就職活動の視野も広がって、収穫の多いイベントになりました。


坪久田千春さん:ポスターやSNSの画像などビジュアル面を担当したのですが、自分が制作したものを実際に見て、「かわいい」と言ってもらえたことが嬉しかったです。屋台担当のメンバーが私の作ったビジュアルに合わせて屋台の看板を作ってくれたりとかして。その完成度にも感動しました。
「おCHA☆会」のメンバーは「オールスターじゃない?」と思うほどでした。自分がこの団体のメンバーでいられるのもありがたいと思ったし、やろうと思えばなんでもできることを改めて痛感しました。


諸優衣香さん:想定以上の人が来てくれて、集客を頑張った甲斐があってうれしかったです!「ポスター気になって来ました」「SNS見て来ました」など、来場者からの反応も聞こえてきて、やっていたことの意味があったなと。今回初めて経験した企業との協力も新しい学びになりました。期末で課題もある中、短い期間での制作だったけど、過程の苦しさが飛んじゃうくらいです。これだからプロジェクトやめられないんだよな、って(笑)。満足度120%です!


新型コロナウイルスの感染拡大から早2年。これまでにない学生生活を経験している学生たちは、この情勢だからこそ、新しい学びや発見もあれば、もどかしく悔しい思いをした瞬間もありました。「瓜生山大作戦 ~夏の懐祭り~」での学生の笑顔はとにかくまぶしく、この日だけは “私たちの夏” を堪能していたように思います。

「おCHA☆会」は今後も精力的に活動します。直近の企画では、夏祭りとは別枠にした大階段の装飾企画を10月末頃に予定しているとか。企画内容はお楽しみですが、今のところバルーンを使ったアート展示を考えており、参加型ワークショップにするつもりだそうです。今後の「おCHA☆会」の活躍に目が離せません!

 

(集合写真撮影:中山博喜)

 

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