REPORT2021.07.29

アート

現代・自然・人々の思いをカタチに。― 日本庭園とアートのコラボレーション、総合造形コース野外展「ART COM 2021」

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  • 京都芸術大学 広報課

京都府の南部、精華町にある「けいはんな記念公園」にて、美術工芸学科 総合造形コースの3,4年生による野外展「ART COM 2021」が、7/10〜19にかけて開催されました。

けいはんな記念公園は、京都、大阪、奈良の三府県にまたがる京阪奈丘陵において、文化・学術・研究の新しい拠点「関西文化学術研究都市」のシンボルとして整備された公園で、1995年4月に開園しました。「日本の里の風景」をテーマにしており、棚田風の広場や谷あいのほか、水景園(日本庭園)や芽ぶきの森(里山)などがあり、面積は24.1ヘクタールもある広大な公園です。


展示会場となったのは、公園内にある「水景園」。四季折々の風景が楽しめる回遊式の日本庭園です。延長123メートルの壮大な観月橋が特徴的で、約500個からなる巨石群や各所に流れる滝、棚田上の水景棚、ギャラリー施設のある観月楼などがあり、さまざまな場所に自然と調和するように作品が設置されていました。

 

ART COM 2021

今回の展覧会は「現代・自然・人々の思い」の3つが合わさり、物を作ろうとする学生が日々何を感じ、考えて、今を生きているかを形にしています。

作品の優劣もあるでしょうけれど、確実にこの場所に、ここに作品が置かれているリアリティが存在しています。緑の生い茂る樹々の木漏れ日から覗く作品のコントラストや、照り付ける日差しの中で現われる作品の表情などは野外展ならではの鑑賞だと思います。

どうしてこの作品はこんな風に作られたのか、なぜこの場所に置かれたのか?など、思いを巡らせてみるのも素敵な時間を過ごせるのではないでしょうか。

なんと作品数は「39」!ギャラリー内に20作品、残り19作品は、水景園のさまざまな場所に展示されており、作品リストを参照し、どこにあるのか探すことを楽しみながら巡ることができます。

せっかくですので、園内を廻りながら作品を見てまいりましょう。

まず、入り口はこちら。「水景園」は有料の庭園ですので、入場料200円(一般)を支払います。受付の方から、橋を渡った突き当たりの建物に展覧会の受付があると伺い、中へと入りました。

こちらが観月橋。水面から約10メートルの高さにある延長123メートルもの巨大な橋に驚きます。橋を渡りながら左右を見渡すと、右側には巨石群の渓谷があり、よく見ると眼下に作品が見えました。


左側には「里棚田」や「水景棚」という棚田上の水盤が池をつないでおり、壮大な景色が広がります。

 

橋を渡り終えると、そこにはまず日時計を模した作品が。伺った日は真っ青に晴れ渡った空でしたので、はっきりと時刻が指し示されました。そして細長い柱は、柴田純生先生による作品。写真では見えづらいですが、先端にツバメが止まっている愛らしい作品です。

寺町美香《日時計》

 

柴田純生(美術工芸学科 教授)《無限柱》

 

橋の突き当りにあるのが、交流施設の「観月楼」。中にギャラリーがあり、学生たちがローテーションを組んで受付をしていました。受付前の作品と合わせ、21作品が展示されています。

安永博崇《ロボット》
大野裕和《Dragon of Memory》
竹内柊人《奇怪の下で羊が見ている》
山口京将《ブラハムチ》
茶畑咲月《colors》
小堀峻《camp》
柳生梨音《Shall We Dance?》

 

ここから先は、受付で渡された「作品リスト」を元に、外の作品を廻ります。園の奥は「芽ぶきの森」という里山が整備されており、そちらにも2作品ほどあるそう。木漏れ日の中、水辺の風景を楽しみつつ探しに行ったところ、ほどなくして発見。

葛原陽《河童》
田村真理子『そこにいたのか』

 

小さな滝がいくつも点在する「紅葉谷」を散策すると、そこには金澤一水先生による蛙の作品が。

金澤一水(美術工芸学科 准教授)《水無月の空の向こうに》

 

紅葉谷から入り口方向へ戻ると、巨石群のエリアが。重さ20〜70トンの巨石、約500個からなる延長150メートルの壮大な空間です。橋の上から見えていた作品を発見しました。

森井涼夏《かつてクラスにいたピーマン嫌いさんへ》
青木一郎《Baby 1999》

 

そして「水景棚」へ。水辺の風景を生かした作品が点在しています。

桑原にじほ《人魚姫》
南口沙星《自然との負の思い出》
瀬津隆輝 《雫》《sublata-00》
中野可菜子《生命》

 

最後に「里棚田」へ。日本の牧歌的な原風景が広がります。

ZENG XIANGYU《玉子》
大熊玲菜《死生》

 

いかがでしたか。園内をグルッと回りながら紹介してみました。いずれの作品ともに、設置される場所性を生かした作品でしたし、見る角度や時刻によって、さまざまな姿を見せてくれる展示でした。

けいはんな記念公園を舞台にした「ART COM」は、総合造形コースの毎年恒例の展覧会です。来年はぜひお越しいただき、自然と人が織りなす空間をお楽しみください。

ART COM 2021

京都芸術大学 美術工芸学科 総合造形コース ゼミ展

会期 2021年7月10日(土)〜19(月)
時間 9:00〜17:00
場所 けいはんな記念公園

 

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    連絡先: 075-791-9112
    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

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