REPORT2021.06.15

アート映像プロデュース

映像は此方と彼方をつなぎ、廊下は此処と彼処をつなぐ。― アートプロデュース学科「ARTZONE」による企画展『映像の廊下 ― あなたとわたし ―』

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  • 京都芸術大学 広報課

瓜生山キャンパスの人間館4階の渡り廊下にて、アートプロデュース学科の授業型プロジェクト、通称「ARTZONE」による企画展『映像の廊下 ― あなたとわたし ―』が開催されています。

「ARTZONE」は、狭義の美術に留まることなく、音楽、デザイン、映画、演劇など様々なジャンルの芸術を対象として、展覧会やワークショップ、トークイベントなどを企画し実際に実施・運営します。

とはいえ「ARTZONE」が目指すのは単なる「アート界の裏方」ではありません。アイデアを歴史や思想、現在の社会と結びつけ、人・モノ・コトをつなぎ新たな価値や意味を生み出すこと、すなわちアートをプロデュースすることです。

これまで京都市左京区のロームシアター京都(京都会館)、きょうと障害者文化芸術推進機構、豊中市立文化芸術センターから依頼を受け、企画・実施してきました。

 

「プレイ!シアター in summer 2019」ロームシアター京都
「共生の芸術祭 DOUBLES+」ギャルリ・オーブ

 

今回は、学内の渡り廊下を舞台に「映像を用いて、新入生と大学をつなぐ」をテーマにした展覧会。オンライン授業が日常化した現在において、改めて大学と学生を映像でつなぎなおそうとする試みです。

企画展『映像の廊下 ― あなたとわたし ―』

大学の授業がオンライン化して久しい。およそ一年前に生じた授業のオンライン化は、大学という場所の存在意義について再考することを強いるものでした。しかし、新型コロナウイルス感染症対策が長期化し、大学と学生が映像でつながることがもはや日常となった現在では、このようなことを改めて考えることも少なくなったのかもしれません。

オンライン授業二年目となる今年度、アートプロデュース学科が行っている授業型プロジェクト、通称「ARTZONE」(担当教員:林田新、山城大督)では、受講学生に「映像を用いて、新入生と大学をつなぐこと」というお題を出しました。そのお題に対する応答として人間館の廊下で開催される本展は、オンライン授業が日常化した現在において改めて大学と学生を映像でつなぎなおそうとする試みでもあります。

映像は此方と彼方をつなぎ、廊下は此処と彼処をつなぎます。展覧会「映像の廊下」がつなごうとする「大学」とは、いかなる場所なのか。ぜひ、お楽しみください。


ARTZONE 2021年度 履修学生

石坂楓、今村雪音、植田峻介、内堀桂輔、遠藤佳彩、岡田めい、岡部仁星、川崎彩可、國村優、坂藤千咲、佐竹奏、島宗太郎、鈴木愛深、傳田結香、藤原小雪、村上太基

担当教員:林田新、山城大督

 

廊下には複数のモニターが設置され、「新入生と大学をつなぐ」ための映像が流れています。一つは『つながる。』という上級生13名へのインタビュー形式の映像。

ただ単純に面白い「funny」ではなく「interesting(興味深い)」という意味での面白さを意識したそう。また、寺山修司のテレビ・ドキュメンタリー『あなたは……』(1960年放送)を参考に企画・制作した作品だと言います。

氏名や出身地、そして「Q. 最後に嘘をついたのはいつですか?」「Q. 大事な人はいますか?」「Q. 昨日の今頃は何をしていましたか?」などの一般的な質問項目のほか、「Q. あなたにとって幸福とは何ですか?」「Q. あなたにとって『つながる』とは何ですか?」などという深い命題も。

 

こちらは『How do you act ?』。先輩や同級生の“後悔”についてのインタビュー。「もし自分がその状況になったとき、あなたならどう行動しますか?」と問いかけます。

 

『造』と題し、京都芸術大学のロゴマークの制作プロセスを倣った映像。2013年、日本を代表するグラフィックデザイナーのひとりの佐藤卓氏によってデザインされたロゴマークは、一滴の墨汁を紙に落とした時にできた偶然の形。日本の風土に根ざした自然感が込められているデザインです。

「一滴の墨汁の量、墨汁を落とすための器具、そしてそれを固定するための道具、下に敷く紙の質感、落とす時の高さと力加減はそれぞれ人の行為ですが、最後は自然に委ねています」佐藤卓

「大学と学生をつなぐ」というお題に対し、大学の象徴であるロゴマークのデザインプロセスを倣うことで、大学の理念に迫ろうとした映像作品です。

 

会場の入り口には「渡り廊下での、とある10分間の群像劇」が綴られた冊子が置かれており、その様子を元に村上太基さんが演出し、LIVE配信の形で行われた公演『passage』の様子を収めた映像が流れています。

あなたは廊下だ。廊下とは、行動のつらなりによって生起する筋である。廊下とは、fieldであると同時にspaceとしても存在し得る。廊下とは、さまざまなひとがさまざまに通過していく、行きずりの象徴である。
廊下とは、波打際である。

https://youtu.be/wvPj6zDSEpQ

 

そして、SNSを活用して新入生と大学をつなぐ試みも。
本学ではお馴染みの「ミロのヴィーナス像」「ネコ」のTwitterアカウントを開設し、彼ら(=大学)を通して交流を図ろうとしています。こちらのタイムラインの様子もぜひご覧ください。そこには新しい、不思議な交流の形があります。

ヴィーナス
https://twitter.com/Beauty____world

ネコ
https://twitter.com/onyaka__suita

 

学内の渡り廊下を舞台にした「ARTZONE」による展覧会。「映像を用いて、新入生と大学をつなぐ」をテーマに、さまざまなカタチを学生たちが見出しました。オンラインでのつながりが当たり前になった現在、映像という手段や大学そのものの有り様を再考した試みです。
展覧会「映像の廊下」がつなごうとする「大学」とは、いかなる場所なのか。その応答をぜひご覧ください。

企画展『映像の廊下 ― あなたとわたし ―』

会期 2021年6月10日(木)〜6月17日(木)
場所 京都芸術大学 人間館四階渡り廊下
企画 京都芸術大学 アートプロデュース学科 「ARTZONE」

※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、一般の方は瓜生山キャンパスに入構いただくことができません。何卒ご了承ください。

 

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    連絡先: 075-791-9112
    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

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