REPORT2021.05.12

デザイン

互いに交わったり、交わらなかったり。― クロステックデザインコース第一期生によるプレ卒展「交差展」

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  • 京都芸術大学 広報課

通学課程で最も新しい「クロステックデザインコース」は、2018年度に開設されました。「自分の生みだしたアイデアを、テクノロジーとデザインの力で社会に実現させる」という方針のもと、新たなアイデアを創出し、テクノロジーを掛け合わせたデザインの力で、社会のさまざまな問題を解決することを目指し、日常のサービスやビジネスシーンにおいてイノベーションを起こす、これからの社会に貢献できる人材を育てています。

そんなクロステックデザインコース第一期生の学生たち36名が「プレ卒展」という位置づけで「交差展」という展覧会を先日開催していました。その様子をご紹介いたします。

 

本展は京都芸術大学情報デザイン学科クロステックデザインコースの3年生36名によるプレ卒展です。来年度に控えた卒業制作展に向けて、個々の現在地を再確認することを目指します。

様々な分野、領域を横断したテクノロジーにデザイン的価値を交差(クロス)させるクロステックデザインコース。
2018年に発足された本コース1期生である私たちは個々の研究分野が異なるなか、企画を立ち上げるデザインの考え方やモノ作りに対する姿勢を共に学びました。

お互いに交わったり、交わらなかったりしながら歩き続ける個々の現地点を一望する「交差展」ぜひご覧ください。

個々の関心が多種多様で、その表現も平面や立体、アプリケーション、映像、インスタレーションなど、さまざまで楽しめます。

「互いに交わったり、交わらなかったり」、領域横断のテクノロジーとデザイン価値の交差。一般の方々にお見せできなかったのがとても残念でしたが、卒業展への期待を持たせる展示となっていました。いくつかの作品を抜粋してご紹介いたします。

 


坂東拓海
Title:情報を掴む:ショッピングカート
Material:写真


「この世に存在するモノやコトはプログラマブルな情報によって構築されている」という思想を持ち、作品を通してモノ/コトとヒトとの関係性の中に無意識に内在する条件を浮き彫りにすることで、関係性の再認識を行い周囲に存在する情報を掴むことをテーマに制作を行なっている。

今作ではショッピングカート共に展覧会を巡回し、周囲に存在する情報を掴み取ることを試みた。

 

 

左一昕
Title:日記の具現化 X ファション表現


2020年5月29日、私の22才の誕生日の秘密のストーリーを具現化された作品である。

誰でも秘密を持っており、秘密が日記に書き残されたとしても、いつも読むわけではない。リアルに感じられないが、この記憶はずっと自分の一部分として存在している、あまり口から出られない秘密のストーリーの在り方を表現したい。

鏡を使わない限り、服や帽子を来ている姿は自分の瞳でみることができないと同じように、日記の秘密は自分の一部分としてずっと存在している、自分にずっと影響を与えている。

作品を見た瞬間、見ている人の秘密の記憶を呼び起こしたい。

 

 

高田雛子
Title:※パッケージはくり返し使えます。
Material:様々な商品のパッケージ


商品を保護したり華やかにしたりする役目を終えれば捨てられてしまうパッケージに新たな役割を与えることで、もう一度活躍できる機会を創出し、最終的には循環させていけるような仕組みを考えたい、という思いからこの作品を作り始めました。

パッケージは中身が無くなってから本領を発揮します。約一ヶ月の間に身の回りで集めたパッケージたちを使い、展示されているすべての作品を制作しました。

あなたの目の前にある作品は何のパッケージでできていますか?

 

 

倉石桂
Title:鍬形虫
Material:立体模型


私は、江戸時代後期に作られた「自在置物」 と父が作家として取り組んでおり、生来私の身近にある「陶芸」の技法とを組み合わせことでデジタルとアナログ双方の秀逸な点を制作を通じ研究し、工芸作品固有の固定的なイメージを一新させることを研究目的としています。

今回の展示は、スキャンをした鍬形虫に球体関節を組み込んだ習作を展示しています。

 

 

PARK CHAERIN
Title:EMA
Material:絵画


2021年は丑年で、自分自身も丑年に生まれました。それをきっかけにこの牛を描くようになりました。これまでやってきたチェリーの作品と牛のコラボレーションです。牛の柄の代わりにチェリーの形を取り入れました。

牛の前に置かれているいくつかの階段は現在の自分が悩んでいる未来への選択の道です。現状や未来のことを心配する誰もがこの牛に例えることができます。階段の上にある金色の門は今後の華々しい未来を意味しており、いずれにせよ正解または無限大の可能性を表しています。

多くの人は新たな道を歩むことに対して不安を感じるものであります。その感情を暗い背景として表現しました。

 

 

船越晴稀
Title:SUPER ORGANISM : BODY
Material:映像


自らの身体を用いて地球に参与していくことによって、私からガイアへの身体的な拡張を行います。

身体の拡張とそれに伴う思考の遠投によって、アントロポセン以降における自分の役割や存在を確認できるようなポストヒューマン的感覚の獲得を目指します。

本展では、私の身体を地球に直接的に接続し、私とガイアそのものを1つの生命体として内包する「スーパーオーガニズム(超個体)」の形成を行います。

「スーパーオーガニズム(超個体)」を形成することによって、私と地球の間にある関係性を確認し、地球自体のことを思考すると同時に、対比した自分の普遍性について思考します。

 

 

野田泰成
Title:表情で制御するゲーム A game controlled by facial expression
Material:モニター展示(400×900×600)


この展示はunreal engin4のフェイストラッキング技術を応用し、プレイヤーを操作するゲームを作成したiphoneを利用したフェイストラッキングによる表情の数値化は、細かな変化も捉えるため、左目を閉じれば左に進み右目を閉じれば右に進む口を開ければジャンプするといった具合に自身の顔をコントローラーにすることで新しいコンテンツになるのではないかと考え制作した。

現状プレビューのみの展示ではあるが実際に動かすことができるところまでもっていくことが今後の課題だ。

 

 

黒木りみ
Title:足元を知る
Material:a0ポスター


私のふるさとは、人口30人ほどの限界集落である。私が学生生活を送る間に、気付いた時には人はみるみる減っていて少子高齢化が進んでいた。このまま数年後、この集落はどうなるのか?どうにかしたいという思いがありつつ、集落について知ってるようで知らない自分に気づいた。

目に見えている風景から、歴史的および社会的、地理的といったさまざまな情報をフィールドワーク、文献のリサーチから見出し、それに適したメディアを作り出す。そこに暮らす人達とメディアを通じたディスカッションを重ねることで、場所の記憶、そしてその場所のこれらかについて探る機会を設計する。最終的なアウトプットはリサーチメディアの制作とそれを通じたディスカッションの機会を集落で設けることとなる。現状では数回のリサーチをまとめたものとその後の展開の展示となる。

 

 

堀内僚
Title:ある日のこと。
Material:映像・画像


日々滞りなく続く何気ない習慣の記録。

繰り返し見て、繰り返し聴いているものごとを、おもむろにファインダーを覗く自身の習慣を介して再構築する。

 

 

劉威宏
Title : Terraform
Material : 椅子_1:1現物


「Terraform」とは、地球外の惑星や衛星の環境を極限まで地球環境に近い水準に人為的かつ計画的に改変または生成し、最終的に人類および生物の居住可能領域に改造する仮説的プロセスを言います。Terraformの考え方を活用し、在宅勤務の環境をさらに快適にしたいと考えています。

現在、新型コロナウィルス感染症対策により、多くの学校と企業は続々と在宅勤務を実施していますが、長時間の在宅勤務は心理的圧力がかかる可能性があります。そういった現状を踏まえ、「体にフィットするソファ」の発展バージョンとなるプロダクト製品を提案します。ソファスタンドとデスクの同時回転によって目の前の景色を変化させ、ユーザの在宅勤務の生活環境において気分転換を誘発できるようにしています。

 

 

平林竜一
Title:スパイシー カード
Material:カードゲーム/料理ゲーム/A1ポスター


スパイシーカードは、スパイスを扱いながら遊ぶゲームである。

本ゲームは、スパイスの料理、医学、魔除けなどの活用方法から着想を受けている。
ゲームの中で、「食べる」「料理する」という行為が含まれ、参加者はスパイスの活用方法や、味などを身体的に覚える。

また、複数あるゲームの中で、異なったスパイスの捉え方を提示している。歴史の中で、スパイスがどのような存在であったのかを感じ取ってもらうためだ。

日本においては「薬味、調味料」として馴染み深いが、個々のスパイスへの理解を深めたり、料理以外の視点から捉える機会は少ない。

本ゲームを通して、遊んだ一人一人が、スパイスとの向き合い方を変える契機となり、スパイスに対する感性を通じて、スパイスの力を引き出してほしいと考えている。

 

 

嶋田匠
Title : 嫌いを超えて、自分を変えて Go beyond dislikes, and change yourself.
Material : 干し網、器、苦手だった食材達


小さな頃嫌いだった食べ物を食べやすくドライフルーツのように乾燥させた作品です。今は食べられないものは特にないほどなんでも食べるようになったが、小さな頃は嫌いなものがあった。その嫌いなものを今の自分から過去の自分へと宛て、早めに好き嫌いをなくしてもらうため好きだったおつまみの感覚で食べられるように作ったものです。

ピーマン(緑、赤、黄、橙)・水菜・えのき茸・ズッキーニの4種を乾燥させ、当時の自分が好きだった味付けにしている。ピーマンは生姜醤油、わさび醤油、醤油、ガリの甘酢で漬け、水菜は醤油、酢、ごま油で漬け、えのき茸は醤油とみりんで漬け、ズッキーニはポン酢で漬けた。苦手なものに好きだった味付けを施した。

 

 

清水翔太
Title:100均 hack
Material:meshレシピとプロダクト


近年スマートフォンというのは普及率が上がり誰でも持っているようなものになりました。そういったインターネットの進歩によりIoTという技術も進化、普及しつつあります。そこで私はインターネットを使った生活に根付いた身近なものを作りたいと思い、ITと100円均ーで売っているものの組み合わせで安価でできるものづくりをテーマとし、IoTデバイスが一般的になることで、知識のない人たちでも簡単に使えるようにする製品作りを研究目標としています。

今回の展示はこれらの考えのプロセスで思いついたレシピと3Dプリンターで出力した習作になっています。

 

 

西川葵
Title:贈り物の研究
Material:プレゼント 3点 調査キット(A5ノート)


私は、友連にプレゼントを渡す時にSNSなどを調べてその結果からその人の「好き」を考えたものをプレゼントしました。そこから人に渡すプレゼントを考える時にできるだけ欲しい情報に絞って相手の「好き」を追求できる方法を考えました。

まず、カルチュラルプローブというリサーチャーが調査対象者と対面せずにカメラやノートなどで構成された調査キットを一定期間対象者自身の生活記録を取ってもらうユーザー参加型技法を元に調査キットを作り、それを対象者3人に記録してもらいました。そして調査結果から調査者対象者の「好き」について考えたプレゼントを作り渡すということまでが私の作品です。

今回の調査キットは説明が足りなかったこともあり修正箇所が幾つかあったのでプロープを調整し、より効率的な調査キットを作れたらと考えています。

 

 

下川光子
Title:絵画作品、イラスト
Material:貼り絵 イラスト


私は、卒業後も絵を描き続けられるように模索しながら制作しています。今は大きく分けて2つのことをしています。

1つ目は入学前から行なっていた切り絵です。魚にステンドグラスを重ねたモチーフを中心に制作しています。「とにかく綺麗に見えること」を目的に反射率の違う素材を使い分けています。オリジナリティを大切にしながら自分の描きたいものを描いています。

対して2つ目はイラストです。「・普通に綺麗で・個性があり・1日か2日で描ける作業量であること」を目指しています。今回は「和風」をテーマに国内旅行に行きたくなる絵を描きました。絵画のために調べていたスペインタイルと装飾写本から思いついた構図を使っています。まずは都道府県をモチーフにしてみました。全国の文化や歴史・特産品・観光地を調べ、その中から「和風」で見ていて楽しくなる事柄をバランスを考えて選びました。このレイアウトは他のモチーフにも応用できます。

 

 

小林輝
Title:filter
Material:アクリルミラー


人が観察を行うとき、その人自身が持っているフィルターを通してものを見ている。フィルターとの距離や形、覗き込む視点は人によって様々であり、必要だと思うことや自身の芯になっているものから形成されている。見る人と見ない人、見えるものと見えないもの、見ることと見ていないこと。それらを使い分けることは、個々の観察の仕方と交差している。

 

交差展

クロステックデザインコース第一期生よるプレ卒展。

会期 2021年2月18日(木)〜2月25日(木)
時間 13:00〜18:00
場所 望天館 吹き抜け・BT11・BT12・BT13

 

 

 

 

 

  • 京都芸術大学 広報課Office of Public Relations, Kyoto University of the Arts

    所在地: 京都芸術大学 瓜生山キャンパス
    連絡先: 075-791-9112
    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

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