展覧会という形式を借りた共創の実験。― クロステックデザインコース「なんか、おもしろそうな展覧会を作ってください。展」
- 京都芸術大学 広報課
2021年1月、情報デザイン学科のクロステックデザインコース1年生(現2年生)による一風変わった展覧会が開催されていました。その名も「なんか、おもしろそうな展覧会を作ってください。展」。
とても不思議な名称ですが、本展は何かひとつのテーマに基づくキュレーションではなく、「展覧会そのもの」の開催を目的としており、自身が追求したいことを自由に制作して展示するというもの。一見すると「何でもあり」の無秩序なものに見えますが、他者に見てもらうためにどのようなことが求められるか、その情報を整理することに目的を定めたのだそう。
当たり前ですが、自分の頭の中身は他者にはわかりません。自身の考えを他者に披露するにはどのようなことをする必要があるかを精査し、例えば自分の考えと似た表現者の思考や表現をリサーチしたり、どのようにアウトプットし、他者に披露しているのかを調べてみる。そのようなプロセスを学ぶための課題になっているのです。また、「観ていただく」ためには、他者がどのように自分の作品を捉えるのかを先読みすることも必要でしょうし、そのような力を養う目的もあるのだと言います。
当初は「自分の追求を自由に制作」という設定で始まったのですが、会に向けて準備をする中で最終的には、事前に学生たちからお題を募り、シャッフルしたものを再分配し、制作する流れになったそうです。
鑑賞者は、制作されたモノそのものだけではなく、お題に対して制作者はどう答えたのか、なぜそのような答えを見出したのか、また自分ならどうやって答えるのかなど、回答者になったつもりで想像しながら展示をご覧いただくことができる会になっています。
2020年の4月、私たちは入学した。
世界中のあらゆる物事に影響を与えたウイルスは、当然私たちの生活にも影を落としていた。
オンライン授業で他者と共創することを学び、世界の狭さを思い知った。
そしてその分、世界に対して何かをしなくてはいけない、と常に投げかけられているような気がしていた。そんな漠然とした意識のまま、何をするにも手探りでいつの間にか一年経っていた。
そんな中クロステックデザインコースでは一年生の締めくくりとして展覧会を開催することになった。
一年の間に何を学んだのかの記録として。いつか振り返るための指標として。そして、漠然とした問いに対する答えとして。
クラス内の有志が数名集まり、キュレーターとして今するべき展覧会とは何か、企画から構想した。
なんか、おもしろそうな展覧会を作ってください展。
人種や国家を超えて連帯しなければいけない時代に、人々はより効率的な共創を求める。しかし芸術は無駄かもしれない共創のなかにあるのではないのか。そんな仮定を確かめるべく、展覧会という形式を借りて実験をした。
この展覧会では、全ての作品にお題が存在する。そのお題とは、ランダムなクラスメイトに与えられた、何でもないテーマだ。
その一行に作者は向き合い、応える。その当意即妙からにじみ出るぬぐい切れない自分らしさを見つけてほしい。
では、お題とその回答(タイトル)をご紹介します。
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