REPORT2021.02.01

デザイン

JIG for LIFE ― 空間演出デザイン学科「生活を整えるための道具」

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  • 京都芸術大学 広報課

「治具」をご存知でしょうか?英語の JIG(ジグ)の当て字だそうで、辞典では「機械工作で、工作物の所定の位置に、刃物を案内する工具」(『デジタル大辞泉』小学館より)とあります。今回ご紹介するのは、言葉の意味を「生活を整えるための道具」と広義に捉えた「JIG for LIFE」という展覧会です。

こちらは、空間演出デザイン学科2年生の「展覧会を作る」ことを目的とした授業の成果展。エキシビションクラスとして、メディアプレゼンテーションによる空間デザインやリサーチを主軸としたものづくりの方法と、展示空間のデザインを学びます。ものの歴史や背景について学び、それらを制作に繋げる能力を養うことを目的としています。

 

 

コンビニやスーパーマーケットのレジ前のビニール、レジ待ちのため引かれた等間隔のライン、待ち合いのベンチの座れない真ん中のシート。私たちはウイルスという、空気に紛れて目に見えない存在から身を守るため、互いに一定の距離を保つようになった。そしてこの引かれた線によって、日常生活が仕切られ、隔てられるようになった。

一方、暮らしの風景から生活の態度に目を向けてみると、メディアではモーニングルーティンやおうち時間といった、規則正しいリズムや日常を取り戻すための様々な方法が特集されている。終わりのないこの状況から「コロナうつ」になってしまう人も多いと聞く。この混乱した社会の中で人々は、生活を整えるための術を求めている。

木工や大工仕事を行うときに、治具(JIG)と呼ばれる道具を用いることがある。治具は、それ自体に汎用的な機能を持たず、簡素な作りで、効率よく同じ寸法を正確に切り出すために用いられるブリコラージュの定規である。

ここでは「生活を整えるための道具」も治具と捉えたい。まず自分や身近な人の日々の行動を改めてリサーチし、癖のようなものをキャッチする。そしてそれを迷いなく整え、淡々と遂行するための道具を制作し、展覧会という形式で発表を行う。


担当教員:八木良太

 

「生活を整えるための道具」ということで、生活空間を6つのエリアに区分。展示場所となった学内ギャルリ・オーブ前の通路は、さながら家具量販店のショールームのような空間になっていました。

balcony(ベランダ)
bedroom(寝室)
closet(クローゼット)
living room(リビング)
dining room(ダイニング)
kitchen(キッチン)


では、37組38名の作品を順番に見て参りましょう。
実際の展示場所とは異なるものがありますが、6つのエリアごとにご紹介いたします。

※SD:空間デザインコース、FD:ファッションデザインコース

 

balcony

ゴミ箱の袋をセットしやすくする(SD 小永佳乃)
水やり(SD 藤田三鈴)

 

bedroom

時間を感じる(FD 赤松凛)
睡眠の質を向上させる(FD 内町直柔)
枕を常に清潔に保つ(FD 近藤麻実)
クッションマッサージ器をずらさない(SD 日野隼輔)
やる気を出す(FD 齋藤詩歩)
懐中電灯を活用する(SD 髙須賀瑠奈)

 

closet

ハンガーから片手で服を外せる(SD 守田尚斗)
靴下の色を区別する(SD 東條佳奈)
靴を揃える(SD 田中沙季)
スカート丈がわかる(FD 朝子莉央)
1週間前のコーデ記憶(SD 吉村瑠華)
アメピンを収納する(SD 足立結)

 

ヘアブラシの髪の毛を取る(SD 寺島いぶき)
便利を身につける(SD 南野すずか)

 

living room

風呂上がりに裸のままウロチョロする癖をなおす(FD 川村かえで)
意識させる(FD 加藤巴那)
快適に動画を見る(FD 増原莉江奈)
イラチ(SD 山本佑果)
脚を閉じて座る(SD 岡本千佳)
脚を組まないようにする(SD 大久保妙子)
階段の進行方向を決める(SD 色川さくら、中島志帆)
映画を集中して観る(FD 鈴木はな佳)

 

dining room

クロワッサンめくって食べるのをお上品にみせる(SD 藤原妃那)
缶ジュースを開けやすくする(SD 野下七海)
自分の癖を主役にした(SD 吉川鈴夏)
きのこの山を刺して並べれる(FD 山﨑憩)
ルーティンを整える(SD 渡世桜子)
コード(SD 荻野一生)

 

kitchen

野菜をカットする(SD 後藤春奈)
手にメモ書きする人(FD 富村莉乃)
お菓子の食べ過ぎを防ぐ(SD 桐山与)
豆苗を盆苗する(SD 奥平佳歩)
自分ピッタリのパスタを量れる(FD 小澤栞南)
味噌汁の味見を減らす(FD 徳永千紗)
とりあえず箸を立てておく(SD 黒岩奈那)

 

いかがでしたか?意表をつく「治具(JIG)」の数々で、空間デザインにも創意工夫が施され、まるでショールームを見学するかのように鑑賞することができる展示となっています。

「エキシビション分野におけるデザイン・企画を習得し、コラボレーションを通じて成果を対外的に発表できる」それが、授業の到達目標になっています。

最後に学生たちの準備の様子をご覧ください。

JIG for LIFE ― 生活を整えるための道具

空間演出デザイン学科 2年生 エキシビションクラス

会期 2021年1月19日(火)~1月26日(火)
場所 ギャルリ・オーブ前通路

 

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