「治具」をご存知でしょうか?英語の JIG(ジグ)の当て字だそうで、辞典では「機械工作で、工作物の所定の位置に、刃物を案内する工具」(『デジタル大辞泉』小学館より)とあります。今回ご紹介するのは、言葉の意味を「生活を整えるための道具」と広義に捉えた「JIG for LIFE」という展覧会です。
こちらは、空間演出デザイン学科2年生の「展覧会を作る」ことを目的とした授業の成果展。エキシビションクラスとして、メディアプレゼンテーションによる空間デザインやリサーチを主軸としたものづくりの方法と、展示空間のデザインを学びます。ものの歴史や背景について学び、それらを制作に繋げる能力を養うことを目的としています。
コンビニやスーパーマーケットのレジ前のビニール、レジ待ちのため引かれた等間隔のライン、待ち合いのベンチの座れない真ん中のシート。私たちはウイルスという、空気に紛れて目に見えない存在から身を守るため、互いに一定の距離を保つようになった。そしてこの引かれた線によって、日常生活が仕切られ、隔てられるようになった。
一方、暮らしの風景から生活の態度に目を向けてみると、メディアではモーニングルーティンやおうち時間といった、規則正しいリズムや日常を取り戻すための様々な方法が特集されている。終わりのないこの状況から「コロナうつ」になってしまう人も多いと聞く。この混乱した社会の中で人々は、生活を整えるための術を求めている。
木工や大工仕事を行うときに、治具(JIG)と呼ばれる道具を用いることがある。治具は、それ自体に汎用的な機能を持たず、簡素な作りで、効率よく同じ寸法を正確に切り出すために用いられるブリコラージュの定規である。
ここでは「生活を整えるための道具」も治具と捉えたい。まず自分や身近な人の日々の行動を改めてリサーチし、癖のようなものをキャッチする。そしてそれを迷いなく整え、淡々と遂行するための道具を制作し、展覧会という形式で発表を行う。
担当教員:八木良太
「生活を整えるための道具」ということで、生活空間を6つのエリアに区分。展示場所となった学内ギャルリ・オーブ前の通路は、さながら家具量販店のショールームのような空間になっていました。
balcony(ベランダ)
bedroom(寝室)
closet(クローゼット)
living room(リビング)
dining room(ダイニング)
kitchen(キッチン)
では、37組38名の作品を順番に見て参りましょう。
実際の展示場所とは異なるものがありますが、6つのエリアごとにご紹介いたします。
※SD:空間デザインコース、FD:ファッションデザインコース
balcony
bedroom
closet
living room
dining room
kitchen
いかがでしたか?意表をつく「治具(JIG)」の数々で、空間デザインにも創意工夫が施され、まるでショールームを見学するかのように鑑賞することができる展示となっています。
「エキシビション分野におけるデザイン・企画を習得し、コラボレーションを通じて成果を対外的に発表できる」それが、授業の到達目標になっています。
最後に学生たちの準備の様子をご覧ください。
JIG for LIFE ― 生活を整えるための道具
空間演出デザイン学科 2年生 エキシビションクラス
会期 | 2021年1月19日(火)~1月26日(火) |
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場所 | ギャルリ・オーブ前通路 |
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