INTERVIEW2021.01.12

舞台

連続TVドラマに出演!舞台からドラマまで、役の幅を広げたい ― 舞台芸術学科2年生・鎌田茜さん:在学生からのメッセージ

edited by
  • 京都芸術大学 広報課

舞台芸術学科 演技・演出コースで学ぶ鎌田茜さん(2年生)へのインタビューをお届けします。昨年12月中旬には舞台芸術学科2020年度授業発表公演『THE GREEKS』でダブルキャストを務め、2日間にわたる公演はチケット完売。さらに、2021年1月10日より放送スタートのABCテレビ連続ドラマ「ミヤコが京都にやって来た!」にも出演と、着々とチカラをつけています。日々の授業で印象的なことや、作品に取り組む上で大切にしていること、そして、ドラマ出演にあたっての想いを語ってもらいました。


実力のある役者を目指すなら「舞台」

京都生まれ、京都育ちの鎌田茜さんは、女優を目指して、舞台芸術学科 演技・演出コースで2019年から学んでいます。大学で演技を学ぼうと思ったきっかけは?と聞くと、
「一番影響を受けたのは、“実力のある役者を目指せ”という私の祖母のアドバイスですね。高い実力を発揮している俳優・女優は、舞台出身の方が多いそうなんです。それで、映画やドラマからではなく、まず舞台をやって、しっかり基礎をつくりたいと考えました。AO入試(現・体験授業型選抜)では映画と舞台どちらも受かっていたのですが、最終的には舞台の道を選びました」。

女優としての実力をつけるため、京都芸術大学に進学した鎌田さん。
「実は、入学前から舞台をとことん観ていたというわけではなく、ドラマをテレビで観る程度。浄瑠璃などの伝統芸能は京都出身ということもあって親しみがありましたが、舞台が大好き!という人が家族の中にいるわけでもなく、ごく普通の家庭で育ちました。
大学で印象的だった授業は、基礎トレーニングの授業でした。1年生全員が履修する授業で1クラス15〜16人ほど、2クラスにわかれて戯曲に取り組みながら学ぶのですが、この授業を通して“自分”と“役”の距離を近づけることができるようになりました」。

「たとえば、泣くシーンがあったとして、“泣く”と台本にあるから泣くという外付けの理由で、それまでは自分と役を引き離すようなイメージをもって演じていました。ですが、大学で取り組んだこの基礎トレーニングの授業では、大学独自の演技メソッドのトレーニングを行って、発声や身体表現、台本の読み方や役づくりの方法など演技の基礎を学んでいきました。特に、“感情の記憶”を大切にして演じなさいと教えていただいたことが自分を大きく変えてくれました。

“感情の記憶”を使って演じるということを、わたしは『自分の中にある過去のエピソードを引っ張り出してきて、演じる役に引きあわせるようにして、演じていく』と理解しているんですが、“感情の記憶”を使うと、自分と役を引き離さず、役と一体化できることが多くなっていきました。セリフの言い方ひとつとっても、泣くシーン=泣く、怒るシーン=怒る、ではなく、自分の内側から出していく。
特に、相手とのかけあいがある場面で、感情の記憶の大切さを感じることが多いですね。セリフを読むのではなく、ふとした瞬間にセリフが出てくる、というように、相手が出したものを受け止めて、返していくと、良い形ができていくんですね。作った間ではなく、自然な返しができるようになる。そのかけあいがスムーズに行くときやテンポが良いときは、『あっ、調子が良いな』と感じます」。

大学で2年間学んできて、どんな瞬間に実力がついてきたと感じることができましたか?と伺うと、
「基礎トレーニングは1年生からずっと継続して取り組んでいて、授業中に短い戯曲を演じることもありますが、さきほどお話ししたような“調子の良い瞬間”が授業中に出る確率があがってきたことですね。1年生のうちは何回も練習してたまにヒットするぐらいで、授業中に良い調子が出ないこともありました。2年生になってからはコツがつかめて、自然に返せるタイミングが確実に増えてきている!と実感できています」。


2年生の集大成公演『THE GREEKS』

舞台芸術を学ぶ学生たちにとって、日々の成果を発揮する場は、なんといっても「舞台」。鎌田さんたちの2年生のクラスも昨年12月19日(土)・20日(日)に、2020年度授業発表公演『THE GREEKS』を京都芸術劇場 studio21(京都芸術大学内)にて上演し、仲間と一緒にチカラを出し切りました。

京都芸術大学 舞台芸術学科13期2020年度2年生
演技Ⅱ/総合演習・スタッフワークⅠ授業発表公演
『THE GREEKS(グリークス)』
https://www.uyamagreeks.com/

 

2日間にわたった『THE GREEKS』の公演。鎌田さんは1日目と2日目で、それぞれ違う役に取り組む「ダブルキャスト」に挑戦しました。しかも、公演時間は3時間という長丁場! それにも関わらず、両日とも満席御礼で、熱気に満ちた公演となったそう。

「『THE GREEKS』は、ギリシャ悲劇です。今回の公演は、ヘカベ(エウリピデス作)、アガメムノン(アイスキュロス作)、エレクトラ(ソフォクレス作)という、グリークス3部作から、第2部の「殺人」を上演しました。45分ほどの劇が3編あります。私は、初めてダブルキャストに挑戦することになり、1日目に1つ、2日目に1つの合計2つの役に取り組みました。私が演じた1人目「ポリュクセネ(A)」は、生贄として殺されるお姫様。2人目は「コロス7(B)」で、3編すべてに登場する役でした。

公演に向けての稽古は後期授業で行われ、8月の夏期集中授業で配役のオーディションとウォーミングアップがありました。9月から12月の3か月間、毎週水曜の授業ではチームワークを中心に稽古を重ね、授業外でも自主稽古をして本番に備えました。
ギリシャ悲劇の特徴は、とにかく長いセリフ! 言葉の言い回しもとても難しく、日常会話とはまったく違うところに苦労しましたね。長回しのセリフは、長い中でも途中で変化をつけるなど工夫をしました」。

稽古の様子。
場当たりの様子。


特に大変だったと鎌田さんが語るのは、「新型コロナウイルスのための対策や、稽古のやり方の変化」だったそう。

「1年生のときと同じような稽古は、今回はできませんでした。一番気をつけないといけないことは、なによりも『換気』。この状況下で稽古するには必要なこととはいえ、換気のために使えない稽古場が出てくるなどしたため、他学年と譲り合って稽古場を使っていきました。また、使える稽古場が減ると同時に、各稽古場に割り当てられる使用時間も短くなっていきました。

稽古中にマスクを外せなくなったのも、大きな変化でした。マスクをすると、相手の表情が見えないんです。そして、マスク越しに声がくぐもって聞こえづらい。思うような練習にならないこともありました。そして、稽古のオンライン化もありました。前期の授業はすべてオンラインで行われましたが、後期の授業でも、演技の授業はZoomを使ったオンライン稽古に。
これまでのやり方では通じない、という、変化の大きな環境でもベストの舞台をお届けできるよう、先生や仲間と工夫して取り組んだのが、この『THE GREEKS』でした」。


『THE GREEKS』終演後に感じた“やりがい”について伺うと、
「同学年だけで、こんなに大きな規模の作品を作り上げることができた!といううれしさ、ですね。チームで作り上げたものの“大きさ”と、その達成感をやりがいとして実感しています。
もう1つは、ダブルキャストに挑戦できたこと。ダブルキャストは、“逆班”、つまり、自分と同じ役を演じる人がもう1人いるので、お互いがどうやったら稽古しやすくなるかを考えていきました。シングルキャストだと自分のプランだけで、自分中心に役を作り込んでいけますが、ダブルキャストでは、もう1人の演じ方を見て『これを取り入れよう』とか『こうすれば良いのか』と気付きがあり、その都度アップデートしていくことで役作りに良い影響を与えてくれました。そういう学びは、ダブルキャストだからこそ得ることができました」。


民放の連続ドラマで京女役に抜擢!

2021年は、鎌田さんにとって、大きな飛躍をとげる一年になるかもしれません。なぜなら、ABCテレビの連続ドラマ「ミヤコが京都にやって来た!」の出演者に抜擢されたから! 1月10日から全6回で放送されるこのドラマは、オール京都ロケで、主演の佐々木蔵之介さんをはじめとする豪華役者陣が話題を呼んでいます。

このドラマに参加することになったきっかけは?と聞くと、舞台芸術学科が社会実装の一環として学科単位で受けたオーディションだったそう。
「ドラマのオーディション参加のお話をいただいたのは、昨年7月ごろ、前期の授業が終わるというタイミングでした。審査も、現場に行って受けるのではなく、資料の動画をこちらから提出するという形で、先生から「前期の動画を資料として提出してもいい?」と打診いただいて、応募していただきました。関西弁で話せる人が条件だったようです」。

学外のプロジェクトに参加したのは初めてだったそうで、
「大学に入る前、俳優養成所に通っていたので、舞台には2回ほど出演させていただいたことはあるのですが、進学後は初めてでした。実は、先生に提出していただいた動画の中の、自分の演技の出来が正直なところ、あまり良くないと思っていたので、決まったときは驚きましたが、やっぱりうれしかったですね。卒業後に活躍される先輩方はいらっしゃいますが、在学中の出演経験がある方の話はあまり聞いたことがない、というのも自信につながりました。
オーディションを経て、9月に出演が決まり、台本をいただいたのは11月。そして、11月末には撮影していました。同じタイミングで、12月に公演が迫っている『THE GREEKS』にも取り組んでいたので、同時進行で何役ものセリフをさばききれず、大変でした。一方はギリシャ悲劇で、もう一方は現代の京都――。世界観も時代も設定も、すべてが対照的で、どこから手を付けたらいいものか…、と戸惑ったことも。
役に入るときの気持ちの切り替えは、『THE GREEKS』の場合は授業だったので、授業開始のチャイムが鳴ると自然とスイッチが入りました。一方で、ドラマの撮影は授業のない休日に行われたので、『THE GREEKS』とは違う頭に切り替えて挑むことができました」。


生まれ育った京都での撮影は、「とにかく新鮮でした」と語る鎌田さん。
「ロケ地は普段の行動範囲ではなかなか行かないところが多く、ずっと住んでいるのに、案外知らない京都って、たくさんあるんだなと驚きました。おばんざい屋さんをお借りしてロケをさせていただいたのも思い出深いです。
自分の役柄は、年齢が同じで、親近感をもちましたが、“京都弁を話す”という設定には苦労しました。京都育ちとはいえ、普段の暮らしで見聞きしている言葉はテレビなどの影響で、関西のいろんなエリアのイントネーションが実は結構混ざっているので、生粋の京都弁は、私たちの世代ではなかなか自然とは出てきません。そこで、祖母に相談して、イントネーションのチェックに協力してもらいました。生粋の京女の役ではなかったものの、役作りで一番時間をかけたのは、京都弁。京都らしい言葉をうまく取り入れてロケに挑みました。
影響を受けたのは、ドラマの主人公の藤野涼子さんですね。自分と同世代だし、やっぱり演技がすごくうまくて、受け取るものが多かったです」。


他学科の学生に舞台を観てほしい

大学を卒業するまで、あと2年ほど。在学中に力を入れたいことを、インタビューの締めくくりに教えてもらいました。

「日々の授業で基礎を固めるのと同時進行で、やっぱり、大学にいるからこそできることを、卒業までにたくさん経験したいです。卒業公演もあるけれど、それまでにやりたいのは学生の自主企画に参加すること。この新型コロナウイルスの影響で公演の企画自体も減っていますが、大学にいるからこそできることでもあるので、積極的に参加したいです。
これまで戯曲や悲劇、時代物を演じることが多かったので、これからやってみたい作品は、日常的なもの。あまりやったことないジャンルなので、舞台でやったらどうなるんだろう?と興味があります。役の幅も広げていきたいです。

在学生のみなさんには、ぜひ私たちの公演を劇場へ観にきてもらいたいです。他学科では成果物を“展示”として展開できると思いますが、私たちの成果物は舞台で公演する以外にありません。公演日も限られています。いろいろな条件で、さまざまな舞台をやっていますので、自分たちとは違う学科の人に観ていただけたらうれしいです」。

 

(取材・文:杉谷紗香)

連続ドラマ「ミヤコが京都にやって来た!」

オール京都ロケで撮影された、佐々木蔵之介が主演を務める連続ドラマ「ミヤコが京都にやって来た!」。秋から冬へ季節が移る風光明媚な古都・京都を舞台に、父と娘のハートウォーミングな人情ドラマが繰り広げられる。全6話。鎌田さんの出演は第4話。

ABCテレビ(関西) 2021年1月10日(日)
深夜0時25分 放送
テレビ神奈川(関東) 2021年1月12日(火)
よる11時00分 放送

※第2話以降は、放送時間 毎週日曜よる11時55分より。
※放送時間変更の可能性あり。
※ABCテレビでの放送終了後、TVer・GYAO!にて見逃し配信!
https://www.asahi.co.jp/miyakyo/

 

京都芸術大学 Newsletter

京都芸術大学の教員が執筆するコラムと、クリエイター・研究者が選ぶ、世界を学ぶ最新トピックスを無料でお届けします。ご希望の方は、メールアドレスをご入力するだけで、来週水曜日より配信を開始します。以下よりお申し込みください。

お申し込みはこちらから

  • 京都芸術大学 広報課Office of Public Relations, Kyoto University of the Arts

    所在地: 京都芸術大学 瓜生山キャンパス
    連絡先: 075-791-9112
    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

お気に入り登録しました

既に登録済みです。

お気に入り記事を削除します。
よろしいですか?