REPORT2020.03.09

マンガ・アニメプロデュース教育

キャラクタービジネスの事例を多数紹介―知的財産セミナー 「くまのがっこう」の魅力とこだわりについて

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  • 京都芸術大学 広報課

幅広い世代に愛されるキャラクター「くまのがっこう」の開発・育成を行い、ロングセラーブランドへと導いている株式会社キャラ研の代表取締役社長を務める黒木博氏をお招きした知的財産セミナー「〜絵本プロパティの育成事例〜 くまのがっこうの魅力とこだわりについて」が京都造形芸術大学で開かれました。

誕生から17年、絵本の累計発行部数は222万部を数え、アジアを中心に海外にもファンが多い「くまのがっこう」は、11匹のお兄ちゃんくまと妹であるジャッキーの温かい日常を繊細で鮮やかな水彩画で描く絵本シリーズです。

「くまのがっこう」の全世界における著作権の運用窓口をしている株式会社キャラ研は、年間約200のキャラクターを商品化する株式会社バンダイに設立されたキャラクター研究所が前身となっており、初代社長は「くまのがっこう」の生みの親でもある、あいはらひろゆき氏が務められました。

現在2代目の社長を務める黒木氏は、自身の役割として海外を中心に「くまのがっこう」を拡げていくためのプロデュース業が中心であると話されました。現在は出版会社やおもちゃ会社を中心に約80社とライセンス契約を結び、中国、フランス、スペイン、メキシコ、タイ等の海外9か国を含め年間2万点の商品が展開されています。

キャラクタービジネスを展開する上で最も重要な事は知的財産権、なかでも著作権が一番重要と強調された黒木氏

ブランド・キャラクターの権利を保有するライセンサーが、ブランドを活用する企業であるライセンシーと契約を介してブランドの使用許諾にあたっての使用料(ロイヤリティ)を支払う形が一般的ですが、「くまのがっこう」は商品使用や広告宣伝利用に留まらず、企業のCSR活動や官公庁にも採用されている点が他のキャラクターやブランドとの大きな違いです。実例としてファストフードチェーン、鉄道会社、農業協同組合等、「くまのがっこう」ならではの多種多様な業界との様々なコラボ事例が紹介されました。

事例の一つとして阪急電鉄とのコラボが挙げられた

「くまのがっこう」の魅力は多くの有名な絵本作家が外国人作家に集中していたり、既に亡くなってしまっていたりするケースも多い中で、作家と共にその見せ方を工夫出来る点があるといいます。事例として作家である、あだちなみ氏と子供たちによる共同でのライブペインティングイベントが挙げられ、他の絵本キャラクターでは実現が難しいイベントも行う事が出来る強みが語られました。

また、作品の内容として"うんどうかい"や"おたんじょうび"など幼稚園や保育園での日常生活とリンクしているものが多く、親和性が非常に高い事も大きな魅力となっています。公式サイトでは先生向けに会員制無料サイトを設け、ぬりえやワークシート等の無償配布を行っている他、ジャッキーが幼稚園・保育園を訪問する「ジャッキーキャラバン」の応募を受け付けています。

(幼稚園・保育園の先生のための無料情報サイト"くまのがっこうしょくいんしつ"はコチラから)
幼稚園・保育園を訪問する「ジャッキーキャラバン」やミュージカル活動も行われる

単に認知度や売上げを上げるための活動ではなく、好きになってもらった人に、明日もっと好きになってもらおうという姿勢で日々活動する事が大事と話す黒木氏。そのため、東京駅にあるオフィシャルショップ. 「ジャッキーのゆめ」では毎日必ず日報が付けられ、どんな小さな変化も逃さないためにも日々の定点観測は欠かさないそうです。

最後に、キャラクタービジネスを手掛ける上で大事な事は、ただ良いものを作るだけではなく、いかに届けるか、いかにキャラクターを好きになってもらうかを考え、地道に活動を積み重ねる事であると強調されました。「くまのがっこう」を好きと言ってくれる方は、ずっと大好きと言ってくれる方も多く、そういったファンの方をこれからも大事にしていきたいと意気込みを語られセミナーを締めくくりました。

本セミナーは、京都造形芸術大学知的財産センターが芸術分野での知的財産権の活用法を考えるために企画しました。

 

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