新たなホームシェアリングサービスの実現に向けて、京都造形芸術大学情報デザイン学科クロステックデザインコース2年生が考案したサービスの始動が決まりました。考え出された3案はいずれもAirbnbの宿泊施設を利用する旅行者の快適で豊かな旅をサポートする取り組み。学生による企画案を基に、Airbnbと協働パートナーの企業が具体化に向けて動き出す中で、学生もその議論に加わる計画です。
京都造形芸術大学は2018年12月、民泊事業を展開するAirbnb Japan株式会社と包括連携協定を結びました。クロステックデザインコース2年生を対象に寄付講座を2019年度開講し、「次世代のホームシェアリング」について、学生とAirbnbの担当者が協働して考えてきました。
そして1年間の討議の結果、三つのサービス企画案「Runinto」「BaPT」「Breaky」が、事業化を見据えて試験的なプロジェクトとして動き出すことが決定。2020年2月26日、瓜生山キャンパス内で記者発表を行い、その概要が初めて明かされました。
「Runinto」のコンセプトは「偶然の出会いをシェアするログノート」。旅先での思いがけない偶然の出会いに着目し、株式会社Strolyが運営する地図アプリ上に土地のにおいや個性的な人との出会いをログとして共有。その土地土地で誰かが記したログを巡ることで、思いがけない出会いを多くの旅行者が楽しむことができるサービスです。ターゲットユーザーとして、自分の足で歩きながら一つ一つの出会いを大切にするバックパッカーを想定しています。
「BaPT」はAirbnbに宿泊したゲストが子どもを預けたいときにホストを経由してベビーシッターに紹介するサービスです。「Baby」「Peace of mind」「Travel」の頭文字から名付けられました。潜在保育士の持つスキルを生かすとともに、旅行先での家事育児の負担を減らし、親の一時的な休息を根付かせたいとの思いが込められており、一般家庭でのベビーシッター事業を展開する株式会社パソナフォスターと協働して取り組みます。単に預けることだけを目的としておらず、日本や京都に関する学びの機会を提供することも考えられています。
「Breaky」は旅行者の朝食を改善するための取り組み。自分に合った朝食を探している旅行者と朝食を提供したい人をつなごうという思いが込められています。具体的には、誰もがシェフになれるチャンスがある場所「チャレンジキッチン」を運営し、自分の店をまだ持っていないシェフらに試験的な営業の場として活用してもらい、Airbnbの旅行者に朝食を提供することで実践的な飲食店営業のスキルを培ってもらうことを理想としています。
学生を指導してきたクロステックデザインコースの軽部政治教授は「Airbnbは旅行をいかに日常生活に組み込むかというスタンスで、新しい宿泊場所を提供されてきた。今回はシェアリングという新しいプラットフォームに関して、学生の柔軟な発想で新しいサービスを考えられないかと1年間試行錯誤してきた企画。企業にバックアップしていただきながら実サービスとして展開していければ」と話しました。
講座を担当したAirbnb Japan執行役員の長田英知さんは「学生の目線から新たなサービスを考えてくれて感激している。東京五輪・パラリンピックに向けてこのサービスを具現化していき、日本を旅する価値を最大化していきたい」と意気込みを語られました。
サービスは3月からスタートするものもあり、利用状況や収益性などを検証し、本格運用に向け改善を重ねていきます。この取り組みの行方にぜひ注目してください。
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