米国・ハリウッドで活動し、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、劇場版『ルパン三世』(2014年)などの作品を送り出してきた映画監督・北村龍平さんが11月29日、京都造形芸術大学にお越しになり、映画業界の第一線で活躍されてきた半生や活動の根底にある信念などをお話しいただきました。
大阪出身の北村監督は17歳でオーストラリアに渡り、映画学校に入学。自主制作映画『DOWN TO HELL』(1997年)が第1回インディーズムービー・フェスティバルでグランプリを受賞され、『VERSUS-ヴァーサス-』(2001年)『あずみ』(2003年)『荒神』(2003年)などで賞を獲得してこられました。ロサンゼルスを拠点にされており、来日に合わせて本学の学生向けに特別授業を実施していただくこととなりました。
「生きていく中で必ずしも必要ではない」とする映画をはじめとしたエンタメ業界に身を置くうえで「日常の中で非日常を体験してもらう」ことを哲学にしているという北村監督。この考えが根底にあるからこそ、「お金を払って見てくれる人に対して、エネルギーあるものを提供しないといけない」という信念を抱きながら制作を続けてきたそうです。
北村監督の作品の特徴でもある「見せ場をつくること」について話が移ると、「作品中のすべての場面が見せ場であるべき」と断言し、全カット、全シーンで見せ場にしようと努めてこられたことを説明されました。キャスティングに関しては「キャラクターは内面と外面の両方を考えなければならず、どういったビジョンにするかを明確にすることが重要。才色兼備な俳優陣の中から、『あずみ』の上戸彩や『ルパン三世』の小栗旬を起用したのは、彼ら彼女にしか持ってないものがあると見えたから」と言及されました。
「one & onlyを目指すか、安定した無難な道に進むか、自分の色をどれだけ出すかという選択をしたほうが良い」と講義後半では学生の未来についてアドバイスされた北村監督。「私自身は自分にしかできない表現をしたいと思っていたので、one & onlyを突き詰めてきた。創作には自身の引き出しの多さが重要で、それは経験値が多いほど増える。どんなことに対しても積極性を出したほうが良い」と呼び掛けました。
学生へのメッセージとして「一番の師匠は自分。自分にどれだけ甘いかで能力が決まってくる」「人を巻き込める人間力を養ってほしい」と強調した北村監督。2020年にはハリウッド4作目となるジャンレノ・ルビーローズ主演の『doorman』の公開が予定されており、日本での大きな発表も計画されているそうです。世界で活躍されている北村監督の一言一言に刺激を受けた学生も多かったはずです。
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