REPORT2019.11.05

1万枚のアーカイブが生み出す成果―プロジェクトからFURLAの新商品が誕生

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  • 京都造形芸術大学 広報室

京都造形芸術大学の共通工房「ウルトラファクトリー」では、第一線で活躍するアーティストやクリエイターが学生とともに活動する実践型授業「ウルトラプロジェクト」を展開しています。巨大な立体作品を制作するものや、デザイナーや企業と学生が協働してデザインを探求するもの、そしてプロの編集者が学生とともに「編集」について考え、新たなメディアを作り上げるものなどウルトラプロジェクトの活動は多岐にわたり、学科や学年を問わず多くの学生が参加しています。今年度は10本のプロジェクトが活動中。

 

今回は、1688年(元禄元年)創業の西陣織商「細尾」とのプロジェクト「MILESTONES(マイルストーンズ)」の商品開発の取り組みを紹介します。

同プロジェクトのディレクターは「細尾」12代目の細尾真孝氏。「細尾」は現代美術家とのコラボレーションや、西陣織のテキスタイルをラグジュアリーブランドに展開するなど、創業300年を越える老舗でありながら、常に新しい挑戦を続けている企業です。

プロジェクトの参加学生は、細尾所蔵の約2万点の西陣織の帯図案をデジタルアーカイブし、柔軟な感性で新しいデザインへ展開することに挑戦しています。

一枚一枚丁寧にスキャニング作業を行う

2014年度からスタートした「MILESTONES」は今年6年目を迎え、デジタルアーカイブした帯図案の数は1万点を突破。そして今年、同プロジェクトは新たな展開を迎えます。

学生がアーカイブをした帯図案をもとに、日本でも人気のイタリアブランド「FURLA」とのコラボレーション商品が誕生。「FURLA FW19 JAPAN EXCLUSIVE COLLECTION」として全国のFURLA店舗で8月28日から販売が開始されました。(高島屋限定商品は、FURLA取り扱いの髙島屋店舗のみで発売

FURLA公式HP: https://www.furla.com/jp/ja/eshop/collections/

FURLA FW19 JAPAN EXCLUSIVE COLLECTION 商品ラインナップ

FURLAとのコラボレーション商品の企画は2018年の夏に始動しました。本企画は、帯図案アーカイブのデータから新しいデザインのバッグをつくるというもの。学生は、プロジェクトを主導する細尾さんから、段階に応じた課題をいただき懸命に取り組みます。

まず学生が取り掛かったのは、FURLAにデザインを提案するため、1万点以上ある図案のアーカイブデータから、100の候補にまで絞るというもの。FURLAのブランドイメージや、西陣織と西欧テキスタイルの共通点に思いを巡らせた結果、イタリアと日本の両国で昔から親しみのあるモチーフ、草花や蝶が描かれた図案にフォーカスして選出することになりました。

株式会社細尾のオフィスで実施されるミーティングの様子

学生が選び出した100の図案の中から、FURLAのイタリアのデザイナーのみなさんが20の図案をセレクト。学生とプロのデザイナーの方との協働して「蝶」「宝相華文(別名:唐草文)」「葡萄唐草」の3種類の図案が選出され、デザインしたユニセックスのトートバッグとクラッチバッグが商品化されることが決定しました。

この3種類は西陣織にも度々使われる象徴的なモチーフです。それぞれに不滅、優雅、活性、豊穣、子宝などの意味があり、日本の歴史の中でも縁起の良い文様として用いられてきました。

「蝶」
「宝相華文(別名:唐草文)」
「葡萄唐草」

学生の挑戦はまだまだ続きます。細尾さんより「商品化に向けて、決定した3種類の図案を学生の感性でデザインとして再構成し、色合いも提案する」という次の課題が与えられます。

「細尾」が所蔵する手書きの帯図案は全て線画で、当時、実際に帯地として織られた色味に関する情報は一切残されていません。細尾さんはその理由を「当時の色味はその時代の影響を強く受けているので、例え同じ図案を利用したとしても以前の色味を再現することはない」と説明。今回は、現代を生きる学生の感性で図案のデザインとカラーリングを提案することになりました。

学生はこの課題に対して、図案のバランスを崩さないように配慮しながら図案のデータを基にしたデザイン構成と色合いの提案を行いました。そして、見事に同じ「葡萄唐草」の図案から生まれた2種類のデザイン案が採用され、以下の商品化に至りました。

ベースの図案から大きく形を変えずに配置したデザイン
要素だけを取り出して再配置して生まれたのが、コレクションの中でもひときわモダンなデザイン

今回のFURLAとのコラボレーション商品の企画に、図案のセレクトとデザイン構成の提案まで携わることができ、自らの試行錯誤の結果を商品に反映できる貴重な経験をすることができました。

商品は、8月28日より全国のFURLA店舗で販売が開始され、多くの方の手に渡っています。

商品化されたバッグを手に取る

MILESTONESプロジェクトでは、引き続き帯図案のスキャニング作業を続けながら次の展開を構想しています。伝統産業の分野を超えて活動の場を広げるMILESTONESプロジェクトの今後の展開にもぜひご期待ください!

 

  • 京都造形芸術大学 広報室Office of Public Relations, Kyoto University of Art and Design

    所在地: 京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス 人間館2階事務室
    連絡先: 075-791-9112 (内線 3030/3033)
    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

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