京都における伝統文化の継承、発展に寄与することを目指して活動している、京都造形芸術大学の「京都伝統文化イノベーション研究センター(KYOTO T5)」が、地域社会やコミュニティー形成に寄与しているとして、2019年度のグッドデザイン賞(地域・コミュニティづくり)を受賞しました。「Made in JAPAN」「Made in KYOTO」であることや、「使いたい」と思わせるデザイン性を重視し、海外の大学や見本市へも積極的に展開している活動全体が評価対象とされました。
※グッドデザイン賞公式HPはこちら。
京都造形芸術大学では文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」の採択を受けて、2017年度にKYOTO T5を設置し、18年4月から活動を開始しました。具体的な活動としては、伝統工芸の素材や道具、技術の特異性、優位性をリサーチし、その魅力を国内外に向けて発信。その過程で再発見した素材、道具、技術を生活の中で使い手が用いたくなる製品に転化させるというサイクルを生み出すことで、伝統工芸産業の持続可能なモデルを構築しています。
これまで、下駄やぞうりに使われる鼻緒をスニーカーに取り付けた「HANAO SHOES」、漆職人と共同制作したアイスクリーム用スプーンなどを開発。新商品の開発、新しいマーケットの獲得にとどまらず、職人からリサーチしたことを記録してホームページ上で公開するアーカイブ活動にも取り組んでいます。近年では英国・ロンドンにある世界最高峰の芸術系大学院大学「Royal College of Art(RCA)」やスイスのジュネーブ造形芸術大学(HEAD)などとも共同研究・ワークショップを実施しています。
「学生ならではの自由な発想を生かし、海外に向けた完成度の高い製品開発を行っている」「伝統工芸の発展に寄与する新しい仕組みといえる」「教育プログラムとしても満足度の高い」。グッドデザイン賞の審査委員からこのように評価されたKYOTO T5の活動。今後も、伝統とは常にその時代の最先端の文化を創造し受け継がれてきたという本質に立ち返り、伝統工芸産業の持続可能なモデルを構築していきます。
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