7月5日(金)、京都造形芸術大学では、大人気アニメ「それいけ!アンパンマン」のばいきんまん役、「ドラゴンボールZ」のフリーザ役など数々の作品に出演されている、声優・中尾隆聖さんをお招きし特別講義が実施されました。
本授業には、さまざまな学科から学生があつまり教室は満席状態。中尾さんのお話に熱心に耳を傾け、メモを取る学生の様子が見られました。
5歳の頃に児童劇団に入団し、子役として活動をしていたという中尾さん。その後、役者として活動の場を広げるため事務所を移られたそう。テレビの普及に伴い、テレビドラマ、CM、舞台、映画などで俳優業をされていたと言います。
中尾さんが声優の仕事との出会われたのは、前回の東京オリンピックが開催された1964年。最初のお仕事を共にされたのは、現在も数々の作品に出演される野沢雅子さんだったそうです。学生に人気のある「ドラゴンボールZ」や「ONE PIECE」など多数の作品で共演されているお二人の出会いのエピソードに、学生からは驚きの声があがりました。当時、声優のお仕事は役者の方が俳優業の傍らでされていたり、「アルバイト」感覚で請け負われたりするなど、「声優」の分野が確立されておらず、今とはずいぶん違う様子を教えて頂きました。
現在、所属事務所で新人の育成に尽力される中尾さんより、本講座を受講する学生たちに声優や役者を目指すうえで「一番大切なこと」が語られました。
「 声優や役者を目指す時に一番大切な事は、“WAIT(待つ)”です。つまり、フリーの時間をどのように過ごすのということ。例えば、声優の養成所を卒業した人が、今日からあなたはプロの声優ですと言われても、すぐに仕事が舞い込むわけじゃないですよね。もしかすると、何度もオーディションを受けても仕事が決まらないかもしれない。そんな風に何もない時、多くの人はどうすればいいのかわからなくなります。そして、無駄に時間を過ごしてしまう。しかし、それでは次のオーディションがあっても、準備ができていないからチャンスを掴むことができないんですよね。次のオーディションや仕事を待つ間、自分はどのように過ごすべきなのかを考えて、『良いWAIT』をしなきゃダメなんだと思うんです。」
さらに、中尾さんは「2・3か月間、オーディションに受からないからって、挫折しちゃだめだよ。1年、2年と辛抱して待たないといけない。」と学生に語りかけます。「次のチャンスを待てるかどうか、次はどんな経験ができるんだろうと、楽しみに待つことができるかどうかが大切。例え、オーディションの審査員10人全員に認めてもらえなくても、もしかすると11人目に出会う審査員が、自分を良いと認めてくれるかもしれない。待っているだけでなく、自分で11人目を探して見つける努力をしなきゃだめなんだよね。」と、夢に向かっていく思いの強さや認めてもらいたいという気持ちを持ち続ける大切さをお話いただきました。
60分間の特別講義はあっという間に過ぎていきました。講義後の質疑応答の時間には、多くの学生が手を上げ、お芝居をするときの悩みから声優業界の裏話まで、さまざまな質問が中尾さんに投げかけられました。中尾さんもお時間の許す限り学生に向き合い、アドバイスやエールをおくってくださいました。とても貴重な機会となりました。
「声優という生き方 仕事と生き方」-中尾隆聖 著(イースト新書Q)
キャリア60年超のレジェンドによる、夢をもって立ち向かうための役者論。
定価 | 907円(本体840円+税8% |
---|---|
ISBN | 9784781680583 |
発売日 | 2019年5月8日 |
京都芸術大学 Newsletter
京都芸術大学の教員が執筆するコラムと、クリエイター・研究者が選ぶ、世界を学ぶ最新トピックスを無料でお届けします。ご希望の方は、メールアドレスをご入力するだけで、来週水曜日より配信を開始します。以下よりお申し込みください。
-
京都芸術大学 広報課Office of Public Relations, Kyoto University of the Arts
所在地: 京都芸術大学 瓜生山キャンパス
連絡先: 075-791-9112
E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp