熊本県マスコットキャラクター「くまモン」をプロデュースした小山薫堂・京都造形芸術大学副学長が6月25日(火)、本学での講義に登壇し、京都との関わりや、放送作家・脚本家としての企画に対する思いなどを話されました。
小山副学長は熊本県天草市(旧本渡市)生まれ。人気番組「料理の鉄人」を手掛け、映画「おくりびと」(2008年)では脚本を担当されました。現在は本学副学長のほか、東京の京都市アンテナショップ「京都館」館長、料亭「下鴨茶寮」主人、日本遺産審査委員などを務められています。
京都との最初の関わりは、貸衣装店を営む両親の京都・西陣への着物の仕入れに同行した4歳のころ。子どもながらに「格好良い」と憧れを抱いた街に大学生時代には愛が芽生え始め、四条河原町の飲食店にウイスキーをボトルキープすることで、東京から京都に行く理由をつくっていたといいます。2012年には下鴨茶寮の主人となり、京都愛が成就。当初はブランディングを依頼されただけだった料亭を引き継いだ理由について「料亭はメディアとなって人と人とをつなぐことができる。京都の”食の拠点”という面を活用すれば、人生の広がりができると直感した」と説明されました。
仕事をする上では「その仕事は新しいか、その仕事は楽しいか、その仕事は誰を幸せにするか」を意識し、一つでも当てはまるかを自問。アイデアをひねり出す根底には「もったいない!」というキーワードがあるとし「企画の使命は価値をつくることで、その価値の正体はブランドやファンといった感情移入。企画は大切な人へのバースデープレゼントを考えることでもある。相手の好みやプレゼントの中身、渡し方など、そういう思いが企画の種になる」と明かされました。
サプライズの視点も重要視されており、最も成功したのが九州新幹線の開業に合わせた「くまもとサプライズ」キャンペーンで登場したくまモンといいます。限られた広告費を補うために、著作権フリーにして地場産品に載せてもらうことで露出を増やそうとする狙いは大ヒット。人気は瞬く間に日本中に広まり、数え切れないほどのコラボ商品も誕生しました。
幸せは探すものではなく気付くものと思われてきた小山副学長。京都に来て、くまモンは『和』なのではと気付いたそうです。
「和(なご)ませる、和(やわ)らげる、和(あ)える…。くまモンの愛らしさは人々を和ませ、気持ちを和らげる。和えるとはコラボレーションのこと。京都には文化、芸術といったコラボできる力があり、京都の力を生かして新しいものに挑戦してほしい。京都で学ぶもの、楽しむものに気付いて、自分の人生に磨きをかけてほしい」。熊本県しあわせ部長として人々の幸せを応援しているくまモンから学び、感じたことを、学生にお伝えいただきました。
講座は「これだけは聞いてほしい京都のこと」をテーマに、京都造形芸術大学の講師陣がオムニバス形式で展開する講座「京都学」の一こまとして実施し、多くの学生が聴講しました。
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