卒業制作展も大詰めを迎え大学全体の士気が高まる中、もう一つの卒業の場に向けて準備を進める学生たちの姿があった。2/9(土)~2/17(日)に開催される空間演出デザイン学科2年生有志らによる企画展「はーふ卒展」だ。
「空デ2年、卒業します。」
空間演出デザイン学科2年生有志らが 4年生までちょうど半分となるこの時期に企画するこの展覧会。2年生の今だからこそできること、今の自分たちにしかできないことを模索する試みとして「はーふ」をテーマに24名の学生たちがそれぞれの解釈を表現する。
大学生活への慣れや就職活動への縁遠さから、いわゆる「中だるみの時期」として捉えられることの多い大学2年生。「何をしても、何をしなくても許されてしまうこの1年を、私たちは己の未熟さと向き合うための時間にしたいと考えた」と語るのは、本展を立ち上げた企画者の一人である溝部千花さん。昨年5月から出展者や共に企画を進めていく仲間を募り、一年間かけて展示を作り上げてきた。「学科の中には、人知れずおもしろいことを考えているような人がたくさんいる。この先、学科での展示の機会もあるけれど、自発的に動くことがより皆にスポットライトを当てるきっかけになれば」と本展開催のきっかけを語ってくれた。
2018年5月、企画の説明をする溝部さん。当初のテーマは「ライト」だった。
卒展と銘打たれた本展には、学科教員との定期的な講評会など2年後に控える実際の卒業制作展と同様のステップが存在する。5月の出展者募集後、世の学生たちが夏休みに入る8月初旬にテーマ発表を行い、そこから半年にわたって学科教員や会場「想念庵」オーナーでありアートディレクター金島隆弘さんとの綿密な講評会を重ねてきた。また、作品の制作だけではなくグラフィックや空間構成を中心とした日頃の学びを活かす場として、展示全体を通して各々のスキルアップを図る。2年後に控える実際の卒業制作展に向け、制作に入る前、ものを考える段階から客観的な視点を身につけたいという思いが「はーふ卒展」の屋号には貫かれている。独りよがりな思考からの逸脱を目標に、一学生自主企画展の枠組みから一歩踏み出た展示作りを目指した。
8月初旬に半年間の研究テーマを発表。その後隔月で教員らとの講評会を重ねた。
また本展は、美術関係者の招致や高校生、他大学生など出展作家と学内外の価値観との交流の場となることを目標の一つとして掲げている。すでに進行している、SNSを利用した広報活動に加え、会場内でのカフェの運営やゲストを招いた対談企画等、開かれた場として広く人と関わるきっかけを内包している。
はーふ卒展のInstagramアカウント。展示の情報に加え、「はーふ」にまつわる様々なコンテンツを発信する。
「半人前で、半熟で、まだまだ知らないことばかり。でもだからこそ、おいしい部分もきっとあるはず。」(DMより一部抜粋)
展覧会のステートメントは、しかしそんな「はーふ」な自分たちからの卒業を決意する言葉で締めくくられる。まだ青々としながらも、確かに実りはじめたアイデアの萌芽を、是非その目で確かめてみてほしい。 会期は2月9日(土)から17日(日)まで。初日の9日13時からは出展作家らによる公開プレゼンテーション、18時からは彫刻家の金氏徹平さんと建築家の家成俊勝准教授(空間演出デザイン学科)によるトークショーが開催される。
はーふ卒展
空デ2年、卒業します。
会 期 | 2月9日(土)〜17日(日) |
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時間 | 12:00〜18:00 |
場所 | 京都市左京区田中里ノ前町 49-2 |
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山月 智浩 Tomohiro Yamatsuki
1998年大阪府生まれ。京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科2017年度入学。いろんな世界に飛び込んでみたいとの思いから瓜生通信編集部に参加。企画の立て方や編集を学んでいる。