INTERVIEW2019.01.30

舞台

「演じる高校生」― 高校演劇コンクール近畿大会 優秀校「春秋座」招待公演

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  • 京都芸術大学 舞台芸術研究センター
  • 京都芸術大学 広報課

京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス内にある京都芸術劇場「春秋座」では、こけら落とし以来、高校演劇コンクール近畿大会で最優秀校と優秀校を受賞した2校を招待する企画『演じる高校生』を毎年開催しています。今年度の上演は、同会場にて2019年2月11日(月・祝)14:00から。(公演情報:http://k-pac.org/?p=5163 

高校演劇コンクールでは、地区大会、各府県大会、ブロック大会が開催され、勝ち進んだ高校が全国大会へと進みます。近畿大会だけでも参加校は281校あり、その中から全国大会へと進めるのはわずか2校。ブロック大会で優秀校に選ばれた1校が翌年春の全国高等学校演劇研究大会に、最優秀校で選ばれた1校が翌年夏の全国高等学校演劇大会に出場します。

参加校は創作・脚色は問わずさまざまな作品を発表します。制限時間1時間以内で1秒でも超えると失格となってしまうシビアな予選を勝ち抜き、今年度は最優秀校に大谷高等学校(大阪市阿倍野区)、そして優秀校には滝川第二高等学校(神戸市西区)がそれぞれ選出されました。この2校が春秋座に招待され、『演じる高校生』にて公演します。

生徒のみなさんに、上演する作品について春秋座公演にむけた意気込みとともに聞きました。

 

【最優秀校】

大谷高等学校(大阪市阿倍野区)・ 作品『ふじんど』

作: 森野和 補作:髙杉学

 

──まずは今回の作品のあらすじ、ポイントを教えて下さい。

学校見学会のパフォーマンスを依頼された女子高生たちが繰り広げる、学園青春ファンタジーです。まとめるのが難しいのですが……

「歌うんですか?……歌わない。 踊るんですか?……踊らない。 見せれる程の踊りは無理。決めポーズは……不要! ぎゃふん。

エンターテイメントに行きましょう!イッツ・ショータイム!みたいに派手にいきましょう!……何言うてはんの?

結果オーライ。時間はかかったけど青春という魔法の力が効いたのかもしれない。

あなたのこれからに幸多かれ!……ってのはいかがでしょう?」

と、このような感じでしょうか……

──なるほど!これだけで作品をイメージするのは難しいかもしれませんが……、みなさんの作品をすでに観られた方ならば、近畿大会の本番でみなさんが演じた、あのナンセンスでハイテンポな作品の様子が蘇ってきたことだと思います。まだ作品を観ていない方は、2月11日の上演を観てからもう一度この記事を読んでもらいたいですね。

大谷高等学校(大阪市阿倍野区)『ふじんど』舞台写真

──制作過程で苦労した点や工夫した点を教えて下さい。

早替えのために、スカート・セーラー服・体操ズボンを自分たちで改良しました。舞台上で繰り広げられる早替えにご注目してもらいたいです。

──それは、歌舞伎劇場である「春秋座」にぴったりの演出ですね。本劇場の芸術監督である四代目市川猿之助さんも、早替りを得意とされています。

その他、使用する小道具にも工夫しています。鞄につけたり、籠に入れたりしている「バナナ」は私たちの手作りです。ハチマキやスカーフ、ネクタイも手作り。私たちが求める物が売っていなかったので、それならばと作っちゃいました。
また、照明機材も学校にはなかったので、すべて想像で明かりをつくりました。私たちの想像力でつくり上げた世界観を、観客のみなさんと共有できたらいいなと思います。

──春秋座ではリハーサルの時間をたっぷり取っているので、素敵な照明に仕上げて下さいね。さて、今回の作品『ふじんど』では、かなりテンポが重要な要素だと思います。あれほど速いテンポで、1時間の上演をノンストップ。すごく鍛錬しているのだと思いますが……

テンポを落とすことなく、しかし聞き取ることができるギリギリのところを探るのに苦労しました。でもやっぱり速いのかもしれません。

──いえいえ、作品の中身にもつながるので、ある程度の速さは必要だと思います。ナンセンスな場面があのテンポで次々に展開されると、観客としてはもうお手上げ。笑うしかありません。

劇場スタッフとの打ち合わせの様子(大谷高等学校)

──春秋座公演に向けての意気込みをお願いします。

2011年度に私たちの先輩が演じた『はみーご』以来、大谷高校にとって7年ぶりに出場する「演じる高校生」(※1)。演劇部に入部してから憧れ続けた舞台に立てるので、楽しみで仕方ありません。

高校3年生の部員は卒業を控えているので、来年7月に行われる全国大会の舞台に立つことはできません(※2)。現キャストで上演できる最後の『ふじんど』です。今回の春秋座公演では、こちらのスタッフ方々にわがままをいっぱい聞いていただいたので、自分たちのやりたい舞台ができそうです。大谷演劇部にとって最高の舞台にしたいと思います。

※1 大谷高等学校は今回も合わせて歴代最多7回「演じる高校生」で上演している。
※2 2019年7月に佐賀県鳥栖市で開催される全国大会にて本作『ふじんど』を上演予定。現高校3年生は卒業するため参加できない。

──最後に、観客のみなさんにも一言お願いします。

どうか最後まで “気を抜いて” ご覧下さいませ!

2018年12月28日に行われた近畿大会で見事「最優秀賞」に選出(大谷高等学校)

──春秋座のスタッフも最大限にバックアップしますので、集大成の舞台を存分に楽しんで下さい!

 

 

【優秀校】

滝川第二高等学校(神戸市西区)・ 作品『沈着』

作:いぐりんとその仲間達 (創作脚本賞)

 

──滝川第二高等学校のみなさん。今回の作品のあらすじとポイントを教えて下さい。

3月31日。山間の村「春日村」の南地区がダムによって沈む日。大人達の「閉村式」には参加せず、山の中腹にある公園に集った中学3年生の女子たちの物語です。

──高校生になる前日ということですね。

はい。明日から高校生、大人になる狭間です。大人達の事情に翻弄されて、それぞれの思いを抱えながら村での最後の日を過ごします。この作品では、彼女たちに積み重なっていく複雑な思いを描いています。

──近畿大会での上演を観ましたが、大人の事情に振り回されたときの感情がとてもストレートに描かれていて、自分が子どもだった頃の気持ちを思い出させてくれました。

滝川第二高等学校(神戸市西区)『沈着』舞台写真

──制作過程(稽古)等で苦労した点、工夫した点を教えて下さい。

それぞれの部員の台本の解釈の違いに悩みました。

──どうやって解決したんですか?

話し合いです。少しでも気になることがあると、みんなで何度も話し合いました。

──それは、根気のいる作業ですね。

はい。一つ一つ丁寧に仕上げていきました。

──確かに、とても真摯な作り方をしていることがまっすぐに伝わる作品だと思います。先日の打合せでも、細かいことろをきちんと確認されているのが印象的でした。

劇場スタッフとの打ち合わせの様子(滝川第二高等学校)

──では最後に、春秋座公演に向けての意気込みをお願いいたします。

憧れの舞台に立てるということで緊張していますが、「焦らず沈着に!」。滝二らしいお芝居をしたいと思っています。

──タイトルにかけましたね!(笑)

そうです!みんなの思い出が静かに「沈着」する滝川第二の芝居をお楽しみ下さい!

12月28日に行われた近畿大会にて見事「優秀賞」に選出(滝川第二高等学校)

──みなさん、ありがとうございました。素晴らしい上演を楽しみにしております。

 

『演じる高校生』

高校演劇コンクール近畿大会優秀校第18回「春秋座」招待公演

公演チケット講評発売中!【詳細】http://k-pac.org/?p=5163

日時 2月11日(月・祝) 14:00開演
会場 京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)
チケット 一般1,500円/学生&ユース500円
問合せ 京都芸術劇場チケットセンター
TEL: 075-791-8240(平日10:00~17:00)

 

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    舞台芸術の創造過程の総体を研究対象として、乖離しがちであった「創造の現場」と「学術研究」とのより有機的な結びつきを図るべく、2001年4月に発足。学内劇場である「京都芸術劇場」(歌舞伎劇場である春秋座 ならびに多目的小ホールの studio 21)を活用し、京都芸術大学舞台芸術学科を中心とした学内主任研究員による上演・研究活動を組織すること、学外および国内外の研究者および研究機関との共同研究、国内外の舞台芸術創造拠点との共同作業など、舞台創造の現場と密接に連携した研究・創造のネットワーク作りを目指す。
    http://k-pac.org/

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