アカデミー賞ノミネート・辻一弘さん特別講義「ハリウッドの裏側」

SPECIAL TOPIC2018.01.24

アート映像

アカデミー賞ノミネート・辻一弘さん特別講義「ハリウッドの裏側」

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  • 京都造形芸術大学 広報室

1月22日(月)、特殊メイクアップ・アーティストの辻一弘さんによる特別講義「ハリウッドの裏側」が開かれた。

辻さんは『メン・イン・ブラック』『PLANET OF THE APES/猿の惑星』『グリンチ』『ザ・リング』などの特殊メイクを担当し、2001年には『グリンチ』で英国アカデミー賞メイクアップ&ヘアー賞を受賞。そして今年、ゲイリー・オールドマンの特殊メイクを手がけた『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(3月公開)では第90回アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング部門へのノミネートを果たしている。

数々の映画に携わってきた辻さんが映画に興味を持ち始めたのは中学生の頃。『スターウォーズ』を観て映画における特殊効果にひかれ、これを仕事にしたいと書店で情報収集をしていく中で、後の師匠となるメイクアップ・アーティストのディック・スミス氏(『エクソシスト』など)の記事に出会う。「これだ」と思って手紙を書き、指南を仰ぐと「アメリカにもいい学校があるわけではない。自分でやるのが一番」との返事が。そこから独学で特殊メイクを学び、作品の写真を見てもらったりなど交流を続けるうちに、ついに日本でスミス氏との対面が実現する。特殊メイクにかける熱意が伝わり、同氏が参加する次回作のスタッフとして声をかけられたのだという。現在の活躍をひもとくと、好きなことへの入口を見つけるための努力と、ここぞというときに行動を起こす瞬発力があった。

常に「アメリカで特殊メイクの仕事をする」という夢を持ち続けたという辻さん。だからこそ、思うように仕事がないときも「アメリカに渡ってどうにかしよう」と行動に踏み切り、仕事を切り拓いてきた。友人のエディヤンに、メイクアップ・アーティスト、リック・ベーカー氏への紹介もあって、数々の話題作で特殊メイクを手がけるようになり、着実に評価を得ていく。

夢をかなえてからも、続けていくうちに自分のアイディアを活かすのが難しい映画の仕事に疑いを感じたこともあったという。このまま続けるべきかと悩んでいた折、スミス氏の80歳の誕生日を祝って作った肖像(=写真)が本人をはじめいろいろな人に喜ばれ、観た人の反応を目の当たりにしたことで、辻さんは現代アーティストとして生きていく決心をする。背景に貫かれていたのは「自分のやりたいことをやる」ということ。スミス氏に師事する中で「どんなにすごいキャリアを築いている人でも、後悔はあるということを知った」と語り、「やりたいことをやる」姿勢を徹底してきたという。「ウィンストン・チャーチル~」で主演のゲイリー・オールドマンから「君がメイクをやるならこの役をやる」と熱烈なオファーを受けながら、すでにアーティストとして作りたい作品を作っていた辻さんはすぐに返事をしなかったという。熟慮の末に参加を決めるが、当初は引き受けると「人生を裏切ることになるのでは」との迷いもあったと話し、ここでも自分のやりたいことに対していかに真摯に向き合っているかということが伺える。

学生たちにも、そんな自身の経験を踏まえて「何が本当にやりたいかを見つけることが大事。それがわからないうちは、進むべき道もわからないから」と語った辻さん。また「芸大に来ているということは、何か好きなものがあって、それを形にしたいと思っている人が多いはず。そのためには普通の決まりきった生活はできない。楽な道なんてない」「才能さえ欲せられたら、どこでもやっていける。世界のどこにいても通用するために、海外に出て、生活してみてほしい」と表現の世界の第一線で活躍するプロフェッショナルならではの助言を贈った。

どこまでも自分のやりたいことに向き合い、実現に向けて行動することで道を切り拓いてきた辻さん。世界が認めた才能の持ち主の、芸術に対する熱意に触れる貴重なひとときとなった。

この日の参加者は舞台美術学科、キャラクターデザイン学科、映画学科が中心。辻さんは中央列の手前から3段目

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