最前線に立ち続ける音楽家と現代音楽屈指のアンサンブル。 ーハイナー・ゲッベルス×アンサンブル・モデルン 『Black on White』日本初演
- 京都芸術大学 舞台芸術研究センター
2017年10月14日(土)~11月5日(日)まで、今年で8回目を迎える京都国際舞台芸術祭KYOTO EXPERIMENT2017が開幕中だ。
会場の一つである京都芸術劇場 春秋座では10月27日(金)~28日(土)にハイナー・ゲッベルス×アンサンブル・モデルン 『Black on White』が上演された。
各地の国際フェスティバルでも上演されてきた音楽劇『Black on White』は、ドイツを拠点に80年代から活躍する現代音楽家ハイナー・ゲッべルスが、世界トップレベルの室内合奏団「アンサンブル・モデルン」のために書き下ろした作品。
紙の上をペンが走り、文字が書かれる。マイクで拾われたペンの音は朗読の音と重なり、やがて音楽家たちが舞台に現れる...。楽器を準備する間、ある者は書き物をし、ある者は音を立てている。インスタレーションのように空間を立ち上げながら始まるこの舞台は、ある瞬間に突然、音楽家たちによるコンサートになる。現代音楽、ジャズ、黒人音楽、礼拝音楽といった多彩な楽曲を次々と演奏する中、大太鼓にテニスボール、フルートにあわせたやかんの音、朗読音源など、楽器演奏だけにとどまらないあれこれの音が入り混じり、振付された音の群はある種の風景画を空間に描き出す。そこに作者やヒエラルキーといった中心は不在である。あるいは、舞台上にいない死者が中心ともいえる。
舞台には故ハイナー・ミュラーがエドガー・アラン・ポーの小説「影」を読み上げる声が幾度となく挿入される。東ドイツの重要な劇作家、ミュラーの演劇作品で音楽を担当してきたゲッベルスからの、ユーモアあるレクイエムのようにも聞こえてくる。
世界各地の先鋭的な舞台芸術を楽しむことが出来る京都国際舞台芸術祭は11月5日(日)まで。
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2017
ハイナー・ゲッベルス×アンサンブル・モデルン
『Black on White』日本初演
日時|10月27日(金)19:30-/28日(土)15:00-
会場| 京都芸術劇場 春秋座
http://k-pac.org/?p=3751
撮影:井上嘉和
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京都芸術大学 舞台芸術研究センターKyoto Performing Arts Center, Kyoto University of the Arts
舞台芸術の創造過程の総体を研究対象として、乖離しがちであった「創造の現場」と「学術研究」とのより有機的な結びつきを図るべく、2001年4月に発足。学内劇場である「京都芸術劇場」(歌舞伎劇場である春秋座 ならびに多目的小ホールの studio 21)を活用し、京都芸術大学舞台芸術学科を中心とした学内主任研究員による上演・研究活動を組織すること、学外および国内外の研究者および研究機関との共同研究、国内外の舞台芸術創造拠点との共同作業など、舞台創造の現場と密接に連携した研究・創造のネットワーク作りを目指す。
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