REPORT2017.11.15

アート

通信制⼤学院 超域プログラム 特別講義レポート② −今、なぜ芸術家を目指すのか 芸術の歴史を振り返りながら「 千住博ラボ 」より

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  • 京都芸術大学 広報課

 京都造形芸術大学の通信教育課程に今年開設された「超域プログラム」と呼ばれる大学院修士課程プログラム。その特別講義が、10月21日(土)、22日(日)の2日にわたり、東京・青山一丁目にある外苑キャンパスで行われた。

 10月21日に開催されたアートプロデューサーの後藤繁雄教授による「後藤繁雄ラボ」の特別講義の様子は、「通信制⼤学院 超域プログラム 特別講義レポート① −コンテンポラリー アートを学ぶ者の⼼得「後藤繁雄ラボ」より」と題した記事で紹介させていただいた。

 ご興味のある方は、以下ページを参考にして欲しい。

 https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/266

 さて今回は、台風の到来で正味1時間ほどになってしまったが、翌10月22日(日)に開催された日本画家の千住博教授とアート・コンサルタントの加藤淳教授による特別講義の様子についてレポートしたい。

 

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 10月22日(日)。この日は「史上最強クラス」と言われる超大型で非常に強い台風21号が日本列島上陸目前という日だった。

 港区青山一丁目にある京都造形芸術大学の外苑キャンパスも、強い雨に加え、少しずつ風が吹き始め、千住博先生の特別講義が始まろうという午後6時は、ちょうど大雨・暴風警報が発令されたところだった。

 そんな悪天候にもかかわらず、会場には60名を上回る人々が千住先生の話を聴こうと集まっていた。そこで、当初の午後7時20分までの予定を20分切り上げて開催されることとなった。

 前日の後藤繫雄ラボの特別講義は、作品を楽しむ側の目線で話が展開されたが、この日千住先生から語られたのは、表現者だからこその目線で捉えられた、先人たちによるめくるめく芸術の軌跡だった。

千住博教授(右)と加藤淳教授(左)
ラスコーの洞窟壁画
古代エジプト ネバムンの墓の壁画
ジョット《ベツレヘムの星》

 フランスのショーヴェ洞窟やラスコー洞窟の壁画から始まり、西洋絵画の歴史を巡って19世紀までたどり着いたところで、西洋に多大な影響を与えた浮世絵、中でも葛飾北斎が与えた影響について注目。スライド画像50枚近くを使い、時の流れや、洋の東西を超え、ちょっとした美術旅行をしたようなひとときだった。

葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
エドガー・ドガ《舞台のバレエ稽古》
葛飾北斎《潮干狩図》
ジャン=フランソワ・ミレー《落穂拾い》
千住博 シンガポール個展の様子 2015
熱心に話を聴く受講生のみなさん

 あいにく19時には講義を終えなければならず、駆け足の講義となったが、「本来人間というのは、非常に豊かなイマジネーションとコミュニケーションに対する高い意欲を持っているもの。芸術というのはこのイマジネーションをコミュニケーションする行為で、異なる他者との間に作らないでいい壁を建ててしまう今日において、芸術の役割というものはものすごく大きい。」と締めくくると、来場者から大きな拍手が送られた。

 「千住博ラボ」は、生涯学習プログラム「藝術学舎」の中に開設された「千住博 ザ・スーパー・アートスクール」を前身に、今年4月に開設された作家育成に特化した大学院修士課程プログラムだ。「千住博 ザ・スーパー・アートスクール」時代の学生の中から、ACCグランティ、上野の森美術館賞展大賞、日本の絵画大賞、枕崎国際芸術賞優秀賞、堂島アートアワード特別賞等々を受賞する作家が誕生し、また立ち上げて半年のこの「千住博ラボ」からも早くも「アートオリンピア」銅賞や「第1回アート&デザイン新世代賞」最優秀賞の受賞者が生まれている。

 今回は台風のため、加藤先生とのトークの時間を持つことができなかったが、実際の「千住博ラボ」では、ふたりでタッグを組んだプログラムが展開される。作品制作によって新たな価値を社会に伝えようとする人材の育成に努めるという「千住博ラボ」に興味のある人は、ぜひチャレンジしてみて欲しい。

千住博ラボ

http://www.kyoto-art.ac.jp/tg/Interdisciplinary/senju/

 

 ところで、この「超域プログラム」というのは、そもそも何を目的に開設されたのだろうか。「制作学」と銘打っているその意図などを、同プログラムを開設した芸術研究科(通信教育)研究科長の上村博教授に尋ねた。

上村 博教授(芸術研究科(通信教育)研究科長)

「制作学」は英語でpoieticsと表記します。これは「詩学」を意味するpoetics同様に、ギリシャ語のpoiesis、すなわち“制作”に由来していますが、詩学とは異なる新しい意味を持っています。「制作学」とは、むしろ“新たな世界を構想し、実現する術”です。このたび通信制大学院の修⼠課程に開設した「超域プログラム」は、この“制作する術”により、領域の枠にとらわれることなく、芸術によって社会をどう変えていくのかという点に重きを置いたプログラムです。

今年の春にスタートしたこの「超域プログラム」には、空港や国の代表者の会談の場など、美術館の内側にとどまることなく、社会の中で⾃⾝の作品を通じた働きかけを⾏っている千住博教授の「千住博ラボ」と、新たなテクノロジーと芸術表現を融合させたイノベーションを⽬指す⼩笠原治教授による「⼩笠原治ラボ」のふたつのラボがあります。そして来年4⽉より、アートプロデュースのノウハウを余すところなく伝えようという後藤繁雄教授の「後藤繁雄ラボ」も始まります。

「芸術」が社会とどうかかわりうるのかを本格的に学びたい⽅は、ぜひこれらのプログラムにご参加ください。

 

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