「学科以外の学びにも挑戦してみたい」「他分野の知識を制作に活かしたい」。そんな学生のために始まったのが、副専攻プログラムです。
主専攻での学びを軸にしながら、分野を横断して新たな視点や技術を身につけられるこのプログラム。現在は「メディア・テクノロジー」「オルタナティヴ・アート」「ソーシャル・イノベーション」の3つの副専攻科目群が設置されています。
では、実際に副専攻ではどんなことを学び、どんな変化があったのでしょうか。今回は、副専攻を履修している武田真奈さん(情報デザイン学科/メディア・テクノロジー副専攻・3年)、シンカイジャクさん(美術工芸学科/オルタナティヴ・アート副専攻・3年)、大谷友さん(空間演出デザイン学科/ソーシャル・イノベーション副専攻・3年)に、副専攻を選んだ理由や授業の様子、そこで得た学びや変化、そして後輩へのメッセージについて伺いました。

副専攻を選んだ理由
副専攻を選んだきっかけは人それぞれ。興味のある分野を探究したいという思いから、主専攻の専門性をさらに深めたいという思いまで、その動機はさまざまです。まずは、副専攻を選んだ理由と、実際にどのようなことを学んでいるのか伺いました。
──副専攻を履修しようと思った理由は何ですか?
武田:副専攻って、GPAが2.3以上ないと取れないじゃないですか。そういう条件がある中で、副専攻を取るってかっこいいなと思って(笑)。メディア・テクノロジー副専攻を選んだ理由は、授業で「メディアは手段である」という話を聞いたことでした。メディアを使いこなせるようになれば、どんなクリエイティブにも活かせると思い、この副専攻を選びました。

シン:美術に興味があって、オルタナティヴ・アート副専攻を選びました。私は写真・映像を学んでいますが、もっと美術館やアートについて学んでみたいと思いました。
大谷:空間演出デザイン学科のこれまでの授業課題では、模型を作ることが多かったので、もっと社会と直接かかわる学びを得たいと思っていました。ソーシャル・イノベーション副専攻では、地域の方へのヒアリングを通して地域活性化を目指しています。学科での学びを活かしながら実践的な活動ができる点に惹かれて、この副専攻を選びました。
──副専攻では、どのような学びや活動をしましたか?
武田:特定の媒体に依存せず、多様なメディアを通して表現を模索することが軸だったと思います。メディアは手段なので、種類は無数にある。特定の媒体に依存するのではなく、メディアという広い視点から捉えて、多様な表現に挑戦しました。
シン:世界中のアーティストの作品や制作について学んだり、コラージュを制作しました。また、一人ひとりが小さな展示を作り、お互いにレクチャーし合う授業もありました。私は、中国と日本の漢字文化をテーマに、漢字をレクチャーしました。
大谷:地域のことを考えながら、ワークショップの内容を考えたり、DMを制作しました。最終の総合演習では、地域へフィールドワークに行き、その土地の特性を生かして何かを創るという課題がありました。私は大阪府交野市を対象地に選び、「自然を学びの対象として捉えられるミュージアム」を提案しました。
副専攻で広がった学びと視点
副専攻では、主専攻とは異なる視点から学ぶ機会が数多くあります。印象に残った授業や、副専攻だからこそ得られた学びについて伺いました。
──副専攻を受けている中で、印象的な授業はありましたか?
武田:みんなで味噌を作る授業があって、それがすごく面白かったですね。実は、味噌もメディアなんですよ。味噌は発酵・熟成し、微生物などさまざまなものが関わってできあがります。そうやっていろいろな要素が集まってひとつの形になるプロセスは、メディアの構造と同じなんです。最終的には、その味噌を使った芋煮会を開き、みんなに振る舞いました。学科の授業ではできない体験ですし、実際に作ることでメディアの魅力を体感できた、とても印象的な授業でした。

シン:副専攻を履修していれば、他の副専攻の選択科目が履修ができるのですがメディア・テクノロジー副専攻の「音響研究」という授業が面白かったです。音声の特質からメディアを捉え直すという内容で、とても興味深かったですね。オルタナティヴ・アートでは、「自分からどのようなアートが生まれるのか」をみんなで考えたことも印象に残っています。自分の制作を通して、自分らしさを発見していくという考え方が面白いなと思いました。
大谷:ソーシャル・イノベーション副専攻では、鞍馬地域にフィールドワークへ行きました。一日かけて現地を回り、感じたことをプレゼンしたのですが、地域の方も来てくださいました。「若者が鞍馬について考えてくれてありがたい」「良い提案ですね」と直接声をかけていただけたことが、とても嬉しかったです。その時の提案をもとに、廃校となった鞍馬小学校で「くらまる」というイベントを実現させることもできました。やっぱり、その一連の経験が一番印象に残っています。

──副専攻を通して、ご自身の中で変わったことや、身についたことはありますか?
武田:ものの見方が変わったと思います。映像や音楽など、さまざまなメディアの表現に一つひとつ触れたことで、「この媒体だからこそできる表現がある」という気づきが生まれました。
シン:私も、作品を見るときの意識が変わったと思います。作家の考え方や思い、表現方法など、表面的な雰囲気だけではない、その奥の部分にも目を向けられるようになりました。また、違う学科の人と関わることで、自分自身の視野も広がったと思います。
大谷:プレゼン力ですね。プレゼン資料の作り方や、相手に自分の考えを過不足なく伝えるためにはどうすればいいのかを、自分自身で考えるようになりました。また、学内だけでなく地域に出てさまざまな方とお話ししたことで、コミュニケーション能力も身についたと思います。
──副専攻での学びは、主専攻にどのように活かされていますか?
シン:以前よりもずっと、肩の力を抜いてカメラを持てるようになりました。かつては写真というメディアはフィルム代なども高く、扱うのが難しいものでした。しかし今では、スマートフォンでも気軽に撮影でき、作品づくりが身近になっています。アートを学んだことで、写真を単に撮るだけではなく、作品を多角的に捉えたり、自分でも表現する楽しさを知りました。

武田:情報デザイン学科では、メディアの使い方がとても重要です。副専攻でさまざまなメディア表現を学んだことで、自分自身の表現にも活かせるようになったと思います。また、学内の先生だけでなく、実際にアーティストとして活躍されている講師の方からも学ぶ機会があり、そうした方々との対話を通して、アート的な思考を身につけることができました。
大谷:学科の授業の先にある実践として、副専攻でそれを実践できたことは大きな経験になりました。その地域に長く住んでいる方だからこそ持っている視点にも触れられ、幅広い年代の方と関わることの大切さを実感しました。そうした経験を通して視野が広がり、今後の制作やデザインにも活かしていけると思います。
副専攻の履修を迷っている人へ
副専攻を履修した3人は、全員が「後輩にも勧めたい」と答えました。その理由と、これから履修を考えている学生へのメッセージを伺いました。
──副専攻を後輩に勧めたいと思う理由は?
武田:やっぱり学科では学べないことが学べるというのが大きいですね。アート的な思考もそうですし、実際に手を動かしながら学べることも魅力だと思います。味噌を作ったり、川へ行って石を拾ったりと、デザインから少し離れた視点でものを見る経験は、学科ではなかなかできません。そういう体験をしてほしいなと思います。
シン:対面で授業を受けられることも、大きな魅力だと思います。コロナ禍以降、大学へ行って直接人と関わる機会が減っていたので、対面で交流できるのは良い経験になりました。人数も少ないため、一人ひとりをしっかり見てもらえますし、学生同士の交流も深まります。授業だけでなく、みんなで打ち上げをしたのも印象的でした。
大谷:多様な学科の方と関われることが、一番大きいですね。最後にイベントを行ったときも、空間づくりが得意な人や、ものづくりが得意な人など、それぞれの専門性を活かして取り組むことができました。普段は同じ学科で似た考え方の人と関わることが多いので、他学科の学生から学べることが本当に多かったです。

──最後に、副専攻の履修を迷っている後輩へメッセージをお願いします。
武田:とりあえずチャレンジしてみたら、と言いたいです。絶対に成果を上げなければいけないわけではないですし、履修することで知見が広がると思います。気になる授業だけ受けてみようかな、くらいの軽い気持ちでも良いと思います。
大谷:対面だからこそ得られるものはあると思います。私は家が遠いので最初は不安でしたが、副専攻を通して視野が広がりました。グループワークもあまり得意ではありませんでしたが、そういう人ほど自分の成長を実感できると思います。どんな学科の人が、どの副専攻を選んでも、きっとプラスになるものはあると思います。
シン:副専攻によっては、時間をかけて学び、主専攻とは別にゼロから作品を作る必要があるので、大変な面もあります。でも、作品を作る力を伸ばしたい人には、ぜひ挑戦してほしいです。主専攻とは違った視点から物事を考えられるようになりますし、視野も広がります。どの授業にも、それぞれの価値があると思います。
主専攻の学びを深め、新たな視点や出会いをもたらしてくれる副専攻プログラム。3人の言葉からは、学科の枠を越えて学ぶことの面白さと、その経験がこれからの制作や活動につながっていることが伝わってきました。
3人が口をそろえて語っていたのは、「まずは挑戦してみてほしい」という思いでした。主専攻の学びを広げる新たな選択肢として、副専攻に挑戦してみてはいかがでしょうか。
(文=文芸表現学科4年 千葉美沙希)
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