REPORT2024.12.20

教育

学生支援センターRAPPORTのご紹介--はじめまして、学生支援センターRAPPORTです!

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  • 京都芸術大学 広報課

2024年4月、京都芸術大学に学生支援センターRAPPORTが誕生しました。このセンターは、心と身体の専門家が、京都芸術大学で学ぶ学生一人ひとりが安心して学べる環境を提供するための施設です。

今回は、学生の学びの支えとなるこの新しい施設を紹介します。

その前に、まずは執筆者の自己紹介を。私は学生支援センター副センター長を拝命し、センター全体の運営などを担いつつ、学生相談室でカウンセラーもしている竹中菜苗です。臨床心理学を専門とする研究者でもあり、スイスの心理学者C.G.ユング(芸術に関心のある方は耳にしたことがある名前かもしれません)の理論と現代の青年の心理を研究テーマとしています。ご縁があって昨年度より本学に着任し、当センターの開設準備から関わらせていただきました。昨年一年をかけ、本学の多くの方にさまざまにご協力いただきながら、当センターの開設が実現しました。このように自信をもってご紹介できることを、とても嬉しく思っています。

学生支援センター副センター長 竹中菜苗 先生

RAPPORTってどういう意味?

学生支援センターの愛称RAPPORT(ラポート)は、対人援助の領域で大事にされている、支援者と支援を受ける人の間の信頼関係を表すことば(元はフランス語で「ラポール」と言います)から来ています。体がしんどい時、心が晴れない時、ラポートに行って少し休もう、話を聴いてもらおうと思ってもらえるようなセンターになりたいという願いを込めて名付けられました。

具体的にどんなサポートが受けられるの?

学生支援センターには「健康支援室」「学生相談室」「UDL(Universal Design for Learning)推進室」という3つのセクションがあります。

健康支援室には看護師・保健師が常駐し、怪我の処置や体調不良時の相談、近隣の医療機関の紹介などの対応をしています。学校医(内科)と精神科校医への相談も受け付けています。

学生相談室では臨床心理士・公認心理師の資格をもつ専任及び非常勤のカウンセラーが毎日2人体制で、個室で約50分、ゆっくりとお話をお聴きします。相談内容は修学上の悩み、対人関係の悩み、自分の性格について等、さまざまです。相談内容が相談者の許可なくセンターの外部に漏れることは決してありませんが、相談者の要望に応じて学科や学外医療機関等との連携をとることもあります。

UDL推進室は、主に障がいのある学生の修学支援を担っています。身体及び精神に障がいを抱える学生が他の学生と等しく学びの機会を与えられるよう、臨床心理士・公認心理師の資格をもつ専任のコーディネーターが中心となって、まずは申請者の困り感を丁寧に聴き、その後、学科等と連携をとりながら個別の支援体制を整えます。将来的には、障がいのあるなしに関わらず、本学に在籍する誰もが学びやすい環境を作っていきたいという思いで、Universal Design for Leaning推進室と名付けられました。

学生相談室とUDL推進室は利用者のプライバシーを守り、相談時間をきちんと確保するため、予約制となっています。電話や直接の来室、本学の学生(※1)はGoogleフォームを使って相談の申し込みができます。

※1学生相談室は通信、高校は含まない、UDL推進室は通信、高校、専門学校、日本語学校を含まない(大学通学課程のみ)。

RAPPORTってどんな場所?

RAPPORTは京都芸術大学人間館地下一階にあります。北門側の入り口から入って奥に進んでいくと、壁に「A RAPPORT」「B RAPPORT」の表示が出ています。表示に従って左手に進むとAエリアには健康支援室、右手に進むとBエリアには学生相談室とUDL推進室があります。

Aエリア 健康支援室
Bエリア学生相談室・UDL推進室

学生支援センターのロゴや壁の案内表示は、本学情報デザイン学科の山下光恵先生と疋田淳喜先生が手がけてくださいました。AエリアやBエリアに続く廊下では、かわいい猫がこっそりと道案内もしてくれています。

Aエリア健康支援室の横には「フリールーム」があります。ここは、賑やかな学内の中で、少し一人になりたい時、静かにホッと一息つきたい時に使ってもらうための部屋です。予約などは不要で、飲食もOKです。ちょっと座ってみるだけで、ふーっと深く息ができるような素敵な椅子が置いてあります。

いずれの部屋も、内装や家具は学生支援センター長でもある環境デザイン学科の荒川朱美先生が、RAPPORTスタッフの意見を上手に取り入れながら選んでくださいました。座り心地の良いソファなどの家具をはじめ、オーダーメイドで作っていただいたカウンター、自然の光が入るように配慮されたBエリアの空間など、さすがは芸術大学という洗練された空間になっています。

個別の相談以外にはどんな活動がありますか?

学生支援センターRAPPORTでは、みなさんにセンターを身近に感じてもらい、心と身体への意識を高めてもらえるよう、さまざまなイベントを実施しています。そのいくつかをご紹介します。

ラポートランチアワー

学期期間中の金曜のお昼休みは、カウンセラーとお昼ご飯を食べながら気軽に話すためにAエリアにある多目的室を開放しています。カウンセリングの予約をとるのは少しハードルが高い、カウンセラーがどんな人なのかまずは知りたい、という人にぜひ利用してみてほしいです。

ZADANKAI

月に1回、テーマを決めて自由に話す集まりです。これまで「一人暮らしについて話そう」「スケジュール管理って難しくないですか?」「好きな○○を共有しよう!」といったテーマで開催しています。RAPPORTスタッフがファシリテーターとして同席するので、話すことがあまり得意ではない人でも安心して参加してもらえます。

RAPPORT園芸部

Bエリアにあるスペースを利用して野菜やお花を育てています。授業終わりの水やりや月に2回ほど開催されるミーティング(参加自由)など、ゆったりと参加者それぞれのペースで活動しています。

RAPPORT園芸部活動の様子

RAPPORTALK

本学の教職員が、授業とは違う形で学生に語りかける場を作りたい!ということで始まった、教職員によるトークイベントです。学生時代は誰しもが多かれ少なかれ迷い、悩むものです。そうした時期を潜り抜けた本学の教職員を、「先生」や「職員」としてではなく、同じ一人の人として感じてもらえればと思い、リレー形式で年2回の継続的な開催を予定しています。

他にも、プロのインストラクターを招いてのヨガレッスン、簡単な朝食を一緒に作って食べたり、100円で朝食を提供したりといった、健康な食生活を推進するイベント、瓜生山の散策やクリスマスリースづくりのワークショップなど、季節に合わせたイベントも実施しています。

ヨガレッスンの様子
クリスマスリースづくりワークショップの様子

また、学生や教職員を対象としたAED講習や教職員を対象とした学生支援に関わるSD/FD研修を通じて、心と身体の健康に関する全学的な啓蒙活動を行っています。次年度からはRAPPORTの教員が授業を開講し、学生が学生を支える仕組みづくり(ピアサポーター養成)も進めていく予定です。

学生向けAED講習の様子

最後にRAPPORTからみなさんへメッセージ

高等教育機関における学生支援の重要性は年々高まっています。

少し専門的な話をすると、学生支援は日々の授業や事務手続などを通じてすべての教職員が日常的に提供している第1の層、クラス担任など役割を決めて行われる第2の層、そして学内に配置された各種の専門家が提供する専門的支援の第3の層に分けて考えられます。

これまで本学は第1、第2の層が充実していましたが、学生支援センターRAPPORTは、第3の層をより充実させるという大学の思いが形になったものです。

学生時代の学びは決して学術的なことだけではなく、日々の生活を健康的に維持すること、人との付き合い方、自分とはどういう人間なのかを知ることなど、多岐にわたります。私たちRAPPORTのスタッフはそれぞれの専門性を活かしながら、さまざまな側面から本学の学生の身近な存在になっていきたいと願っています。

(文:竹中菜苗)

 

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