INTERVIEW2024.09.11

子どもたちが劇場で遊びながらアートに触れるワークショップを — プレイ!シアター in Summer 2024

edited by
  • 上村 裕香

2024年8月17日(土)から18日(日)にかけての2日間、京都岡崎にあるロームシアター京都にて「プレイ!シアター in Summer 2024」が行われました。

「プレイ!シアター」は、『劇場で遊ぼう』を合言葉に、毎年たくさんの子どもたちが集まる、ロームシアター京都の夏休み恒例イベントです。今年も音楽、ダンス、パントマイムなどのパフォーマンスや、楽器体験、様々なワークショップが劇場内の各所で行われました。

 

京都芸術大学からは、こども向けのワークショップやマルシェの出店ブース「わくわくワークショップ&マルシェ」に、アートプロデュース学科とこども芸術学科が出展しました。今回の記事では、その様子を中心にレポートしていきます!

 

劇場内を歩き回って「バケルーン」をつくろう!

 

アートプロデュース学科の社会実装科目であるARTZONEでは、ワークショップや展覧会の企画・運営を学んでいます。今年度は、「トコトコカラフル大作戦!」と題して、好きな色の風船を受け取り、劇場内のいろんな場所でミッションをクリアして風船を飾り付けていくワークショップを行いました。

サウスホール1階で風船を受け取ると、さっそく1つ目のミッションへ。こちらはボウリングゾーンです。簡単なコースと難しいコースのどちらかを選び、ボールを投げてペットボトルを倒すと、コースターがもらえます。

2つ目のミッションは屋外に設置されたなぞなぞ、3つ目はメインホール2階で壁に貼られたお化けを探し出すミッションと、ミッションをクリアしていくことでロームシアター京都内を歩き回り、他の催しや劇場施設に興味を持ってもらえるような仕掛けになっています。

3つのミッションをクリアするともらえるのがお化けの顔をつくるパーツのシール。ゲットしたパーツを風船に貼ることで、自分だけの「バケルーン」を完成させることができます!

 

 

サウスホール1階には、完成させた「バケルーン」と一緒に記念撮影ができるフォトスポットも用意されていました。初めは少し緊張していた子どもたちも、学生スタッフと話しながらミッションをクリアしていくことで、徐々に笑顔が増え、楽しんでいる様子が伝わってきます。フォトスポットではみんな笑顔で自分の「バケルーン」を学生に見せていました。

 

参加した子どもたちの中には、「ボーリングが楽しかった」と顔をほころばせて話してくれた子も。このご家族は毎年「プレイ!シアター」に参加しているそうで、保護者の方も「大学の学生さんも毎年催しをされていますよね。子どもが参加するのを楽しみにしています」と話してくれました。

毎年、ロームシアター京都と連携してイベントを行なってきたからこそ、地域の子どもを育てる世帯の方々にARTZONEの取り組みが認知されているんですね。

ワークショップに参加した学生は「授業の前半では『あったらいいな』をコンセプトにイベントを考えて、後半では前半で学んだイベント企画のメソッドを活かしてこの『トコトコカラフル大作戦!』の企画運営を行いました。ロームシアター京都の方から『ロームシアター京都内を歩き回って、劇場に親しみを持ってもらえる、子どもたちが楽しめるイベントをやってください』というオーダーがあって、それに応える形でワークショップを企画しました。実際にやってみるとトラブルも多かったのですが、ロームシアター京都の方がアドバイスをくださったり、仲間と協力したりして急遽対応を考えました」と語ります。日頃、大学で学んでいる「アートイベント企画」を社会で実践し、子どもたちに笑顔を届けるワークショップとなりました。

1日目には250人もの子どもたちが参加し、用意していた風船が足りなくなる事態も。受付を担当した学生は「風船の力がすごいです」と笑顔を見せていました。

 

へんてこな夏祭りを楽しんでアートをつくってみよう!

こども芸術学科の有志による「あんふぁんずー」は「へんてこ夏祭り(はなびつり・うちわづくり)」の運営を行いました。

「あんふぁんずー」はこども芸術学科の学生で結成されたサークルで、現在は1年生から3年生までの21名が参加しています。今回のワークショップを企画運営したのは2年生を主体とした10名の学生たち。

「へんてこ夏祭り」というテーマは毎年の共通テーマとして設定しています。今年はねりあめづくりやヨーヨーつり、お面づくりなどのいくつかの候補の中から、はなびつりとうちわづくりの2つのワークショップを行いました。
 

大盛況だったはなびつりは、花火のイラストが描かれたメダルをマグネットの竿で釣り上げるゲーム。釣り上げた花火のメダルは好きなものを紐で結んで首からかけ、1枚持ち帰ることができます。

参加した学生は「実は、はじめは先にS字フックがついた竿とマグネットがついた竿の2種類を用意していたんです。S字フックのついた竿の方を多く用意していたんですが、保護者の方から『マグネットの竿を増やしてくれませんか』と言われて。見ていたぼくたちもマグネットの方が遊びやすそうだなと感じていたので、急遽すべてマグネットの竿に変えました。子どもたちが楽しんでくれる声が聞こえてきたり、いっぱい釣れたと見せてくれたりして、ぼくたちも楽しいですね」とワークショップの裏話と感想を語りました。

 

うちわづくりは、形状の異なる紙皿のようなプレートを2枚貼り合わせることで、円形のうちわを作るワークショップです。お皿の形をした面は表面を丸く切り取り、クリアファイルを切り抜いた色とりどりのフィルムを貼ることで、中に描いたイラストや紙粘土、毛糸を短く切ったものなどが見える仕組みになっています。

プレートは薄い紙皿ではなく、厚みのあるサトウキビ素材のエコな使い捨て紙皿を使用するなど、破れにくい工夫を凝らしました。振ったら音が出るような素材を中に入れられるようにしたり、様々な画材を準備したりと、子どもたちが楽しめる工夫も盛りだくさん。

こちらのうちわも、紐をつけ首から下げて持って帰ることができます。

ワークショップに参加した親子に話を聞いてみると、「近隣で行われている別のイベントに参加していたのですが、こちらでも子ども向けのイベントが行われていると知って来ました」「普段から絵を描くのが好きなので、参加できてよかったです」とうれしい声を聞かせてくれました。

 

本学の学生が企画したワークショップ以外にも、「プレイ!シアター」では子どもたちが楽しみながら劇場を知ることのできるプログラムが多数用意されていました。プログラムを通して、子どもたちや保護者の方、地域住民の方にも、鑑賞者としてだけでなく、演者や運営スタッフなど、劇場とさまざまな関わり方があることを知ってもらうことができたのではないでしょうか。

劇場へ足を運ぶことで素敵な出会いがあること、楽しい思い出ができることを幼稚園や小学生のうちに知ることができたら、劇場をもっと好きになれるはず。来年の「プレイ!シアター in Summer」で、またお会いしましょう!

(撮影=吉見 崚)

 

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  • 上村 裕香Yuuka Kamimura

    2000年佐賀県生まれ。京都芸術大学 文芸表現学科卒業。2024年 京都芸術大学大学院入学。

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