INTERVIEW2022.09.29

教育

京都芸術デザイン専門学校と企業が連携して育てる「伝える力」。 - 「ぷれこん」開催!

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  • 京都芸術大学 広報課

京都芸術デザイン専門学校では、すべての2年生が学習の発表を通じてプレゼンテーションスキルの向上を目指すコンテスト、略して「ぷれこん」を実施しています。授業の中で行われる合評とは異なり、日ごろ連携している企業のみなさまにお越しいただき、社会人の厳しい視点から評価やアドバイスを受けることによって、学生が自身の課題を見つけ今後の学習の深化を図ることを目的としています。


京都芸術デザイン専門学校の学生は、作品を“見て”評価していただくのではなく、必ず制作したものを言葉にして伝える、その作業も含めてデザインであるということを、日ごろから指導されています。そのため、学生は授業課題が一つ終わるごとにプレゼンテーションを行う環境にいます。
教員は技術や知識を教えるとともに、課題に対して発見した問題点についてどういった解決法をデザインに盛り込んだか、それを伝える力を身につけてもらうことによって、人間力の向上も目指しています。
 

 

評価者の主観によらない公平な評価の仕組み

どの評価者も同じ判断基準で評価していただくよう、今年から「主張・論点・根拠」「提示資料」「発表姿勢・発表態度」について、それぞれ4つのレベルが明確化されています。

主張・論点・根拠
 4.主張や論点が明確で、根拠に整合性があり、提案内容に対し納得ができる。
 3.主張や論点は明確であるが、根拠の整合性が求められる
 2.主張や論点に関連性があるが、説得力に欠ける。
 1.主張や論点に関連性がなく、内容に一貫性がない。

提示資料
 4.情報を効果的な表現で視覚化できており、明確に分かりやすく提示している。
 3.自分の考えを他者に伝えるための情報を、適切に視覚化できている。
 2.情報の視覚化が不足し、表現方法に工夫が必要である。
 1.資料の選択や表現方法を、改善する必要がある。

発表姿勢・発表態度
 4.聞き手を意識した明瞭な話し方で聞きやすく、好印象である。
 3.姿勢や態度もよく、話し方が明瞭で聞きやすい。
 2.話し方が不明瞭で聞きとりにくく、一方的な発表である。
 1.準備不足である。発表姿勢・態度とも適切ではない。


学生たちは、自分が取り組んだ作品について、なぜこれを作ろうと思ったか、どこに課題や問題点を感じてどう解決をしようと考えたか、まずは、主張・論点・根拠を明示することが求められます。そのうえで、言葉だけでは足りない部分や視覚的に情報が必要なところを提示資料で補い、聞き手を意識した明瞭な話し方で発表することが重要となります。
 

 

実際にある店舗を想定した学生ならでは発想をプレゼンに

インテリアデザインコースでは「商店街活性化プロジェクト」として対象店舗の問題点を解決し、売上アップにつながる提案(店舗設計・商品企画)を実施しました。プレゼンテーションを行った学生の中から、小林匠さんが提案した店舗やぷれこんにおいて工夫したところをご紹介いたします。
 

小林さんが提案した店舗は「T SERVER」。対象店舗は今は閉店してしまった宇治茶専門店です。このお店の課題点を小林さんは次のように考えました。京都に数多くある宇治茶専門店で、ただお茶を販売しようとしても他店と同じで面白みがなく売上に繋がりにくい。その問題を解決するために提案したのが「T SERVER」です。特性サーバーから炭酸の圧力をかけて注ぐことで新感覚のお茶が楽しめます。コンセプトは次世代のお茶。キャッチコピーは「お茶なのに爽快感…」です。
 

ファサードは町家を切断した見た目となっており、店内は吹抜けで2階の座敷から店内を見下ろすことができます。1階は入店してすぐにレジがあり長いソファを置いてあります。内装は町家らしく座敷や長い廊下などを再現しソファを設け、町家要素を兼ね備えた新しい町家風のお店にしました。
 

小林さんが提案する店舗設計

 

- 工夫したところや頑張ったところは?

ぷれこんで工夫し頑張ったことは、資料作成です。今回のプレゼンはスクリーンで資料を見せる形となっていたためスライドに写る数秒の間で、いかに伝えたい情報をいかに分かりやすく伝えるかを工夫しました。パソコンで作成している時は見やすい文字のサイズであっても、実際スクリーンに投影すると文字が小さく全く読めなくなっていたり、思っていた色と少し違った色味に映ったりなど、パソコンのみで作業をするのではなく本番を想定し資料作成を心掛けました。
 

- やってみた感想や今後の課題、改善点は?

1年生の頃にも何度か企業の方にプレゼンテーションをする機会がありましたが、今回は私の内定先の方を含む複数の企業の方が来られ、とても緊張しました。その緊張で覚えていたはずの原稿に自信が無くなってしまったことで、スクリーンを度々確認したり言い間違えをしてしまいました。

今後は、もっと落ち着いて対応ができるよう、より本番を想定した練習を繰り返し行っていきたいと思います。
 

- ぷれこんで学んだことや考え方が変わったこと、今後への活かし方はありますか?

これまでは資料やポートフォリオを作る際、同じ写真を複数回使用したり、たくさんの3Dパースを貼り付けるなど、見る側の視点で考える事ができていませんでした。しかし今回のぷれこんで、数ある情報の中で「自分はいったい何を伝え見せたいのか」を考え、それを見る人の立場になって、限られた時間や資料に少しでも無駄がないようにと考えることができるようになりました。

今後も自分が伝えたいことを伝えられ、聞き手が分かりやすく見やすいプレゼンテーションができるよう、この経験を活かしていきたいと思います。
 

- K展(社会連携展)に向けた意気込み

今回のぷれこんはチームコンセプトなどはありましたが、個人の制作というイメージが強くありました。しかしK展ではチームでの作品展示となるため、やはり意見の食い違いや各自の作業スピードの違いなど様々な問題が出てくると思います。しっかりとチーム内でコミュニケーションを取り、役割分担をすることでスムーズに作業を進められたらと思います。大変だと思いますが楽しく最高の作品を制作できるように、チームで協力し合い頑張りたいです!

 

相手に伝えるという意識

コミックイラストコースはで、前期に取り組んだ企業連携課題の中から1点をプレゼンテーションしました。その中で、京都芸術劇場 春秋座にて上演される高校演劇コンクール『演じる高校生』の宣伝ポスターのデザインを提案した高地咲希さんの取り組みをご紹介いたします。
 

高地さんは、来場する方が高校生とその関係者が多いことに着目し、一般の来客が少ないことが課題と捉えました。そこで観客層を広げられるようなデザインを考えることに。作品を制作するうえで理解を深めることの重要性を感じ、高校演劇に対する世間のイメージや実際のこれまでの公演について調べました。調査した結果、演劇がどういったものかわからない、入りづらいといった印象が多くあることがわかり、そのイメージを払拭するためのデザインを提案しました。作品は目に留まりやすいポップなテイストを採用し、演劇の良さや楽しさを見つけてもらえるよう、コンセプトは"新しいを見つける"で、高校生の多様性とこれからの可能性をトビラで表現しました。
 

 

- 工夫したところや頑張ったところは?

工夫したところはプレゼン資料の見やすさです。観客層を広げたいという私の目標に対して担当の先生からのアドバイスをいただき、人間の五感で視覚の割合が8割も占めていると仰っていたので、とにかく誰が見ても分かりやすい資料作りを心がけました。

私は人前で話すのがあまり得意ではないので、自分でも話しやすいよう資料の順番を工夫したり堂々と発表できるようたくさん練習を重ね、自信を持って挑めるよう努力しました。
 

- やってみた感想や今後の課題、改善点は?

完璧とは言えませんでしたが、全力を出し切りました。まだまだ話し方が硬いので、プレゼンで柔軟に話すために、慣れるように後期の授業でも挑戦し続けたいと思います。今後の課題は、もっと作品に興味を持ってもらえるような「つかみ」を意識して、聞く側も楽しめるプレゼンにしていきたいです。
 

- ぷれこんで学んだことや考え方が変わったこと、今後への活かし方はありますか?

審査員の「誰に向けたプレゼンなのか、誰に話しているのかを明確に」というコメントでハッとしました。自分のプレゼンを思い返すと、話す事ばかりに意識が向かってしまい、相手に伝えるという点が足りていないと感じ、ただ説明するのではなく相手に理解してもらうことが何よりも重要なんだと改めて実感しました。今後はよりわかりやすいプレゼンを目指して、伝え方を工夫していけたらなと思います。

 

- K展(社会連携展)に向けての意気込み

遊び心を忘れないワクワクする作品を作りたいです。子どもの頃に感じた懐かしさや、ロマンのある世界観や物語を考えることが好きでたくさん描いてきたので、それらを共感して貰えるような遊び心のあるコンテンツを考えています。

今まで学んできた事や今回の経験もしっかり活かせるよう、ただ作るだけでなく本当に実現できるようにゴールを明確にして、自分自身も楽しんで制作に取り組みたいと思います。

 

 

K展(社会連携展)への成長を期待して

京都芸術デザイン専門学校の校長として学生を見守る大野木啓人先生からのメッセージです。
 

2年という短い期間の中で、社会で活躍できる人材を育成するための実践的教育を行っています。入学から1年半の成長をはかる「ぷれこん」もその一つです。企業の方々からのフィードバックとして得点や評価コメントが返ってくるシビアな取り組みですが、社会レベルを基準に「何ができて、何が足りないか」という現状を知る重要な学びの場となってきました。

今回参加して、これまでの努力や成長の跡を強く感じました。また評価に参加していただいた企業の方々からも、学生のレベルの高さやプレゼンテーションの内容にお褒めの言葉をいただき嬉しく思いました。この期待に応えるべく、来年2月10日(金)11日(土)「みやこめっせ」にて開催される「K展」でも、これまでの学びの成果を存分に発揮してくれると思います。ぜひ、学園の皆様も専門学校の産学連携の取り組みをご覧ください。

 

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