環境デザイン学科1年生の名物授業のひとつ、木材で「椅子」を制作する授業の合評が行われ、今年もさまざまな椅子が勢揃いしました。「18mm角の角材のみ」という限られた材料で制作されているのですが、そのバリエーションの豊富さに驚かされます。
美しい椅子はもちろん、
ほっこりした、
ぼーっとできる、
くつろげる、
無駄な、
不安定な、
おかえりと迎えてくれる、
どこでも馴染む、
小指で持てる、
など、創意工夫あふれる「椅子」の数々。
こちらの授業は、自分のサイズに合わせたひとりがけの椅子を実寸サイズで作ることで、人間のスケール感を知り、椅子に必要な強度や構造を理解したり、初歩的な空間構想力を養成することを目的としています。
もともと椅子の制作は一年次の前期の課題だったのですが、昨年、前期授業がすべてオンラインとなり、なかなかそのような実作業を伴う制作はできませんでした。そこで入学したばかりの一年生に果たしてどのような教育をすべきか改めて検討がなされ、前期は「模型」を、後期に「椅子」の実制作をすることになりました。
学びを止めないために ― 環境デザイン学科 学生作品模型展 2020
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/728
授業はまず、梱包用の箱づくりや人体寸法の計測から始まります。以前は「私の椅子」という名称で、必ずしも一人がけの椅子に留まらず、様々なサイズの椅子を制作していましたが、昨年から「私の “小さな” 椅子」と改め、最初に「430mm x 430mm x 700mm」の箱を作り、それに入る大きさという規定を設け、材料も「18mm x 18mm x 1,800mm」の角材18本に限定したそう。一人で持ち運びができるほどのサイズ感です。
人体寸法の計測の後、人体模型制作、椅子三面図のトレースへと進み「アイデアスケッチ」を10案ほど考えます(A3ケント紙1枚にまとめる)。
そして、スタディ模型で再考し、教員によるアドバイスを受けながら木材加工へと進みます。
完成後、皆さんの作品を丸一日かけて一つひとつを講評し、しばらくの間、ギャルリ・オーブ前にて展示しました。
バラエティに富む椅子の数々。甲乙つけがたく、すべてご紹介したいところですが、優秀作に選ばれた8名の作品をご紹介します(順不同)。
臼井音葉さん(小野賞)
甲斐大賀さん(中村賞)
小島芽弓さん(井栗賞)
森田可友葉さん(中村賞)
西顧江里子さん(小野賞)
藤井志月さん(竹田賞)
道山芽生さん(松本賞)
木太聖さん(松本賞)
いかがでしたか?バリエーション豊かな「私の小さな椅子」の数々。いつ、どこで、誰が、なぜ、どのように使用するための椅子なのか、そのコンセプトを拝見すると、まだ入学間もない一年生ですが、深い考察がなされていることに驚かされました。今後の学びの様子にも注目です。
私の小さな椅子展
会期 | 2022年1月22日(土)~25日(火) |
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場所 | ギャルリ・オーブ吹き抜け |
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