REPORT2021.07.12

アート

芸術教育のあり方を問い直す、学生選抜型アワード「KUA ANNUAL 2022」キックオフ!

edited by
  • 京都芸術大学 広報課

芸術教育のあり方を問い直し、未来の可能性を芸術的視点から提案する京都芸術大学の学生選抜展 KUA ANNUAL。今年は、87組106名もの応募があり、選考の結果、15組18名の作家が選出されました。加え、アシスタント・キュレーターとして5名が決定しています。

そして、7/11(日)に作家たちが一同に集い、ついにキックオフを迎えました。

KUA ANNUAL 2022 最終選考結果


// 作家 15組18名(順不同)
松田ハル(大学院 グローバル・ゼミ)
太田恵以(大学院 グローバル・ゼミ)
大澤巴瑠(大学院 美術工芸領域)
長田綾美(大学院 美術工芸領域)
岩橋優花(大学院 美術工芸領域)
向珮瑜(大学院 美術工芸領域)
Alma Schanzer(大学院 博士課程)
O LAMLAM(美術工芸学科 日本画コース)
高尾岳央(美術工芸学科 油画コース)
柴田眞緒(美術工芸学科 油画コース)
高橋順平(美術工芸学科 油画コース)
吉田千晴(美術工芸学科 総合造形コース)
戸田樹(美術工芸学科 総合造形コース)
大野裕和(美術工芸学科 総合造形コース)
東九条耕す計画ただいも(グループ/情報デザイン学科1名、美術工芸学科3名)


// アシスタント・キュレーター 5名
清田菜央(大学院 グローバル・ゼミ)
Zhao Yuehan(大学院 グローバル・ゼミ)
阿部リサ(アートプロデュース学科)
渋谷茉央(アートプロデュース学科)
勝見紗耶(アートプロデュース学科)

まず、審査についての総評として服部浩之(KUA ANNUAL 2022 ディレクター)は、多くの応募があったことに感謝しつつ、「多彩な表現があり、大変刺激に富む時間だった」と振り返ります。

「面談では、実際にどんな人なのだろうかということを見ているだけでなく、制作に関する考え方や進め方、アートや表現活動とどのように向き合っているのかを捉えようと試みました。そのうえで、各作家の個別の活動のオリジナリティや未知の可能性、そして新しいチャレンジをしていることを最も重要視し、同時に展覧会としての完成像を想像しつつ全体のバランスなども検討し、最終的に15名を選出しました」。

 

服部浩之(KUA ANNUAL 2022 ディレクター)


今回のテーマは「C | 接触と選択」ですが、コロナ禍という現在の状況を過分に踏まえたわけではないと言います。

「今のコロナだけを気にしたものではありません。尖ったテーマというよりも、すごく当たり前のこと自体を今、皆さんがどう捉えているのか、どんなことを考えているのか知りたいと考えました。結果、さまざまなアプローチや活動が出てきました。展覧会では、一人ひとりの作品をしっかり見せていきたい、立てていきたいと思います。なるべく全員が、それぞれがいい形で展示を実現していければと考えています」。

 

キックオフ・ミーティングでは、KUA ANNUAL の趣旨や注意事項などの伝達のほか、各作家10分程度で現段階でのプランと作品の紹介を行いました。


ペインティングや立体、写真、映像、VRなどさまざまな表現を提案する学生たち。印象的だったのは、何か一つの手法というわけではなく、さまざまな手法を組み合わせた表現を考えている学生が多かったこと。そして、展示空間を十二分に活用した大掛かりなインスタレーションを構想している作家も見受けられました。

ただし、そうなると気になるのが、特に美術館側のレギュレーションです。美術館に展示するとなると、さまざまな制限・制約があります。火や水などは使用できませんし、植物は密閉しないとダメ、食物なども不可ですし、安全面にも気をつけねばなりません。さらには感染症対策についても十二分に考慮する必要があります。

とはいえヤノベケンジ先生は「現段階では、あまりレギュレーションにとらわれないでほしい」と言います。

「消去法で自分の作品を作るのはやめてください。そこまで自分の中で制限をかけず、自分の表現したい最大限をぶつけてほしいんです」。

そして強調したのは、その姿勢について。「もし中途半端な思いなら、今やめても構いません」と作家たちを引き締めました。


そして服部浩之ディレクターも、その成長に期待を寄せるとともに、さまざまな専攻の学生たちがともに一つの展覧会を作り上げていく意義を伝えます。

「半年後、皆さんは大きく化けると思うんですね。昨年もそうだったのですが、スタート時点と最後の展示とでは同じ人とは思えないくらい成長した人もいました。
また、自分自身の成長も大切ですが、他者を知る機会にもなってほしい。もちろん切磋琢磨はしてほしいのですが、ぜひ他の人がどんなことをしているのか、しっかり見ておいてほしい。それが一つの展覧会になるわけですから。一つだけすごい作品があったとしても、隣の人との関係が良くなかったりとか、ぜんぜん見え方が変わってくるものなのです」。

 

昨年に引き続き今年も選抜された学生は、
「前回はまだ不十分な状態で、あっという間に会期を迎え、正直、消化不良な部分もありました。今年は早いうちからプランを練り、しっかりと準備していきたい。また、美術設営のプロであるHIGREさんにサポートしていただけるのが貴重ですし、とても楽しみです。本当にすごかったので」と意気込みを語りました。

 

これからギャルリ・オーブで行われる12月のプレ展、そして2月の東京都美術館での本展に向けて、思考を深め、制作が進められていく KUA ANNUAL 2022。服部ディレクターが言うように、半年後の展覧会に向けて、学生たちがこれからどのような成長を見せてくれるのか、期待が高まります。

 

京都芸術大学 Newsletter

京都芸術大学の教員が執筆するコラムと、クリエイター・研究者が選ぶ、世界を学ぶ最新トピックスを無料でお届けします。ご希望の方は、メールアドレスをご入力するだけで、来週水曜日より配信を開始します。以下よりお申し込みください。

お申し込みはこちらから

  • 京都芸術大学 広報課Office of Public Relations, Kyoto University of the Arts

    所在地: 京都芸術大学 瓜生山キャンパス
    連絡先: 075-791-9112
    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

お気に入り登録しました

既に登録済みです。

お気に入り記事を削除します。
よろしいですか?