11月6日(月)、京都造形芸術大学高原キャンパスの映画学科Aスタジオにて「DIGI CAMPUS KYOTO presented by MUTEK」が開催された。
MUTEK(ミューテック)とは、2000年にカナダ・モントリオールでスタートした世界最前線のデジタル・アートと、エレクトロニック・ミュージックによる国際的なフェスティバル。メキシコシティー、バルセロナ、ブエノスアイレスなど世界各地で大規模会場を満員にしているイベントが、今回特別に大学を舞台として開催されたのだ。
もともと、京都市はモントリオールのあるケベック州と友好提携を結び、交流を進めてきた経緯がある。そこで同州発のアート活動であるMUTEKを京都でも開催したいとの思いから、構成作家、プロデューサーで創造学習センター教授の谷崎テトラ先生を中心に、MUTEK JAPANとケベック州政府在日事務所の協力によって実現。11月3日~5日に開催された「MUTEK.JP 2017」でおよそ4500人を魅了したパフォーマンスを間近で楽しめる、贅沢な一夜となった。
オープニングアクトは鳳笙奏者のIHARA TOKIKO。雅楽の音色が、会場の高揚感を静かに高めてゆく。
続いて登場したのは、作曲家でありデジタルアーティスト、パフォーマーのMyriam Bleau。デジタルアート界のカンヌ国際映画祭とも言われる「アルスエレクトロニカ」での受賞経験もある作品「Soft Revolvers」を披露した。
同作は、アクリルでできた透明のコマのようなデバイスを回転させることで、内蔵されたLEDライトが光の輪を描き、電子音楽が流れるというもの。4つのコマは、回転とリンクしながらそれぞれ異なる音楽を奏でる。位置や回転速度を調整しながら光と音を発するアーティストの背景にはコマの動きが映し出され、音楽と映像によるその瞬間ごとの体験が生まれていく。
続くWoulg & Push 1 stopのパフォーマンスは、作曲家、メディアアーティストのWoulgとビジュアルエフェクトアーティストのPush 1 stopによるコラボレーション。向かい合う2人の間ではワイヤレスでデータが行き交い、電子音楽とビジュアルの間にリアルタイムで相互作用が生み出されていく。
コラボレーションはMUTEKを語る上で重要な意味を持つ。MUTEK創始者のアラン・モンゴー氏は「MUTEKの特色は、アーティストが多種多様であることと実験的であること。出演アーティストにはそれぞれのジャンルの幅を広げていきたいという思いがある。そのために、コラボレーションを通して音楽同士に関係性を持たせ、新しい音楽を生み出しているのです」と語った。
同じパフォーマンスは二度とないとモンゴー氏も語っていたように、その土地、その瞬間だけの体験を共有しているという一体感が会場を満たしていた。
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