REPORT2023.01.16

建築

憧れていた建築士の道へ、ゼロからの冒険。― 社会人学生たちの「人生を変えた学び重ね」

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  • 京都芸術大学 広報課

何歳でも、どこからでも学べる芸術大学

「ずっと、学びたかった」「ここなら、自分でも学べる」。そんな想いから、この通信教育課程にやってきた、1.3万人以上(2022年5月現在)の社会人学生たち。18歳から90歳代、日本全国から海外まで、ひとりひとりが仕事や生活を持ちながら、芸術を学ぶことで、新しい人生のドラマを紡いでいます。

今回の主人公は、化学メーカーで技術職として働きながら、本学の「建築デザインコース」に入学。卒業後に設計事務所への転職を果たした小椋宏一さん。社会人としての経験に、芸術を「学び重ねる」ことで得られた、自身の変化などについて伺いました。
 

「いまが一番のチャンス」と言われて決心

― なぜ、「建築デザインコース」へ?

もともと工作などのものづくりが好きだったけれど、高校生の頃はまだ目標があいまいで、とりあえず得意科目だった化学の分野で大学に進学しました。そこで建築学部の友人に出会ったことから、工学と芸術が融合した建築の世界を知り、「これこそ、本当に自分がやりたかったことかも」と直感。ただ、当時は学部を変えるほどの勇気を持てず、そのまま学びつづけ、化学系の会社に就職したんです。

ふたたび、今度こそ本気で「建築と関わる人生を送りたい」と心に決めたのは、働きだして数年後のこと。仕事にも慣れ、ふと10年後の自分を想像したとき、「たとえ結果が保証されなくても、めいっぱい挑戦する10年にしてみよう」と思ったんです。背中を押してくれたのは、働きながらでもゼロから建築を学べる本コースの存在と、「これからの人生ではいまが一番若いんだから、思いついたらすぐやらなくちゃ」という職場の先輩の言葉です。
 

カリキュラムどおりに学んで、成長を実感

― 学びはじめて印象的だったのは?

入学前は「建築に詳しい学生ばかりなのでは?」と不安でしたが、実際に入ってみると僕のように異業種の方も多くて、ホッとしました。本学を選んだのは、自分がずっと理系だったので、「工学だけでなく芸術的な感性を養える」芸術大学ならではの建築に惹かれたから。そして、スクーリングや課題などのカリキュラムが充実していると評判だったからです。

なにしろ知識ゼロからのスタートです。最初のうちは知らない用語や考え方、CADなどのソフト操作に戸惑いました。そこで、とことんコースのカリキュラムに沿って学びをすすめることに。すると、できることやわかることが少しずつ身についてくるのを感じられ、気づけば、目標だった最短2年での卒業を実現していました。

自分の成長を実感できる「学びのファイル」

 

先生だけでなくクラスメイトからも学べる

― 通信という点で、難しかったことは?

評判どおり、カリキュラムはとても充実していました。それはつまり、取り組むべき課題も多いということで…。まだ慣れない初めの頃は、ひとつひとつの作業に考え込んでしまい、作品完成までに時間がかかって大変でした。それでも、自宅であれこれ悩むほど、スクーリングで「そういうことか!」と理解する喜びを得られるので、それがまた次の制作へのモチベーションにつながりました。

先生方のコメントは、どれも的確でハッとさせられます。また、舞台造形を学びにきたダンサーや家具職人など、多彩な経歴のクラスメイトも、自分にない発想や感性にあふれていて。一般の主婦からプロまで、いろいろな視点からの意見をもらえたことは、とても貴重な経験になりました。まさに、「クラスのみんなが先生」といった感じです。

授業で作品を発表後、クラスメイトから受けとるコメントシートも大切な学びの一部

 

視点が磨かれたことを、いつもの街歩きで実感

― ところで、学びのスケジュールは?

平日は模型づくりや図面作成をコツコツと。休日はあえて外に出て、いろいろな建築にふれ、自分のなかの引き出しを広げていました。といったら、いかにもスマートにこなしていた感じですが…「仕事終わりは疲れているので、頭よりも手を動かす作業で眠気をふきとばす」という学びの知恵でもあるんです。

名建築を訪れるにしても、図面におこすにしても、先生方の解説やテキストがあるからこそ、その優れたアイデアやコンセプトを深く理解し、体感できます。そんな学びを積み重ねるうちに、自分自身の視点にも変化が。なにげなく訪れた施設でも、「どういう動線計画なのか?」「なぜこの向きに建てたのか?」と、いろんな疑問が浮かぶようになり、街を歩くだけで「感性が磨かれてきた」と実感できました。

在学中もコースの仲間と名建築をめぐる旅行へ

 

設計事務所に就職し、新たな世界の入り口へ

― コースを卒業した、いまは?

ありがたいことに卒業後は、コースの学友からの紹介で、異業種からの転職に理解ある建築設計事務所で働けることになりました。もし2年前、入学を決心していなかったら、いまの僕はなかった。そう思うと、道を開いてくれた友人や事務所に感謝するとともに、夢をあきらめず、自分の気持ちに正直になってチャレンジすることの大切さを、あらためて感じています。

まだまだヒヨッコですが、新しい職場では、住宅を建てる際に必要な設計、構造計算、エネルギー計算などを担当。プランニングだけではない建築実務への理解を深める一方、日々の仕事を通じて、建築設計のあらゆる過程を学べることに、大きなやりがいを感じています。

卒業制作作品は、[その場所だから成し得る固有建築―サイクリストの拠点” Woody Cycle Station”―]。地元である鳥取につくる、サイクリストたちのための新たな拠点。

 

夢を追いかけるワクワクを、これからも

― これからの目標は?

まずは建築士の資格を取得し、より深く仕事に向き合えるようになることです。すでに世の中にはたくさんの優れた建築士がいて、そのなかで、自分がどれほどの才能を発揮できるかはわかりません。だけど、せっかくこうして周りに恵まれ、新しい人生を切り開けたのだから。与えられた機会を無駄にせず、自分ならではの住まいづくりをめざしたい。実務に関わってみると、まだまだ学ぶべきことがたくさんあると気づかされます。この学びに、きっと終わりはありません。いつまでも入学したときのワクワクを忘れず、夢を追いかけ、学びつづけていきたいです。


建築デザインコース|学科・コース紹介
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/course/architecture/

卒業生の声|京都芸術大学 通信教育部
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/student_voice/

説明会・相談会 | 京都芸術大学 通信教育部
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/briefing/

YouTubeインタビュー映像

 

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